ロッキード・マーチン(LMT)第2四半期決算:防衛産業のトップ企業が示す実力とは?【4-6月/Q2,2024】
ロッキード・マーチン(LMT)は、米国を代表する防衛関連企業として、長年にわたり成長を遂げてきました。同社の売上高の70%以上が米国政府向けと言われており(2023年度)アメリカの国防費の動向が業績に影響します。今回発表された2024年第2四半期決算では、売上高の増加や堅調なキャッシュフロー、配当と自社株買いによる株主還元など、ポジティブな要素が多く見られました。
ロッキード・マーチン(LMT)2024年第2四半期の業績は?
売上高:181億2,200万ドル(前年同期比+9%)
営業利益:21億4,800万ドル
当期利益:16億41,00万ドル
EPS:6.85ドル
同社の主要製品であるF-35戦闘機や防空ミサイルシステムなど、世界的な防衛需要の高まりが今四半期にも反映されています。特に、東欧や中東における地政学的な不安定さが、同社の製品に対する需要を後押ししていると考えられます。
部門別
Aeronautics (航空機):73億ドル
Missiles and Fire Control (ミサイル・火器管制):31億ドル
Rotary and Mission Systems (回転翼機・ミッションシステム):45億ドル
Space (宇宙部門):32億ドル
同社は米国政府からの継続的な受注という、安定した収益基盤を背景に、高い技術力と 先端技術を駆使した、最新鋭のステルス戦闘機F-35など、製品を開発・製造。世界最大の軍需企業、防衛産業のリーダーとして、防衛市場で圧倒的な地位を確立しています。
フリーキャッシュフローは好調か?
今四半期におけるロッキード・マーチンの営業キャッシュフローは18億7,600万ドルで、前年同期の11億ドルから大幅に増加。また、フリーキャッシュフローも15億600万ドルに達し、前年同期の7億7,100万ドルから倍増。これは、同社の運営効率が向上していることを示しており、今後の成長を支える重要な要素です。
フリーキャッシュフロー(Free Cash Flow)の重要性
フリーキャッシュフロー(FCF)は
財務健全性: 企業の財務健全性を示す指標となります。
成長投資: 新規事業への投資や研究開発費にも充てられ、企業の長期的成長を支えます。
株主還元: 配当や自社株買いに活用することで、株主への還元を強化できます。
負債返済: 必要に応じて負債の返済にも充てられ、財務体質の改善に貢献。
株主還元は?
ロッキード・マーチンは、第2四半期に配当と自社株買いを通じて16億ドルを株主に還元。同社が持続的に株主価値を高めることに注力していることを示しています。
22年連続増配
直近配当実績:3.15ドル(6月)
年間配当金:3.15×4=12.6ドル
株価:558.39ドル(8/19終値)
配当利回り目安:12.6÷558.39×100=2.26%
*手数料、税金等は考慮に入れていません。配当利回りは購入時の株価によって変わります。
最低投資金額目安
558.39ドル×147円×1株=82,083円~
*手数料は入れていません。為替(ドル・円)、株価は変化します。
今後の見通しは?
