自選短歌31首とはじめまして雨虎です!

はじめまして!

のらねこ歌会の世話人

短歌ユニット 糖花〈こんふぇいと〉のメンバー

江戸雪さんのカルチャースクール受講者

あとなんだっけ

短歌の結社には無所属の


雨虎俊寛(あめふらしとしひろ)です( ̄∇ ̄*)ゞ

唯一の自慢が短歌の全国総合誌NHK短歌テキストの「ジセダイタンカ」に寄稿したこと!

もうコレ以上は無いでしょう(笑)


自選30首を置いておくと引いていただく機会に親切ということで

1首オマケで

自選31首をば(既に発表した作品に推敲を施してあります)


「サ..ヨな.ラ...」に気づいてるのに切れかけの蛍光灯をそのままに去る


改札で君を見送る日々だった七道駅をまた通過する

*七道 しちどう


薄雪はまだ踏まれずに側道の消火栓の蓋ここにあるはず


搬送後に一息つける場所がなく救急車内後部でジョージア


砂時計をくるりと返すそれだけで時は君ごと戻る気がして


橙に滲むタワーを振り返ることができずにもう三ノ宮

*橙 だいだい


一羽だけ止まるとこなく首かしげ駅舎の鳩はホームを歩く


宇宙へは海抜高度100kmで君の街より近いだなんて

*100km ひゃっきろ


小惑星B612を訪ねたい 小麦畑で見上げてる夜

*B612 びーろくいちに

  

ひと雨が過ぎて見馴れた駅前の街のにおいともてあます傘


はつなつの野に咲きほこる花たちの花言葉だけ教えてほしい


銀色の月の滴の形したベンチに座る 靴がぶつかる


もう少しこの小節に居たいけどD.S.から※へ飛ぶのだ

*D.S.ダルセーニョ *※セーニョ


願い込め川面を跳ねる石のよう 一段飛ばしに近づいてゆく


ほんのあと少し伸ばせば届く手をアステリズムの線でつなげる


おずおずとさくら貝した指先を迎えにゆけば腕がからんだ


まだ傘を差さなくていい雨のなか肩に頭をあずけてくれた


あたしたち食べあうようなくちづけをして無花果の皮を剥ぎあう


大人びた君が子供で次の日はまた大人びて僕にはにかむ


海沿いの展望台は遠くまで見えすぎていてふたり黙った


僕のことまるで見てない横顔の長いまつ毛に今さら気づく


(ひきよせる)やがてうすれるいとしさのたったひとつも忘れぬように


ぼんやりと写真の奥で浮いているポートタワーに触れてみる夜


ずっとまだ消せないメール もう君が僕を呼ぶ声も忘れたけれど  


降りてすぐ深呼吸した あのころと変わらない風、駅名標も

*駅名標 えきめいひょう


青葦の八幡堀をめぐる舟「また乗ろうね」が果たせぬままに

*青葦 あおあし


河岸で今も揺れてるねこじゃらし水上バスを待ってたことも


ほんまやな「花火みたい」と言っていた濡れる舗道に映る街灯


少しだけマシな男になったかな 電話ボックスに映りこむ夜


結局はミシン目だけがつないでたサイフの中の映画の半券


思い出が通せんぼして渡れない青信号の横断歩道