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メタバースの住人がVR開発プランナーに サックー氏に聞くVRとの出会いとambrでの仕事

採用広報担当のアシュトンです。

プランナー職のインターンとしてambrで働く一方、VRChatプレイ時間1850時間以上、制作ワールド10以上、総Visit数30万以上と、個人のワールドクリエイターとしても活躍するサックーさん。今回は、彼にVRChat上でインタビューを行い、VRの世界にのめり込んだキッカケや、ambrへジョインした経緯、プランナー職とワールド制作の親和性などについて深掘りしていきました。

VRユーザーが、実際にxR企業へジョインし趣味を仕事にしたストーリーや、そこで見えた親和性や相違点、ambrひいてはxR業界の魅力などが詳しくわかる記事になっております、ぜひ最後までご覧ください!

Sakk/サックー
VRChatを中心にVRゲームで遊んだり、VRChatのワールドを作ったりしています。いくつか個人でVRアプリ制作もしていました。ambrには2021年7月にjoinし、TGSVR2021の開発に携わりました。


もともとアウトドア派だったが、コロナ禍でVRの世界に

──本日は、私もサックーさんも重度のVRChatユーザーということで、VRChatからインタビューさせていただきます。このワールドもサックーさんが制作したワールドなんですよね?

サックー:
そうです。ここは「LogHouse_in_Mountains」というワールドで、一昨年の11月くらいにアップロードしました。ここの背景は実際に北アルプスに行って撮ってきた写真で、あそこが槍ヶ岳、あれは涸沢です。

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▲自身の制作したワールドを紹介するサックー氏
(ワールド名: LogHouse_in_Mountains)

実はコロナ禍の前は結構アウトドア人間で、大学でも登山系のサークルに入ったりしていました。それで、山やキャンプ系のワールドを作ることが多くて。今ではすっかりVRの人ですが。

──もともとは、アウトドア派だったんですね。VRにはいつ頃から興味を持ったのでしょうか?

サックー:
VRゴーグルを購入したきっかけはVRゲーム「Half-Life: Alyx」でした。それまでもSteamで販売されているようなPCゲームはよくやっていて。2020年3月頃に「Half-Life: Alyx」が発売されたときに、ネット記事などでその情報を見かけて面白そうだなと思いました。

▲「Half-Life: Alyx」公式トレーラー。
Valve社より2020年3月に発売開始された

──それまでは特にVRゲームなどへの興味はなかったんですか?

サックー:
そうですね。「Half-Life: Alyx」もたまたまネット記事を見かけたくらいでした。さらにその2、3年前、いまから5年ほど前に、秋葉原で少しVRゲームを体験したことがあるくらいです。VRゲームの存在自体は知っていたけど特別な関心はなかったですね。

──懐かしいですね。私も一番最初にVRを体験したのは2016年頃の秋葉原でした。当時ちょうど「Oculus RiftS」が日本上陸を果たしたくらいの時で、秋葉原の「G-Tunes」でジェットコースターを体験しました。

ちなみに、その時に購入したVRゴーグルは何だったんでしょうか?

サックー:
「HP Reverb Virtual Reality Headset」でしたね。当時はまだ「Quest2」なども発売前で、4K解像度で価格も5万円程度とコスパがよかったのが決め手です。

──なるほど。それで「Half-Life: Alyx」をまずは購入されたと。そこから本格的にVRコンテンツにハマるまでの経緯をお聞かせください。

サックー:
やはり、最初にプレイした「Half-Life: Alyx」が面白かったというのは強く影響してます。届いた初日に、「Half-Life: Alyx」をプレイして、少し遊んだ後にSteam HOMEのトップに表示されていた「VRChat」をインストールしてみました。

──「VRChat」はVRコンテンツの中ではかなり有名ですが、事前に知っていたというわけではなく、たまたまSteam HOMEにあったから始めたという感じなんですね。

サックー:
そうですね。無料だったのでとりあえずやってみようと。その初日で「VRChat」にもハマりました。少し調べて、「[JP] Tutorial world 」を見つけて、そこで良い案内人の方に出会えたのでスムーズにのめり込みました。普段はQuestコミュニティーで、ラジオ体操部やマッチョ部などのイベントに遊びに行ったり、夜はフレンドと過ごしていることが多いです。プレイ時間も1850時間程度になりました。

