2024年第2四半期,Q2【4-6月】米主要銀行決算:伸びる収益、立ちはだかるコスト
2024年の第2四半期<4-6月>における米国の主要銀行の決算発表。JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティグループの各行は、予想を上回る収益で、いずれも特定の部門で顕著な伸びを示しました。しかしながら、コストの増加や経費削減の進捗に対する懸念が浮上し、投資家の反応は必ずしも一様ではありません。このnoteでは、3銀行の決算内容を分析します。
米銀行株の第2四半期決算まとめ(4-6月)
1. JPモルガン・チェース(JPM)
経常収益: 510億ドル(予想502.0億ドル)前年同期比+20%増
1株利益: 6.12ドル(予想5.42ドル)
FICC: 48.2億ドル(予想49億ドル) 同+ 4.6%増(Fixed Income, Currencies, and Commoditiesの略で、債券、通貨、商品のトレーディングを指します。)
エクイティ: 29.7億ドル(予想27億ドル)
投資銀行: 24.6億ドル(予想21億ドル) 同+46%増
アドバイザリー: 7.9億ドル(予想6.4億ドル)
株式引受: 4.9億ドル(予想3.9億ドル)
債券引受: 11億ドル(予想9億ドル)
純受取利息(NII): 228.6億ドル(予想228.2億ドル)同+4.5%増
融資残高: 1兆3,200億ドル
預金総額: 2兆4,000億ドル
貸倒引当金: 30.5億ドル
通期見通し
純受取利息(NII): 約910億ドル(予想913億ドル)
投資銀行部門が46%増収となり、予想を上回る経常収益を計上。特にトレーディング部門の株式エクイティが好調。また、ビザ(V)株式交換に絡む数十億ドルの利益も計上し、過去最高益へ。
ただし、貸倒引当金がパンデミック初期以来最高となり、通期の純受取利息(NII)見通しが予想を下回りました。
2. ウェルズ・ファーゴ(WFC)
経常収益: 207億ドル(予想203億ドル)前年同期比+0.8%
1株利益: 1.33ドル(予想1.30ドル)
純受取利息(NII)119億ドル(予想122億ドル)
商業銀行: 31億ドル(予想32億ドル)
コーポレート・バンキングおよび投資銀行: 48億ドル(予想46億ドル)
ウェルス&インベストメント・マネジメント: 39億ドル(予想38億ドル)
貸出総額: 9,170億ドル(予想9,240億ドル)
預金総額: 1.35兆ドル(予想1.36兆ドル)
貸倒引当金: 12.4億ドル(予想12.8億ドル)
純受取利息(NII)が予想を下回る一方、1株利益および経常収益は予想を上回り、コーポレート・バンキングおよび投資銀行部門が好調。経費が予想を上回り、経費削減のスピードが予想よりも遅いことが懸念。
3. シティグループ(C)
経常収益(調整後): 201億ドル(予想201億ドル)前年同期比+3.6%
1株利益: 1.52ドル(予想1.40ドル)
市場部門: 51億ドル(予想48億ドル)
FICC: 35.6億ドル(予想36億ドル)
株式: 15億ドル(予想11億ドル)
バンキング: 16.3億ドル(予想15.5億ドル)
投資銀行: 8.53億ドル(予想8.70億ドル)
純受取利息(NII): 135億ドル(予想132億ドル)
融資残高: 6,877億ドル(予想6,805億ドル)
預金残高: 1.28兆ドル(予想1.31兆ドル)
貸倒引当金: 24.8億ドル(予想26.0億ドル)
株式トレーディングが好調で市場部門の収入が予想を上回るもコストの見通しに懸念。コスト削減の取り組みが進む中、通期のコストが従来の予想レンジの上限に達する可能性が高いことも発表。
各銀行ともに、収益や部門別のパフォーマンスは堅調でしたが、経費やコストに関する懸念が影響し、決算発表後の株価は3銀行とも下落して週末を迎えています。
JPモルガンチェース<JPM,▼1.21%,204.94ドル>
ウェルズファーゴ<WFC,▼6.02%,56.54ドル>
シティ・グループ<C,▼1.81%,64.52ドル>
*株価は終値です。+▼前日比
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?