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ペプシコ、連続増配52年の実績と新戦略:ラモン・ラグアルタCEOが語る、売上高とEPSの2桁成長を実現する秘訣とは?


ペプシコ(PepsiCo、ティッカー: PEP)は、最新の決算発表で、売上高225億ドルを報告。前年同期比で1%の増加となり、調整後1株当たり利益(EPS)は2.28ドルと市場予想の2.16ドルを上回りました。このnoteでは、経営トップのコメントペプシコの業績概要、各セグメントの状況、国際事業の好調さ、市場の反応について解説します。


第2四半期の決算は2桁のEPS成長を達成

『第2四半期では、前年同期比の売上高成長率の厳しい比較や北米のコンビニエンスフーズの低迷、一部製品リコールの影響を受けましたが、純売上高、売上総利益率、営業利益率の大幅な拡大、2桁のEPS成長を達成しました。今年は生産性をさらに高め、市場での商業投資を強化し、成長を促進します。北米コンビニエンスフーズの価値提案の最適化、広告・マーケティングの強化、市場流通能力の活用に重点を置き、2024年度通期の既存事業売上高成長率は約4%、コアEPS成長率は少なくとも8%を見込んでいます。』ラモン・ラグアルタ会長兼CEOのと述べ、自信をうかがわせています。

ペプシコの会計期間について

PepsiCoの会計年度は12月に終了しますが、同社の第2四半期は4月から6月ではなく、独自の会計期間を採用しています。PepsiCoの最新の決算報告によると、第2四半期は6月15日までの12週間となっています。これは同社が13週間を1四半期とする会計慣行を持っているためです。年によっては12週間の期間を採用することもあります。一般的な区分とは異なりますが、PepsiCoが4-6月を第2四半期と呼ぶのは誤りではありません。あくまで同社の内部会計慣行に基づくものだからです。つまり、PepsiCoにとっての第2四半期は以下のようになります:
- 第1四半期:12月末〜3月中旬
- 第2四半期:3月中旬〜6月中旬
- 第3四半期:6月中旬〜9月中旬
- 第4四半期:9月中旬〜12月末

このように、同社は暦月に厳密に合わせるのではなく、一定の週数で区切ることで業績比較や管理を容易にしています。これにより季節変動などをより正確に反映できます。

売上高はどれくらい?

  • 売上高:225億ドル(前年同期比+1%)

  • 営業利益:40億ドル

  • 当期利益:31億ドル

  • 一株あたり利益(EPS):2.23ドル
    -コアEPS:2.28ドル

これは、消費者の購買行動の変化に直面しながらも、持続的な成長を実現したことを示しています。

GAAPとnon-GAAP

PepsiCoの第2四半期および2024年上半期の業績は、*GAAP(一般に公正妥当と認められた会計原則)ベースと非(non)-GAAPベースの両方で報告されています。その主な違いは以下の通りです。

  1. GAAPベース(Reported):

  • 為替の影響を含む実際の業績数値を報告

  • 第2四半期の売上高成長率は0.8%、上半期は1.5%

  • 第2四半期のEPS(1株当たり利益)は$2.23(前年同期比13%増)、上半期は$3.71(同10%増)

  1. 非GAAPベース(オーガニック-Organic/Core):

  • 為替の影響や特定の項目を除外した業績数値を報告

  • 第2四半期のオーガニック売上高成長率は1.9%、上半期は2.3%

  • 第2四半期のコアEPSは$2.28、上半期は$3.89

  • コアEPSの通貨中立ベースでの成長率は、第2四半期が10%、上半期が9%

つまり、GAAPベースは実際の業績をそのまま報告するのに対し、非GAAPベースは為替の影響などを除外することで、より本質的な事業の状況を反映しようとしています。

PepsiCoは非GAAPベースの指標も重視しており、2024年通年の見通しについても、オーガニック売上高成長率を約4%、コアEPSの通貨中立ベースでの成長率を8%以上と予想しています。