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▲自身制作のワールドでくつろぐサックー氏。
初日からハマった「VRChat」はすでに1800時間以上プレイしているという

そうした中で、「このVR界隈ってこれからめちゃくちゃ発展していきそうだな」と感じて、そういったところで働けるといいなと強く思い始めました。

「xR転職合同相談会」をキッカケにambrへインターン入社

──なるほど。そこからambrへジョインした経緯についてはいかがでしょうか?

サックー:
もともとのきっかけは、就活に向けてVR・XR系のインターンをしたいなと考えたことです。そこから6月ごろにはいえろさんが主催する「xR転職合同相談会」というイベントに行ってみて、そこでambrを見つけました。それまでも、VRChatのフレンドに元々VRSNS「ambr」出身のユーザーがいたりと、なんとなく聞いてはいたけれど、詳しくは知らないという感じでしたが、そこで気になって後日Twitterでプランナー職のインターンの募集を見て、応募したという流れです。

その時はちょうど「xambr」始動でTGSVR2021をやり始めたという時期で、「大きなプロジェクトが動いてます!」「最高の仮想空間体験を作っていきます!」という意気込みを聞いて、ここで一緒に働きたいと思いました。

──プランナー職について業務内容などもう少し詳しくお聞きしてもよろしいでしょうか?

サックー:
IT系の職種はなんとなくエンジニアのイメージが強く、プランナーというのは少しイメージがわきにくいですよね。プランナーはざっくりと説明すると、企画サイドと開発サイドを繋いだりまとめたりするのが主な役割です。自分で手を動かして作るというよりは、プロジェクトの進行管理がメインになります。その点、エンジニアと異なり、自分ができないことでも実現できるというのは、ひとつ魅力になります。

──なるほど。実際にプランナーとしてインターン入社したことで得たambrの印象についてお聞かせください。

サックー:
7月末に入ってTGSVR2021が佳境の段階だったのもあり、めちゃくちゃ忙しいというのが第一印象でした。みんな仕事に追われてる中で必死にキャッチアップしていくという。それもあって、入ったばかりでもかなりの裁量が与えられました。信頼して仕事を任せてくれるというのは大変である一方で嬉しかったです。

ジョインして1ヵ月後には、社外ミーティングにも同席させてもらって、最初は結構ビビってたんですが、段々図太く発言できるようになっていきました。そうした発言もしっかり取り入れてくれてやりがいを感じましたね。

プランナー職はVRChatワールド制作と通じる部分が多い?

──ちなみに、サックーさんといえばVRChat上でもかなりワールド制作に力を入れている印象ですが、そういった部分での経験が仕事上で役に立つこともありますか?

サックー:
意外と、VRChatのワールドづくりに一番近いのがプランナー職だなと思います。VRChatのワールド制作は、スクリプトを実際に書くというよりも、シーン上にオブジェクトを置いたりコンポーネントを付けたり、ライティングを設定したりなどが多いです。実は、そういった部分はプランナーが担ってます。

「TGSVR2021」の制作でも、移動できるエリアの設定やコライダーの設置、本番環境でのベイク作業などを担当しました。その時に発生する不具合やエラーの対処などには、VRChatワールド制作の経験が活かせました。

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▲趣味のVRChat上の活動が仕事に役に立ったと語るサックー氏。
今回のインタビューもメタバース上でフルリモートにて実施した。

──なるほど。ワールド制作は基本1人作業だと思いますが、プロジェクト制作はチーム作業になります。その部分で、VRChatワールド制作とはここが大きく違うといった相違点があれば教えてください。

サックー:
やはり、個人作業とチーム作業は全くの別物です。趣味のワールド制作は、好きなようにしても誰も文句は言わないですよね。あとで自分が苦労する程度です。ただ、大人数で制作するとなると色んなルールのもとで作業しないといけません。

