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S&P500セクター完全ガイド:



はじめに

S&P 500(Standard & Poor's 500)は、アメリカの代表的な株価指数で、500社の大型上場企業の株価を基に算出されます。1957年に導入され、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やNASDAQに上場する企業が含まれます。S&P 500は、企業の時価総額に基づいて構成されており、米国経済全体の成長を反映する重要な指標です。

多くの機関投資家がこの指数をベンチマークとして使用し、自分達のポートフォリオのパフォーマンス(運用成果)を比較します。S&P 500は、米国株式市場の約80%の時価総額をカバーし、広範な産業セクターを代表するため、個人投資投資家にとっても非常に重要な指標となっています。


この記事では、2023年を例にS&P 500を構成する各セクターのパフォーマンス(上昇率)を分析し、合わせて米国個別の企業のプロフィールと長期投資におけるS&P500の位置付けを確認します。

S&P500セクター完全ガイド:11のセクターと分析

S&P 500、11のセクターとは

興味のある企業が、どんな業種に分類されているかを押さえておくと、今の経済の大きな流れを掴むことができ、時代の変化に気づくことができると思います。

GICSは、Global Industry Classification Standard

『世界産業分類基準』は、1999年に、米国の格付け会社S&Pと機関投資家向けに指数や分析ツールを提供するモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)によって共同開発された

産業分類です。世界の産業を11のセクター、25の産業グループ、74の産業、163の産業サブグループに分類しています。

S&P500は、レベル1にあたる「セクター」を基準に11に分類しています。

1.エネルギー(ENERGY)
2.素材(MATERIALS)
3.資本財・サービス(INDUSTRIALS)
4.一般消費財・サービス(CONSUMER DISCRETIONARY)
5.生活必需品(CONSUMER STAPLES)
6.ヘルスケア(HEALTHCARE)
7.金融(FINANCIAL)
8.情報技術(INFORMATION TECHNOLOGY)
9.コミュケーション・サービス(COMMUNICATION SERVICE)
10.公益事業(UTILITIES)
11.不動産(REALESTATE)

11のセクター日々指数として価格が、提示されており、Yahoo FinanceBloombergで確認することができます。

S&P500のセクター別構成比

下記の円グラフは昨年12月末時点での、S&P500を構成するセクターの構成比です。米国経済というか、現在の世界経済がどのような企業群によって支えられているかが、大まかながら把握できると思います。

2023年12月末セクター別内訳

セクター別パフォーマンス概観


2023年のS&P500に代表される、米国株式市場はどのセクターによって支えられていたか、パフォーマンス(上昇率、騰落率)を確認します。

2023年のセクター別上昇率のトップ3は
1.情報技術
2.コミュケーション・サービス
3.一般消費財

でした。

2023年年間騰落率(ヤフーファイナンス等より筆者作成)

2023年の米国株式市場の動きを振り返る

以下、主要セクターと市場全体の動きを振り返ります。

情報技術

  • 2023年はAIの可能性が注目され、56%の上昇率を記録。特にエヌビディアが239%の上昇を見せ、アップルとマイクロソフトも好調でした。 AI関連株の上昇がS&P 500全体のリターンに大きく寄与。

コミュニケーション・サービス

  • 54%の上昇率を記録。Metaが広告収入の改善で194%の上昇を見せました。ネットフリックスやアルファベットのグーグルも好調。メディア、インターネット企業の強い業績がセクター全体を押し上げました。

一般消費財

  • 41%の上昇率を記録し、アマゾンやテスラが高いリターンを上げました。コロナ禍からの本格回復により、旅行需要の増加がクルーズ会社の業績を押し上げこのセクターの上昇をサポート。消費者の支出が堅調で、一般消費財セクター全体にプラスの影響を与えました。

下落したセクター

  • 公益事業: 金利の上昇がセクターに負担をかけ、10%の下落。

  • エネルギー: 原油価格の低迷により、10%の下落。

  • 生活必需品: 一部のメーカーは競争激化で伸び悩み

S&P500全体

2023年の米国株式市場は、AI技術やビッグテック企業の強いパフォーマンスに支えられ、S&P 500は24%以上上昇。特に「マグニフィセント7」と呼ばれるエヌビディア、アップル、マイクロソフト(情報技術)アルファベット、メタ(コミュニュケーション・サービス)アマゾン、テスラ(一般消費財)が市場のリターン(上昇率)を牽引しました。

S&P500と各セクターの比較

2023年のS&P500と11セクターを、2022年末を100として比較したものです。3セクターずつ分けてグラフにしています。

1.情報技術、コミュニュケーション・サービス、一般消費財

S&P500|情報技術/コミュニュケーション・サービス/一般消費財

2.資本財、素材、金融

S&P500/資本財/素材/金融

3.不動産、ヘルスケア、生活必需品

S&P500|不動産/ヘルシケア/生活必需品

4.エネルギー、公益事業

S&P500|エネルギー/一般消費財/公益事業

あなたの好きな企業はどのセクターに?