このように、GAAPと非GAAPの両方の指標を組み合わせることで、PepsiCoの業績をより多角的に分析することができます。

*GAAP((Generally Accepted Accounting Principles)とは、企業が財務報告を行う際に従うべき標準的な会計基準のことです。GAAPは、財務諸表の作成や報告において一貫性と透明性を確保するために設けられたルールやガイドラインの集合体です。主にアメリカ合衆国で適用されており、米国の企業はGAAPに従って財務諸表を作成する義務があります。一方、国際的には、国際財務報告基準(IFRS)が広く採用されています。

北米の飲料・スナック事業はどうだった?

北米の飲料・スナック事業は需要低迷に直面しています。フリトレー北米部門では、オーガニック売上高が若干減少し、販売量が4%減少しました。また、クエーカーフーズ北米部門はリコールの影響を受け、オーガニック売上高が18%減、販売量が17%減となりました。一方、北米飲料部門はオーガニック売上高が1%増加したものの、販売量は3%減少しました。

国際事業は好調?

ペプシコの国際事業は好調を維持しています。オーガニック売上高成長率は5.5%で、特に欧州、アフリカ、中東、南アジア部門が成長を牽引しています。これにより、ペプシコはグローバルな市場での競争力を強化しています。

事業部門別売上高

*数字は第2四半期のそれぞれの売上高です。

ペプシコは以下の7つの報告セグメント(事業)で構成されています。
1)北米フリトレー(FLNA):米国およびカナダにおけるブランドコンビニエンスフード事業を含む;58.7億ドル
2) クエーカーフーズ・ノースアメリカ(QFNA):米国およびカナダにおけるシリアル、米飯、パスタなどのブランドコンビニエンス食品事業;5.6億ドル
3) ペプシコ・ビバレッジズ・ノースアメリカ(PBNA):米国およびカナダにおける飲料事業;68億ドル
4)中南米(LatAm):中南米における飲料および簡便食品事業を含む;30 億ドル
5)欧州(Europe):欧州の飲料・コンビニエンス食品事業すべてを含む;35億ドル
6)アフリカ、中東、南アジア(AMESA):アフリカ、中東、南アジアにおける飲料およびコンビニエンス・フード事業のすべてを含む;16億ドル
7)アジア太平洋・オーストラリア・ニュージーランド・中国地域(APAC):アジア太平洋・オーストラリア・ニュージーランド・中国地域における飲料・簡便食品事業のすべてを含む;11億ドル

通期見通しはどうなった?

ペプシコの通期見通しは、有機的売上高成長率が約4%に下方修正されました(従来の「少なくとも4%」から)。しかし、調整後EPSの成長率は少なくとも8%を維持する見込みです。これは、ペプシコが引き続き堅調な利益成長を目指していることを示しています。

市場の反応と経営陣のコメントは?

決算発表後、北米市場での需要低迷が投資家に懸念で、ペプシコの株価は一時1%以上下落しましたが、CEOのRamon Laguarta氏は、北米市場での消費者行動の変化を指摘し、価値重視の傾向が強まっていると説明。また、ペプシコは生産性向上と戦略的な投資を通じて、市場環境の変化に対応する方針を示しています。このnoteを書いている時点の前週末では、株価は7/19は169.36ドル(終値)。決算発表日の前日7/10は、163.59ドル(終値)ですので、上昇率は3.52%となっています。

まとめ

ペプシコは北米市場での需要低迷に直面していますが、国際事業は引き続き好調を維持しています。調整後EPSは市場予想を上回り、経営陣は生産性向上と戦略的な投資を通じて、持続的な成長を目指しています。ペプシコのグローバルな競争力と効率的な経営戦略は、今後も成長を支える重要な要素となるでしょう。