例えば、シーンファイル自体を保存してはいけないという部分。普通にワールド制作をしていれば、シーンファイルは自動で保存されますが、複数人での作業環境だと各々が保存してしまうと大変なことになってしまいます。そこで、プレファブに保存してシーン自体は保存しない、GitHubを使って作業するなど、細かい部分も勝手が違います。

また、外注先との素材のやり取りなどもプランナーの役割ですが、ここは集団作業ならではの課題です。素材のやり取りの上で生じる遅れや待ちなどを考慮しつつ、全体としてボトルネックが発生しないように調整するなどはかなり苦労しました。

──サックーさんはVRChatのワールド制作以前からUnityやVR開発の経験はあったのでしょうか?

サックー:
Unityは、大学1年生のころにノベルゲームを作ろうとして2Dですがほんの少しだけ、VR開発も一度大学の研究室用に実験環境を設計した程度で本格的に触れたことはありませんでした。Unityを本格的に触り始めたのは、まさにVRChatのワールド制作からで、実践を通して困ったら都度調べるなどで徐々に学んで行った形です。

──そこはすごいですよね。VRChatにハマると、それまで未経験でもゲーム開発エンジンである「Unity」を操作せざるを得なくなる。そこから、サックーさんのように仕事に繋がるケースもあるというのは驚きの環境です。

サックー:
ある意味、ゲームクリエイター育成プログラムですよね(笑)
おそらく、個人でVRアプリを作れるようになるくらいの技術はVRChatを通して学ぶことができます。ただ、もちろんエンジニアとして職に就くためにはそれだけでは足りないです。ambrの場合だと、マルチプレイ対応や設計の部分はワールド制作とは全く勝手が異なるし、VRChatを通して学ぶだけでは当然足らないかなと。

逆に言えば、プランナー職に必要な技能としては役に立ちました。これも、当然Unityが触れればプランナーとして働けるわけではなく、仕様書をまとめたり進行管理をしたりとそれ以外の部分も大きいですが。また、XR企業に関わるという意味では、VRChatに限らずVRアプリに日常的に触れているというのはプラスに働きます。使いやすいUIや、求めている体験などがユーザー目線で分かるというのは重要な観点です。

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▲VRChatは「ゲームクリエイター育成プログラム」と語るサックー氏。VRChat上ではこうしたワールドやアバターはユーザーがUnityやBlender等の開発環境を用いて制作・アップロードしている。

「まずはプランナーとして独り立ちできるように」 野望は姿や声に囚われない存在の一般化

──ありがとうございます。VRChatワールド制作とプランナー職の親和性、VRユーザーが業界で働く際の強みなど実体験からの興味深いエピソードお聞きできました。最後に、サックーさんが今後ambrで目指していることや個人的な野望についてお聞かせください。

サックー:
そうですね。今はプランナー職のインターンではあるのですが、またディレクターの金山さんが担ってくださっている部分も多く、まずはプランナーとして独り立ちをするというのが直近の目標です。

特に素材関係の打ち合わせや調整だったり、外注関係の調整能力、仕様書をまとめる考え方などを積極的に学んで、身に着けていきたいです。そのうえで、個人のVRでの体験や経験を活かして、どうやったらユーザー目線で良いものを提供できるのかを考えて実装できるプランナーになっていきたいです。

実は、TGSVR2021が終わった後にCEOの西村さんに、他の様々なVR企業のCEOとお会いする機会を作っていただいたことがあります。そこで感じたのが、いまVR業界っていくつも企業があるけれど、その横のつながりは非常に強いということです。みんなで良い業界にしていこうという、ライバルではあるけれど仲間みたいな空気感がある業界です。

個人的には、今後VRだけではなくARやMRなどxRがさらに一般化した社会において、姿とか声とかそういったものに囚われない存在がありふれたものになるといいと考えてます。まだ具体的なところは見えていないのですが、例えば今はもっぱらVRでしか使えない「アバター」というものをARに落とし込むなど、ゆくゆくはそういった更に広いxR開発に関わっていけたらなと考えています。

サックーさんありがとうございました!

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▲インタビュー後に撮影したツーショット
(左:筆者(アシュトン)、右:サックー)

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