先進国の国防費拡大
ウクライナや中東での継続的な紛争、中国を巡る地域的緊張の高まりなど、地政学的リスクの増加を背景に、欧米を中心とした各国・地域で国防費が増加しています。特に、世界最大の軍事大国であるアメリカの2025年度国防費要求額は8,952億ドルに達し、過去最高額となる見通し。
また、北米および西欧諸国で構成されるNATO(北大西洋条約機構)は、各国のGDPに対する国防費比率を2%とする目標を掲げていますが、ウクライナや中東の情勢を受け、2024年には加盟32カ国のうち23カ国がこの目標を達成する見込みであると、6月に発表されています。
防衛関連企業への追い風
国防費の拡大傾向は、防衛関連企業にとって追い風となっています。主要な防衛関連企業の4-6月期決算では、2024年度通期の防衛事業に対する楽観的な見通しが目立ちました。例えば、ロッキード・マーチン(LMT)は、売上高の73%が米国政府向けであり(2023年度)、アメリカの国防費拡大による恩恵を受けることが期待されます。同社は4-6月期決算で、ソフトウェアの更新によって一時的に出荷が遅れていたステルス戦闘機「F-35」の出荷再開を発表。2024年度通期の「F-35」の出荷予想は93機とされ、市場予想の91機を上回っています。さらに、市場は2025年度の同機出荷数が前年を大きく上回ると予想しています。
米大統領選挙の影響も
11月に控える米国大統領選挙の結果も、各国の国防費方針に影響を与える可能性があり、注目されています。7月24日のBloombergニュースによると、共和党候補者のドナルド・トランプ氏の顧問らが、NATO加盟国に対し国防費をGDP比3%に引き上げることを要求する案を示していると報じられました。さらに、トランプ氏は日本や台湾にも国防費の増額を求める発言をしており、彼が当選した場合、各国の国防費増加がさらに加速する可能性があります。
2024年の通期見通しを上方修正
ロッキード・マーチン社は、2024年通期の売上高、セグメント営業利益、1株当たり利益の見通しを上方修正。
2024年度の売上高予想: 705億~715億ドル(上方修正)
1株当たり利益予想: 26.10~26.60ドル(上方修正)
F-35プログラムの継続: 2024年に75機から110機のF-35を納入予定
同社が引き続き成長を続けるとの自信を強調。特に、F-35戦闘機の納入が今後も増加、業績をさらに押し上げる要因となる見込み。また、同社が開発中の新技術やデジタル化の進展も、今後の競争力の強化へつながります。
About ロッキード・マーチン
上場:1961年(ロッキード)
設立:1995年
-ロッキード社とマーティン・マリエッタ社の合併によって誕生。
-2015年 ヘリコプターのシコルスキー・エアクラフトを傘下に収める。ティッカー・シンボル:LMT
セクター:資本財(Industrials)
株式時価総額:1,331億ドル(約19.6兆円,8/19終値)
年間売上高:676億ドル
ライバル企業:RTX(旧レイセオン,RTX)
日本での同業種:三菱重工業(7011)
従業員数:122,000人
まとめ
ロッキード・マーチンは、2024年第2四半期決算において強力な業績を示しました。売上高の増加やフリーキャッシュフローの改善、そして株主還元策の充実により、同社の成長性は一層確かなものとなっています。今後も、F-35戦闘機や防空システムなどの需要が続く中で、同社は防衛産業のリーダーとしてさらなる成長を続けるでしょう。
よくある質問 Q&A
今回の決算や事業内容をQ&Aでおさらい・・
Q: ロッキード・マーチンの株価は今後どうなると予測されますか?
A: ロッキード・マーチンは、堅調な業績と成長見通しから、今後も安定した株価の推移が期待されます。特に、自社株買いや配当による株主還元策が続く限り、投資家にとっては魅力的な投資先となるでしょう。
Q: 同社の主要な製品は何ですか?
A: ロッキード・マーチンの主要製品には、F-35戦闘機、防空ミサイルシステム(PAC-3)、イージス戦闘システムなどがあります。これらの製品は、世界中の防衛市場で高い需要があります。
Q: 配当金は安定していますか?
A: ロッキード・マーチンは、安定したキャッシュフローを基に、長期的に安定した配当を提供しています。2024年第2四半期にも、配当と自社株買いを通じて16億ドルを株主に還元しており、今後も継続的な配当が期待されます。
Q: 受注残が1,600億ドルというのは大きい数字ですか?
A: はい、受注残が1,600億ドルというのは非常に大きな数字です。これは、ロッキード・マーチンが長期にわたって安定した収益を見込めることを示しており、同社の成長を支える重要な要素です。
Q: ロッキード・マーチンにとっての今後の課題は何ですか?
A: ロッキード・マーチンにとっての主な課題は、技術革新の加速と新たな市場への進出です。特に、デジタル技術の進展やAIの活用を通じて、競争力を維持・強化していくことが求められています。また、地政学的リスクに対応しつつ、グローバルな防衛需要に応えることも重要な課題です。
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*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
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