見出し画像

ベライゾン(VZ)、最新決算:ワイヤレス・サービス収入とブロードバンド加入者の増加が業績を牽引!!【4-6月/Q2,2024年】


ベライゾン(Verizon Communications Inc,VZ)は、地域電話会社ベル・アトランティックが通信大手のGTE買収して誕生。日本でいうところの、NTTやKDDI、ソフトバンクを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。モバイルサービスの携帯通信事業とブロードバンドの固定通信事業がビジネスの核を成します。


携帯通信と固定通信で売上高は328億ドル

  • 売上高:327億9,600万ドル(前年同期比+0.6%)

  • 営業利益:78億1,800万ドル

  • 当期利益:45億9,300万ドル

  • EPS:1.09ドル
    -調整後EPS:1.15ドル

特別項目による損失について

第2四半期の決算には、Tracfoneおよびその他の買収に関連する無形資産の償却費2億1,900万ドル、年金債務の時価評価に伴う費用1億3,600万ドルが含まれ、特別項目による税引き前損失3億5,500万ドルとなりました。

しかしながら、ベライゾンの経営は堅調であり、ワイヤレス・サービス収入とブロードバンド加入者数の増加は、今後を占う上でも明るい要素です。同社は、これらの成長要因を活かし、2024年通期ガイダンス(会社計画)の達成に向け業績は順調に推移しています。
ベライゾンは2024年について、以下の予想を引き続き掲げています:

  • 総ワイヤレス・サービス収入の成長率は2.0%から3.5%。

  • 調整後EBITDA成長率は1.0%から3.0%。
    -EBITDA(イービットディーエー/イービットダー)は、「Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization」の略で、企業価値評価の指標。日本語で「利払い前、税引き前、減価償却前」や「金利、税金、償却前利益」などのような意味となりますが、とくに決まった訳語はなく、簡易的には営業利益に減価償却費を加えて計算。純利益に対する「税率や、借入金利、減価償却費」の扱いがそれぞれ国によって異なるので、この違いを最小限に抑えて「国際的な企業価値の比較や評価」をする場合に、EBITDAが利用されます。

  • 調整後EPSは4.50ドルから4.70ドル。

  • 資本支出は170億ドルから175億ドル。

  • 調整後の実効税率は22.5%から24.0%。

ワイヤレス・サービス収入の増加は?

ベライゾンのワイヤレス・サービスは、同社の主力事業の一つで、モバイル通信サービスを提供しています。

第2四半期における携帯通信事業売上高(ワイヤレス・サービス、ワイヤレス機器、FWA,その他)は、263億7,100万ドル<うち、いわゆる携帯通信サービス=ワイヤレス・サービスが197億7,300万ドル>
消費者向けワイヤレス・ポストペイド・アベレージ・レベニュー(ARPA)の伸びによるものであり、ARPAは価格設定の強化や固定ワイヤレスの普及によって上昇しています。

*ARPAは、通信事業者が使用する重要な指標の1つ。ARPAは契約者単位の売上を示すため、複数端末を所有する現代の利用実態を、より正確に反映。

ベライゾンの携帯電話の後払い契約は、アメリカの主要な通信サービスプロバイダーであるベライゾンが提供する携帯電話サービスの一形態です。以下にその特徴を説明します。

後払い契約の概要

後払い契約(ポストペイド)とは、利用者がサービスを利用した後に料金を支払う方式です。ベライゾンの場合、以下のような特徴があります。

  • 毎月の請求サイクルに基づいて料金が請求。

  • 通話時間、テキストメッセージ、データ通信量などの利用状況が追跡され、月末に請求されます。

  • 契約時に信用調査が行われることがあります。

後払い契約のメリット

  1. 大容量データプラン: ヘビーユーザーに適しています。

  2. ビジネス向け機能: 複数回線の管理や従業員間でのデータ共有などが可能です。

  3. 追加サービス: モバイルホットスポット機能や優先的なネットワークアクセスなどの特典があります。

ベライゾンの後払い契約の特徴

  • 契約数の増加: ベライゾンは後払い方式の契約数を順調に伸ばしています。

  • 純増数: 第2四半期では、ベライゾンの携帯通信事業全体の後払い契約は前四半期比34万件の純増。法人顧客がモバイル関連投資を増やしたことが要因。

  • 解約率:消費者向けワイヤレス後払い電話の解約率は1.00%、携帯電話(後払い)の解約率は0.79%と安定して低い水準を維持。
    -ベライゾンの後払い契約は、安定した利用パターンを持つユーザーや、高品質のサービスを求めるビジネスユーザーに適しています。これはベライゾンの高品質なサービスと顧客満足度の向上に力を入れた成果といえます。


アメリカに来たばかりの外国人は、クレジットスコアがないため、後払い契約を結ぶことが難しい場合がありますが、その場合、プリペイド(前払い)方式のプランを選択することになります。

ワイヤレス・サービス(携帯通信事業)の特徴

  1. ワイヤレス・サービスはベライゾンの収益の大きな部分を占めており、値上げとプレミアム・プランを選択する顧客の増加が売上増加に寄与。

  2. 音声通話、データ通信、テキストメッセージングなどの基本的なモバイルサービスを提供。またネットフリックスやマックスのストリーミング・プランをバンドルするなど、特典を提供して顧客の獲得・維持を図っています。

今後の展開

  • 5Gネットワーク拡大など、継続的なネットワーク投資を行い、サービスの改善や効率化のためにAI技術の統合を進め、ネットワークの強化を図っています。

  •  FWA(*固定ワイヤレスアクセス)事業からは年間20億ドル以上の収入を見込み、成長分野として注目されています。
    - *従来の有線ブロードバンド(光ファイバーやケーブル)のように地中や建物内に新たな配線を必要としない、顧客宅内に専用のモデムを設置するだけで利用可能なため、導入が比較的簡単です。

  • 2024年第2四半期には固定ワイヤレス加入者が21万8,000件増加するなど、顧客基盤の拡大に成功。固定ワイヤレス加入者数も37万8,000件に増加し、前年同期比で約69%の増加を記録しています。この成長は、ベライゾンが提供する高速度で信頼性の高いインターネットサービスが、消費者の生活に不可欠な要素となっていることを示しています。

ベライゾンのワイヤレス・サービスは、同社の成長戦略の中心であり、継続的な投資と技術革新を通じて、競争力の維持と市場シェアの拡大を目指しています。

ブロードバンド加入者数の急増の理由は?

