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物語の続きのために

陽射しはまだ暑いのに、空や風に、秋が見えかくれしている。
 
こっくりした色を食べたくて。
いつも秋になるとよく作る、生クリームたっぷりのかぼちゃのスープを。
 
狭間の季節は一瞬で、少しでも手を加えたくなるのは、時を止めたい気分になるからか。
それとも、胸に刻むためか。
 

 
「シンデレラのスープ」と名付けたのは、かぼちゃの馬車を思い出すからというより、魔法が解ける真夜中を思い出すから、という方が正しい答え。
 
 
鍋の中で、軽やかな夏の魔法はあっという間に消え、生クリームを足してかき混ぜれば、もっと深い鮮やかさに出会える。
向日葵の黄色から、かぼちゃのオレンジへ。
 
記憶は続き、その上を私たちは歩いていく。
解ける魔法にはいつも、その後の物語の続きがあるのだ。
 
私にとって真夜中のようだったこの夏が解かれ、
朝日がのぼるように、秋は無事にやってきた。
 
 
 
recipe:
かぼちゃ4分の1をカットして、ひたひたの水で煮て水の中で粗くマッシュする。
生クリーム200cc、牛乳1〜2カップ
三温糖大さじ2〜3
コンソメパウダー、岩塩、粗挽黒コショウ少々
隠し味にカレーパウダー小さじ1〜2
全て入れて温める(沸騰させないこと)
 
 

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