9/10 希望
・12時半起床。散歩。
・朝ご飯、ハムバーガーとハムサンド。
・動画作業。
・だらだら。
・昼ご飯、肉まんとアイス。
・あるニュースに衝撃を受ける。
・風呂。
・動画作業。
・夜ご飯、サイコロ肉。
・だらだら
今日は自分で料理してみた。
ハムが4枚あったので、うち2枚はバーガーに、2枚はサンドに。
美味しかった。
それより、今日は衝撃的な出来事があった。
昔からずっと大好きで、何度も何度も遊んだゲームがある。
今の俺は、普段ゲームはやらないのだが。
味わう度に感動し、思い出す度に心温まり、思わずあの世界へ行きたいと願ってしまうほど、とにかく愛していて、自分の創作(音楽も含めて)のルーツとも言える作品がある。
“Cresteaju”。
20年も前になる、PCのフリーゲーム作品だ。
今でこそ俺は物語を考えるのが好きだが、正直世の中の物語には教養がなかった。
漫画、アニメ、ドラマ、映画、ゲーム、世の中で流行ってるものに興味がなかった。
家族が家で楽しんでるのを、俺も隣で見てただけ。
Cresteajuも、そうやって知った作品。
小学生の頃、兄がやっていたから、俺も真似してやってみただけ。
フリーゲームも特にたくさん遊んだわけじゃない。
しかしこの出会いこそが、俺に想像/創造することの楽しさを教えてくれたのだ。
最初は不慣れなので全然できなかった。ゲームは結構難易度が高いし、幼かったので漢字も読めず、ストーリーとかもよくわかんない。
ただ……素敵だった。
クリアできたのは、何度も遊んでもっと後になってからだが、クリアすることなんて考えずなんとなく触ってる頃から、惹きつけられるものがあった。
当時は何が良かったのかもわからない。多分、ボタンを押すと主人公が動いて、セリフを喋って、戦闘シーンになると画面が変わって、グラフィックが格好良くて。そういう一つ一つに「わーすげえ」ってなるだけで十分だったんだと思う。
そう、戦闘が3D画面だったことは結構大きいと思う。人生で最初に遊んだゲームがこれだったので当時は3D戦闘画面が一般的に珍しいということを知らず、そのすごさがわからなかった。
けど、バカだった俺でも明確にわかる魅力は、何より。
音楽だった。
よく覚えてないけど、多分、家でもどこでもずーーーーっと口ずさんでたんじゃないかな、当時の俺。
ゲーム音楽というもの自体も、その演出自体も、全部初めての体験だったから本当に新鮮で。
戦う時に疾走感あるかっこいい音楽が流れる。勝つと喜びを表す音楽が流れ、負けると悲しげな音楽が流れる。
街へ行けば活気ある曲が、ダンジョンへ出かければ少し暗めな曲が。強い敵との戦いが始まると、通常の戦闘とは大きく違ったスタイリッシュな曲が流れて緊張感が漂う。
今でこそ「ゲームってそういうもんでしょ」となるが、何もかもが初めてだった俺には、
「え、なにこの世界、素敵すぎ」と思わざるを得なかったわけで。
その「ゲームってそういうもの」を知るための初めての体験が、一般的にはドラクエやFFであろうものが、俺はこの個人制作のCresteajuだった。
そして、俺はそのことを誇りに思ってる。
素敵な世界に魅了されて、何度も遊ぶうちに少しずつ進め方もわかるようになり、歳も取ってストーリーも理解できるようになり、何度もクリアした。
他にも一時的にハマったゲームはいくつかあるけど、Cresteaju(以下、クレス)に関しては不思議とハマっている自覚などなかったと思う。
ただ、一度クリアして、期間を空けてはまたやりたくなり、またクリアして、また期間を空けて再熱し……
を繰り返し、なんだかんだ7、8周……はしたんじゃないだろうか。もっとしたかな。
そうしながら、ふんわりと自覚していく。
ああ、「大好きな作品」って、こういうことなんだろうな、と。
年月を経て遊ぶ度に、それまで気づかなかった新たな魅力に気づいて、また好きになる。大人になればなるほど好きになっていく。
その他にも、ゲーム、アニメ、ドラマ、映画などとの出会いでちょくちょく感動体験は重ねた。母数は少ないけど、大好きなものもいくつか挙げられる。
しかし、それらが「昔から大好きで何度も味わってるクレスよりも好き?」と自分の中で問いかけると、イエスと思えたことがないのだ。
比較するものではないが。
気づけばいつも、心の中にクレスがあったように思う。
学校の休み時間、自由帳に敵キャラとHPゲージを書いて、友達を呼んでターン制バトルごっこをして遊んだのも、それがPCで簡単に作れるソフトを見つけて没頭し、ストーリーを考えることにのめり込んだのも、
全部、クレスと出会わずして歩むことではなかったんじゃないか。
少し創作が行き詰まって、初心を思い出そうとする時も、何を思い出すか。
忘れられない映画の解説? あの時ハマってたドラマやアニメ? 好きな作家のインタビュー?
いいや。
クレスだ。
作者のShouさんがとある対談音声の中でさらっと話していた、
「思ったものをつくりなさい」
という言葉の意味を、俺は今でも時々確認するのだ。
もはや幼少期から思い出として培ったものだから、クレスよりも強い新鮮さと衝撃を、大人になってから受けることなんてそうそうない。
ある時からたくさん映画やアニメを観るようになり、ストーリーの魅力を以前より理解できるようになった今でも、クレスを超えるものに出会える気がしないし、別に出会わなくていいと思ってる。
そんな、大好きな大好きな作品は、20年も前のものだ。
攻略サイトも次々に潰れて、ファンサイトの掲示板も更新がなくなった。
今もずっとずっとブックマークに入れているファンサイトがあるが、まるで時が止まり、人が消えて寂れてしまった村のようで、すごく切なかった。
知る人ぞ知る……はずのものとはいえ、ほぼほぼ忘れ去られて、自分しかその存在を認識していないような寂しい気持ちを抱えていたものだ。
作品の中の“彼”の気持ちって、こんな感じに似ているだろうか……いや、こんなもんじゃないか。
せめて自分の中で、思い出として大切にしてさえいれば、それでいいのだろうな……と。
思っていたところに、だ。
「人生、何があるかわかんないよね」
なんて。
悪い意味でしか捉えられないような俺だったが。
初めて、良い意味で捉えることができたような気がした。
このニュースを知る直前まで、俺はすごくナイーブな気持ちでいた。
しかしその瞬間、溢れんばかりの興奮で、普段見せない饒舌ぶりをTLに晒してしまった。
またクレスに出会える。
それを今後、生きていく希望にできるかな。
20年前の純粋な楽しさに、心の針を逆流させられるまで。