11のセクターにはあの企業が

ここでは各セクターにどんな企業が含まれているのか代表的なものを見ていきます。企業名カタカナ()内はティッカー・シンボル

1.情報技術 (Information Technology)
アップル(AAPL):iPhone、Mac、iPad等とサービスをグローバルに提供。
マイクロソフト(MSFT):ソフト、クラウドサービス、ハードウェアの大手企業。
エヌビディア(NVDA):グラフィックスプロセッサとAIテクノロジーのリーダー。
ブロードコム(AVGO):半導体大手、ワイヤレス通信むけ製品等を手がける

2.コミュニュケーション・サービス((Communication Services)
Alphabet(GOOGL,GOOG):
検索エンジン、クラウド、広告技術を提供。
メタ (META)
:世界最大のソーシャルメディア企業。
ウォルトディズニー (DIS):エンターテイメントとメディアの大手企業。

3.一般消費財 (Consumer Discretionary)
テスラ(TSLA)
:電気自動車とエネルギー貯蔵システムの革新的な開発
アマゾン(AMZN)
:世界最大のオンライン小売。AWSにも強み。
ナイキ(NKE):シューズとスポーツウェアの世界的メーカー。

4.ヘルスケア (Health Care)
メルク(MRK)
:大手製薬会社で、多様な医薬品やワクチンを提供。
ファイザー(PFE):世界有数の製薬企業で、多くの医薬品やワクチンを開発。
アッヴィ(ABBV):慢性疾患治療薬を中心に幅広い医薬品を提供。

5.金融 (Financials)
 ゴールドマン・サックス(GS):投資銀行業務、投資管理等の金融サービス。
バークシャー・ハサウェイ(BRK-B):バフェット率いるコングロマリット
ブラックロック(BLK):世界最大級の資産運用会社です。
ビザ(V):世界最大の電子決済ネットワークを運営する企業。

6.資本財(Industrials)
3M (MMM)
:様々な産業用製品と消費者向け製品を提供する多国籍企業。 
ハネウェル・インターナショナル(HON):航空宇宙製品、特殊材料等を製造。
ボーイング(BA):世界最大の航空機メーカー、商業機と軍用機を製造。

7.生活必需品(Consumer Staples)
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
:多様な家庭用品や個人用品を提供。
ウォルマート(WMT):世界最大級の小売業者で、幅広い消費財を提供。
コカ・コーラ(KO):世界的な飲料メーカー、多くの種類のソフトドリンクを提供
コストコ(CSCO):会員制倉庫型店を運営し、大量の消費財を低価格で提供。

8.エネルギー (Energy)
エクソンモービル(XOM)
:世界最大の国際石油・ガス会社。
シェブロン(CVX):石油、ガス、および関連エネルギー産業の大手。

9.素材 (Materials)
ダウ(DOW):
世界中の産業に欠かせない化学製品提供のトップカンパニー。
エコラボ(ECL):
衛生関連サービスで世界最大。水関連ソリューションを提供。

10.公益事業(Utilities )
ネクストエラエネジー(NEE)
:米国電力会社、再生可能エネルギー分野に強み。
デューク・エナジー(DUK):米国の複数の州に電力とガスサービスを提供。

11.不動産(Real Estate)
エクイニクス(EQIX)
:データセンター運営に特化したグローバル企業。
サイモン・プロパティ(SPG) :ショッピングモール等の大手不動産会社。

トップナイン企業

S&P500は、米国株式市場の約80%の時価総額をカバーしていますが、500企業の時価総額は、2024年4月末で、約44.4兆ドル(6,874兆円)。そのうち上位9銘柄で35%を占めています。情報技術とコミュニュケーション・サービスが今の米国株式市場をリードし、世界経済の中で、存在感を示しています。

1.マイクロソフト(MSFT)
2.アップル(AAPL)
3.エヌビディア(NVDA)
4.アルファベット(クラスA株+C株の合計,GOOGL,GOOG)
5.アマゾン(AMZN)
6.メタ(クラスA株,META)
7.バークシャ・ハサウェイ(クラスB株,BRK-B)
8.イーライリリー(LLY)
9.ブロードコム(AVGO)

S&P500との付き合い方

成功体験は始まったばかり

米国株式市場への投資を考えるとき、S&P500を中心にすえ、行うことは合理的でかつ効率的なことは、新NISAがスタートした日本において言うまでもありません。SNS等での個人投資家の発言を見ても、その浸透具合は明らかです。コストをかけず、すなわち非課税枠を最大限に利用し、長期投資を行えるわけですのでこれほど有利な投資環境はありません。さらに一歩、前に出て、

せっかくですので、米国株を通じ、シンプルに自分の興味とか経験を深掘りしてみてはいかがでしょうか?バフェット氏の「わからないものには投資しない」という言葉通り、長期投資の極意、成果は、結局自分の感性を信じ、投資と長く付け合えた人にご褒美として与えられるものだと思います。

S&P500の動きを見て、景気を感じ、セクターの反応から伸びる業界を予想し、個別企業の新製品、サービスから将来を思うことが、趣味や興味、仕事で培った経験から判断できればこんな素敵なことはありません。。まとめて持つも良し(S&P500、セクター別のファンドなど)、ダイヤモンドの原石のような個別企業を直感で探すのも良しです。長きにわたり、堅調に推移していくと思われる、投資対象としての米国株(日本株も)は最適解です。

そして、米国株への投資で得る、成功体験や知恵を財産として、子や孫に伝えていくことができれば日本人の金融リテラシーは高まり、これまでにない経済成長を日本は達成できると個人的には信じています。(日本株への投資も同じ考えです。)





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