秘密主義ランキング
学生の頃、クラス文集というものがあった。学年の終わりにクラスの委員が中心に作るお手製の文集。
1人1人の自己紹介のページや、その子へのメッセージを集めたページがあったりする。
その中でも人気だったのはクラスの〇〇ランキング!
"将来お金持ちになりそうな人"とか。"スポーツ万能な人"とか。"優しさのかたまりな人"とか。
私はなるべく目立つような事はせずに生きていたタイプだから、こういったランキングに入る事は少なかった。ごくたまに同率3位で名前があると、へぇ〜そう見えるのかと面白く感じていたくらい。
ところが高校3年生の文集のとあるランキングで、私がNo. 1に入っていた。目を疑った。そう、それが秘密主義な人ランキング!
秘密主義…?最初思い当たる節は全くなかったんだけど、クラスメイトは何となく納得している風だった。
あ、私ってそんな風に見られてたんだ。確かに自分の話をあんまりしないから…と同時に、皆どれだけ自分の話をするんだろうと驚きもした。
昔から自分の話をするのは苦手だった。人からは、聞き上手だねなんて褒めてもらえる事もあったけど。自分の話から話題を逸らすために、"うーん、なんだろう…◯◯ちゃんはどう?"と聞き返してきたような気がする。
大人になった今も、私は自分の話をしたがらない。自分で話していて、面白くないのだ。自分が知っている事を自分の耳が聞いても、あまり心が動かない。
それよりも知らない相手の話が聞きたい。何を思って、そんな行動をするのかを知りたくなる。自分ができる話なんて、大したことないものばかりだとも感じてしまうのだ。
最近心に溜まった言葉がある。
『どうでもいい事かどうかは、相手が決める事だから話してみたらいいんだよ。』
私は上手く話すことに神経をそそぎすぎて、相手の言葉を受け止める事を忘れてきたのかもしれない。相手から始まる話を聞くだけでなく、自分の話への返事を受け止めることも会話なんだよなと改めて思った。会話の基本を思い出した。