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沼底エッセイ

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友人たちの何度も読みたい粘土系セックス・ノート
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2020年12月の記事一覧

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 急な会議の予定が入って、明日は会えなくなった。そういうメッセージを受け取った。

 音はしないし気配もしない水が流れ込んできてみるみる部屋を満たし、わたしは水底にいた。水面に自分の臓器が浮かんでいる気がした。離れたところで細波にゆれているのを感じる。会えたら9ヶ月ぶりの再会だった。数字は今さら、どうだっていい。
 息をするのもしっくりいかない。喉を出入りする空気が重い。と思えばもっと重いのは臓器

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