ショッピファイ(SHOP)の最新決算:創業からおよそ20年で世界的Eコマースプラットフォーム企業へ。【4-6月/Q2,2024】
Shopify Inc (ショッピファイ,SHOP) は、カナダ発、オンラインストアの構築・運営ツールをクラウドで提供するSaaS(ソフトエア・アズ・ア・サービス)。創業から約20年で世界的なeコマースプラットフォーム企業へと成長し、近年は急速な拡大を遂げています。マーケティングや在庫管理、実店舗販売までサポート。アプリストアを活用したカスタマイズ性の高さや、運営者ファーストの設計思想が、その成功の要因となっています。
売上高は21%増加、好調な理由は?
売上高:20億4,500万ドル(前年同期比+20.7%)
-マーチャント:14億8,200万ドル(同+18.6%)
-サブスクリプション:5億6,300万ドル(同+26.8%)営業利益:2億4,100万ドル
-調整後の営業利益は前年同期の2倍以上。
-同営業利益率は15%(前年同期9%)当期利益:1億7,100万ドル
EPS(1株利益):0.13ドル,調整後:0.26ドル
*フリーキャッシュフローマージン:16%
-売上高に占めるフリーキャッシュフロー比率
マーチャントは*Shopify Payments(ショッピファイ・ペイメンツ)の浸透が進み、サブスクリプションは、加盟店数の増加とプランの値上げの効果が出ています。
Shopify Payments・・Shopifyが提供する決済サービス。ストア運営者は決済に関する手続きや管理を簡素化し、より効率的にECビジネスを展開することができます。
Shopifyのサブスクリプションには、マーチャント(出店者)向けと顧客向けの2つの側面があります。
マーチャント(出店者)向けソリューション
マーチャント(出店者)からの売上は、主に取引手数料。<同社の*GMV(流通総額)は、前年同期比で22%増加し、672億ドル(うちShopify Paymentsを通じてのGPVが前年同期比30%増の411億ドル)。>
出店者(マーチャント)はその上で、
月額利用料のみでECサイトを構築可能
初期費用や自社サーバーが不要
基本機能が充実し、不足機能はアプリで補完
出店者は、Shopifyの月額プランに加入することで、ECサイトの構築・運営に必要な機能を利用できます。プランをアップグレードすると、より高度な分析機能などが使えるようになります。
顧客向けサブスクリプションソリューション
出店者が顧客に対してサブスクリプション(定期購入)サービスを提供。
Shopify App Storeのサブスクリプションアプリを利用して設定可能
顧客は繰り返し定期購入を行うことができる
サブスクリプション商品の詳細を管理画面で確認・設定可能
マーチャント(出店者)は顧客に対して定期購入オプションを提供し、継続的な収益を得ることができます。
サブスクリプション・ソリューションの27%増
サブスクリプション・ソリューション収益増加は、加盟店数の増加とサブスクリプションプランの値上げが主な要因。また、月次経常収益(MRR)は1億6,900万ドルに達し、25%の増加を記録。
Shopify プラス(大企業向けプラン)がMRRの31%を占めていることは、企業規模の大きい顧客が増加していることを示しており、同社のビジネスモデルの多様化と安定性を象徴しています。
複数ストア運営のサポート
Shopify Plusプランでは、複数のECストアを効率的に運営するための機能も提供しています:
ターゲットやブランドごとに販売チャネルを持つことが可能
専任のサポートが付く
高度なセキュリティ機能(2段階認証など)
BtoBサイトの運営も可能
これらの機能により、マーチャントは事業拡大に合わせて柔軟にストア運営を行うことができます。
ショッピファイは、マーチャントと顧客の両方にとって使いやすいサブスクリプションソリューションを提供し、ECビジネスの成長をサポートしています。
*グロス・マーチャンダイズ・ボリューム(GMV,流通総額)とは、加盟店のウェイブサイトなどで取引された総額、すなわち、Shopifyのプラットフォームを通じて処理された注文の合計金額のことで、同社のプラットフォームがどれだけ広範囲にわたって利用されているかを示す指標です。
消費者支出が不安定な環境の中でも、Shopifyがシェアを拡大し続けていることを示しています。特に、Shopify Payments(ショッピファイ・ペイメンツ)を通じて処理された流通総額(GPV)が大きく伸びたことは、同社の*エコシステムが深く浸透している証でもあります。今四半期決算を踏まえ「米国と海外のEC市場で引き続きシェアを拡大している」としています。
*Shopifyのエコシステムとは、Shopifyを中心として、さまざまな企業や開発者、サービス提供者が相互に連携し、eコマース事業者に総合的なソリューションを提供する仕組みのこと。
Q3(7-9月)の会社計画は、
ショッピファイは、2024年第3四半期についても前向きな見通しを示しています。売上高は前年同期比で20%台前半から半ばの成長率、売上総利益率も第2四半期からさらに改善する見込みとしています。さらに、*フリーキャッシュフローマージンも引き続き2桁を維持すると予測されています。
この見通しは、Shopifyが今後も持続的な成長を遂げ、長期的な収益性を確保するための戦略が順調に進んでいることを示唆しています。
*フリーキャッシュフローマージンは、企業がどれだけ効率的に売上を現金に変換しているかを示します。比率が高いほど、売上から得られる自由に使える現金が多いことを意味します企業の財務健全性と成長潜在力を評価する上で重要な指標の1つとして、投資家や経営者に活用されています。
About ショッピファイ
設立:2006年
-スノーボードのオンライン販売のために自社ECプラットフォームを開発
2015年: ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場
ティッカー・シンボル:SHOP
株式時価総額:902億ドル(8/16終値)
年間売上高: 70億600万ドル(2023年)
ライバル企業:amazon(AMZN)
日本での同業種:BASE(4477)
2024年現在: 世界175ヶ国以上で、100万以上の店舗に利用されている
従業員数:11,600人
ウェブサイト:Shopify Inc
まとめ
Shopifyの2024年第2四半期決算は、同社が依然として力強い成長を遂げていることを示しています。売上高の増加、フリーキャッシュフローマージンの大幅な改善、そしてGMVやサブスクリプション収益の堅調な推移は、Shopifyがグローバルな商取引と起業家精神を実現するリーディングカンパニーとしての地位を確固たるものにしている証です。
今後もShopifyは、eコマース市場の拡大と共に、テクノロジーの革新と顧客基盤の拡大を通じて、持続的な成長が期待されています。
よくある質問 (Q&A)
今回の決算や事業内容をQ&Aでおさらい・・
Q: Shopifyの第2四半期決算で特に注目すべきポイントは何ですか?
A: 売上高の21%増加、フリーキャッシュフローマージンの前年同期比で2倍以上の16%への改善、そしてGMVの22%増加が特に注目すべきポイントです。
Q: Shopifyの今後の見通しはどうですか?
A: Shopifyは、2024年第3四半期に売上高が前年同期比で20%台前半から半ばの成長率を見込んでおり、売上総利益率も改善する見込みです。フリーキャッシュフローマージンも引き続き2桁を維持することが予測されています。
Q: Shopifyのサブスクリプション・ソリューションの成長要因は何ですか?
A: サブスクリプション・ソリューションの成長は、加盟店数の増加とサブスクリプションプランの値上げによるものです。Shopify Plusの貢献も大きく、企業規模の大きい顧客が増加していることが成長の一因です。
Q: GMVとGPVはどう違うのですか?
A: GMVはShopifyのプラットフォームを通じて処理された注文の合計金額を指し、GPVはそのうちShopify Paymentsを通じて処理された金額を指します。
ショッピファイの巨大ライバルといえば・・
*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。