About ペプシコ

  • 創業:1898年

  • 上場:1919年

  • 業務内容:スナック菓子と清涼飲料の2本柱。スナックは米国首位。

  • セクター:生活必需品(Consumer Staples)

  • ブランド:レイズ、ドリトス、フリトス、ゲータレード、ペプシコーラ、マウンテンデュー、Dr Pepper

  • 株式時価総額:2,326億ドル(約36.5兆円、7/19終値)

  • 年間売上高:915億ドル(会計年度2023年12月/約13.7兆円)

  • ライバル企業:コカ・コーラ(KO),クラフトハインツ(KHC)

  • 日本での同業種:サントリー食品(2587)、カルビー(2229)

  • 本部:ニューヨーク州パーチェイス

  • 従業員数:318,000人(2023.12)

よくある質問(Q&A)

Q:ペプシコは増配を何年続けていますか?

A:2024年の6月時点で、52年です。

Q:ペプシコの配当利回りの目安はどのくらいですか?

A:配当利回り:3.20%
・直近の配当実績:1.355ドル。
・年間配当:1.355×4=5.42ドル
・株価:169.36ドル
・配当利回り計算方法:
   5.42÷169.36×100=3.20

**手数料、税金等は考慮に入れていません。配当利回りは購入時の株価によって変わります。

Q: ペプシコの最新決算での売上高はどれくらいですか?

A: ペプシコの最新決算での売上高は225億ドルです。前年同期比で1%増加しました。

Q: 調整後EPSは市場予想を上回りましたか?

A: はい、ペプシコの調整後EPSは2.28ドルで、市場予想の2.16ドルを上回りました。

Q: 北米の飲料・スナック事業はどのような状況ですか?

A: 北米の飲料・スナック事業は需要低迷に直面しており、フリトレー北米部門やクエーカーフーズ北米部門で販売量の減少が見られました。一方、北米飲料部門は有機的売上高が1%増加しました。

Q: ペプシコの国際事業は好調ですか?

A: はい、ペプシコの国際事業は好調です。有機的売上高成長率は5.5%で、特に欧州、アフリカ、中東、南アジア部門が成長を牽引しています。

Q: ペプシコの通期見通しはどのようになっていますか?

A: ペプシコの通期見通しは、有機的売上高成長率が約4%に下方修正されましたが、調整後EPSの成長率は少なくとも8%を維持する見込みです。

ペプシコの最新決算発表から見える今後の展望に注目しつつ、投資家は引き続き慎重な姿勢を保つことが重要です。

PepsiCoの2024年4-6月期における市場シェアの推移は以下の通りです:

  1. 炭酸飲料市場シェア:

    • PepsiCoの炭酸飲料市場シェアは24.3%となっています。

    • これは前年同期と比較してわずかに低下しています。

  2. 非アルコール飲料業界内での市場シェア:

    • PepsiCoの市場シェアは54.32%で、業界内でトップの位置を維持しています[5]。

    • 前四半期(2024年第1四半期)の49.21%から上昇しています。

  3. 主要競合他社との比較:

    • Coca-Cola:27.28%(第2位)

    • Keurig Dr Pepper:8.37%(第3位)

    • Monster Beverage Corporation:4.58%(第4位)

  4. 全体的な傾向:

    • PepsiCoは非アルコール飲料業界内で依然として強い地位を保っていますが、一部の競合他社が徐々にシェアを拡大しています。

    • 特にDr Pepper(Keurig Dr Pepperの製品)が炭酸飲料市場で成長を続けており、PepsiCoのブランド「Pepsi」と並ぶ第2位の地位を獲得しています。

  5. 注意点:

    • PepsiCoの事業は飲料だけでなくスナック食品も含むため、飲料市場のシェアだけで企業全体の業績を判断することはできません。

    • 国際市場での成長が引き続き同社の業績を支えています。

これらのデータから、PepsiCoは競争の激しい市場環境の中で、全体的に安定した市場シェアを維持していることがわかります。

*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

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