第2四半期には、*ブロードバンド純増数が39万1,000件に達し、8四半期連続で37万5,000件を超えました。(うち光ファイバー・ブロードバンド・サービス「Fiosインターネット」の前四半期比契約純増数は、2.8万件)。第2四半期末時点でのブロードバンド加入者総数は1,150万人へ。

ベライゾンが提供する高速度で信頼性の高いインターネットサービスが、消費者の生活に不可欠な要素となっていることを示しています。

ブロードバンドとは

今さらですが、*ブロードバンドとは、高速かつ大容量の通信が可能なインターネットサービスの総称。「ブロード(broad)」は「広い」、「バンド(band)」は「帯域」を意味し、文字通り「広い帯域」を使用する通信技術を指します。


  1. 高速通信: 従来の通信方式と比べて、はるかに高速なデータ転送が可能。

  2. 大容量: 大量のデータをスムーズにやり取りできます。

  3. 常時接続: 24時間365日、インターネットに接続された状態を維持できます。

主な種類

ブロードバンドには以下の主な種類があります。

  1. 光回線 (FTTH): 最も高速で、現在の主流となっています。

  2. ADSL: 既存の電話回線を利用した方式ですが、現在は衰退傾向にあります。

  3. ケーブルテレビ: ケーブルテレビ網を利用したインターネットサービス。

ブロードバンドがもたらす可能性

ブロードバンドの普及により、以下のようなサービスや可能性が広がっています。

  1. IP電話: インターネットを利用した低コストの通話サービス

  2. ネットワークストレージ: クラウドベースのデータ保存・共有サービス

  3. 高品質な動画ストリーミング: 4K、8Kなどの高画質動画の視聴

  4. オンラインゲーム: 大規模なマルチプレイヤーゲームの実現

  5. テレワーク: 在宅勤務やリモートワークの促進

ブロードバンドは、現代のデジタル社会を支える重要な基盤技術となっており、今後もさらなる発展が期待されています。

2024年の『ダウの子犬』ベライゾン

年初にニューヨークダウを構成する30企業の中から、高配当&低株価を5銘柄を選んでいく、投資法「ダウの子犬」2024年版にはベライゾンは選ばれています。

配当利回りの目安

  • 直近配当実績:0.665ドル

  • 年間配当:0.665×4=2.66ドル

  • 株価:40.90ドル(8/14終値)

  • 2.66÷40.9×100=6.5%

*手数料、税金等は考慮に入れていません。配当利回りは購入時の株価によって変わります。

About ベライゾン

  • 創業: 1983年(ベル・アトランティックとして)

  • 設立: 2000年(ベル・アトランティックとGTEの合併により、ベライゾン・コミュニケーションズとして設立)

  • 上場年: 2000年(ニューヨーク証券取引所)

  • ティッカー・シンボル:VZ

  • セクター:コミュニュケーション・サービス

  • 株式時価総額:1,696億ドル(約25.3兆円,8/14終値)

  • 年間売上高:1,339億ドル(2023年)

  • ライバル企業:AT&T(T),T-Mobile US(TMUS)

  • 日本での同業種:NTT(9432),KDDI(9433),ソフトバンク(9434)

  • 従業員数:約117,100人

まとめ

ベライゾンの2024年第2四半期における、ワイヤレス・サービス収入やブロードバンド加入者数の増加は、同社が提供するサービスの質の高さと、顧客ニーズに応える戦略の成功を示しています。特別項目による一時的な損失にもかかわらず、ベライゾンの経営は堅調であり、今後も成長が期待されます。

よくある質問 Q&A

今回の決算や事業内容をQ&Aでおさらい・・

Q1: ベライゾンのワイヤレス・サービス収入はなぜ増加したのですか?
A1: ワイヤレス・サービス収入の増加は、消費者向けのサービスが好調であり、顧客満足度の向上や新しいプランの導入が成功したためです。

Q2: ブロードバンド加入者数の急増の理由は何ですか?
A2: ベライゾンが提供する高速で信頼性の高いインターネットサービスが、消費者の生活に不可欠となり、多くの新規加入者を獲得したためです。

Q3: 2024年第2四半期の特別項目による損失はどのような内容ですか?
A3: 特別項目による損失には、Tracfoneおよびその他の買収に関連する無形資産の償却費や、年金債務の時価評価に伴う費用が含まれています。

Q4: ベライゾンの今後の展望は?
A4: ベライゾンは、ワイヤレス・サービス収入やブロードバンド加入者数の増加を背景に、2024年通期ガイダンスの達成に向けて順調に推移しています。引き続き成長が期待されます。

Q5: ベライゾン・コンシューマーセグメントの成果は?
A5: ベライゾン・コンシューマーセグメントの収入は、サービス収入の増加がワイヤレス機器収入の減少を一部相殺し、前年同期比1.5%増加しました。これにより、全体の収益を押し上げています。

*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?