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テスラの進化:自動車メーカーからAIロボティクス企業へ。【2024年最新決算より】

マグニフィセント7を最新決算の発表順から紹介してます。トップバッターはテスラ。


EV市場全体の苦戦が伝わる中で、リーダーとしてテスラがどのように舵取りするのか。四半期決算とともに、新製品の進展にスポットを当て解説します。

新モデル、新技術、に期待

ポイント

  • 多くの自動車メーカーがハイブリッド車を優先しているため世界のEV販売は引き続き低迷

  • 自動車事業は前年同期比▼13%の173億ドル

  • 減収となるのは新型コロナウィルスのパンデミックにより生産と納車が停滞した2020年第2四半期以来

  • エヌビディアのGPUにより、自動運転車、AI関連技術の促進を加速

  • バッテリーセル、新世代EVの生産やサイバートラックの量産で次のステップへ。

  • 人工知能(AI)、ヒト型ロボット、自動運転車でAIロボット企業を目指す

最新決算(1-3月/第1四半期,2024年)ダイジェスト

  • 売上高は213億ドル<3兆3,000億円>(予想 221億~223億ドル)

  • 自動車事業(自動車販売165億ドル+*規制クレジット4.4億ドル+リース4.8億ドル)の売上高は173億ドル(前年同期比▼13%)

  • 減収のなるのは新型コロナウィルスのパンデミックにより生産と納車が停滞した2020年第2四半期以来。

  • EPS(1株利益)0.45ドル(予想 0.52ドル)

  • 粗利益率17.4%(前年同期 19.3%,前四半期17.6%)

  • 2025年の後半に向け、求めやすい価格帯の新モデルの投入を加速

  • 2024年の販売台数の伸びは「著しく低下」する可能性を再確認

  • 全体の売上高に占める規制クレジットの割合は2.1%

  • 新モデル「モデル2」?の予想販売価格が25,000ドルを超える可能性を示唆

テスラの規制クレジット事業は、環境規制に準拠するために必要なクレジットを他の自動車メーカーに売却することによって得られる収益を指します。自動車メーカーは、自社の車両が環境基準を満たさない場合、規制クレジットを購入することで規制要件を満たすことができます。テスラは、自社のEVがゼロ排出車両であるため、他のメーカーに規制クレジットを提供して収益を上げています

筆者調べ

売上と納車台数の減少

第1四半期の自動車事業売上高は174億ドルと前年同期比で13%の減少。これは、新モデル3の量産初期段階の影響やドイツの工場での放火被害が原因で納車台数の減少、さらには価格の値下げによる平均販売価格の低下によるものとテスラはしています。

利益率の悪化

粗利率は17.4%に悪化。営業利益率も5.5%と低下に。平均価格の低下と出荷数の減少、さらに新型電動ピックアップトラック「サイバートラック」の初期費用や先端バッテリー技術への研究開発費の増加が影響とテスラは指摘。

AI技術の進化

テスラはAI技術への投資を進めており、NVIDIA社のGPU「H100」を使用したAI訓練の演算能力は顕著に向上していることも明らかにしています。これはテスラがAIと自動運転技術の分野でリーダーシップを保つための重要なステップと位置付けられています。

NVIDIAよって開発された高性能GPUは、特にAIやディープラーニングの計算に特化しており、これを使うことでAIモデルの訓練が速く、効率的に行えるようになります。以前のモデルや他のGPUを使用した場合と比較して、AIの演算処理能力が大幅に改善され、「H100」の場合の

テスラのシステムの稼働数は約3.5万基となり、Q1のAI訓練の演算能力は前四半期から倍増し年末までには更に、8.5万基ほどになると想定。このようにテスラは最先端の技術を利用して、自動運転やその他のAIに関連する技術の発展を促進しています。

バッテーリー生産、新製品開発、次世代モデル

「4680」バッテリーセルの生産量は前四半期比で約20%増加。このテスラの「4680」バッテリーセルは、新型大容量筒形EV向けに開発された次世代リチウムイオン電池。革新的なドライ電極技術を採用し、従来よりも高いエネルギー密度と性能を実現しています。

これにより、電気自動車の性能と航続距離が向上し、持続可能なモビリティへの貢献が期待されています。また、サイバートラックの週間生産能力も1千台を超えるなど、生産面では前向きな進展が見られます。

さらにはテスラは次世代EV(モデル2?)の生産開始を2025年初めに前倒しする計画。そして8月にはロボタクシーを公開予定。これらの新モデル、新製品は、テスラの将来の成長戦略において重要な要素となります。

テスラはAIロボット企業

マスク氏はテスラの未来を人工知能(AI)、ヒト型ロボット、自動運転車を活用したサービスの多角化を実現する企業としています。彼はテスラを自動車メーカーではなく「AIロボティクス企業」と位置づけ、自動運転車はエアビーアンドビーとウーバーを組み合わせたようなサービスになると述べました。

一部の車両はテスラが所有・運営し、他の車両は個人が所有するが、テスラのネットワークで貸し出されるという仕組みだそうです。いずれにしてもヒト型ロボット、自動運転車がどのような形で我々の前に姿を見せるか、今後の楽しみですね。

テスラひと口メモ

  • 設立年: 2003年

  • 上場年: 2010年

  • 2024年第1四半期(1-3月)売上高: 213億ドル(およそ3.2兆円)

  • 2023年通期売上高: 968億ドル(12月会計年度)

  • 時価総額: 5,443億ドル(2024/6/11)

  • セクター:一般消費財(Consumer Discretionary)

  • 従業員数: 12万7,000人


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