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「ambrは挑戦しながら楽しむ会社」 CEO×CTOが語るTGSVR2021開発秘話と未来

採用広報担当のアシュトンです。

2018年創業以来、VRSNSの開発からメタバースクリエイティブスタジオとして仮想空間構築プラットフォーム「xambr」の提供開始、その第1弾として世界三大ゲームショーの1つである「東京ゲームショウ」のVR会場「TOKYO GAME SHOW VR 2021(以下、TGSVR2021)」の開発を担当するなど、最高の仮想空間体験を世に送り出すために奮闘するambr。

今回はそんな弊社のCEO西村さんとCTO藤田さんに、TGSVR2021の開発秘話や、それを中心としたambrのこれまでの取り組み、そして会社のカルチャーや今後の展望など、さまざまなお話を対談形式でインタビューしました!

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▲「ambr」オフィス、エントランスの前にて(左から西村さん、藤田さん)

Takuya Nishimura / 西村 拓也
東京大学法学部卒業後、株式会社インスパイアにて、プライベートエクイティファンド運営・大企業における新規事業開発プロジェクト等の業務に従事。その後外資系AIベンチャー、国内エンタメテックベンチャーの取締役を経て、株式会社ambrを創業。

Yusuke Fujita / 藤田 裕介
医療設備会社でVRとオンラインを駆使した仮想設備検証シミュレーターを単独で企画/設計/開発。ambrを創業後、VRSNS「仮想世界ambr」の開発を手掛け、直近では「TOKYO GAME SHOW VR 2021」のテクニカルディレクターとして開発統括を担当。

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人の人生を変えるような居場所を届けたい

──まずは、TGSVR2021お疲れ様でした。一旦、大きなプロジェクトが終わって、改めてその開発、さらにはメタバースクリエイティブスタジオとして方向転換した経緯や今後の展望について、CEOの西村さんとCTOの藤田さんにお話しいただきたいと思います。

西村:
そうですね。まず、こちらから藤田さんに聞いてみたかったことがあって。ambrで最初やりたかったことや、関わろうと思った理由について、あと今それは変わっているのか、どこまで実現できているのかとかの話を改めて伺ってみたいなと思います。

藤田:
CTOの藤田です。まず、ambrには創業時からメンバーとして関わっています。背景としては、前職でもVRの開発を行なっていて、個人的にCGの開発は面白い一方でもっと広く利用できるシーンがあるのではないかと感じていました。その中で、2016年くらいにコンシューマー向けの一体型VRゴーグル「Oculus Rift」とかが出てきて…...

これまではゲーム向けなど偏った領域のみに集中されてきた「CGの力」というものが、VRの登場でゲームチェンジになると思いました。その世界に入り込むという体験はこれまでになかったし、CGの重要性はさらに高まる。個人的にもVRには注目をしていたんです。

何かできないかなと心の内側でふつふつ思っていたところに西村さんから「VRの力を使って居場所(コミュニティ)づくりをしたい」と声をかけてもらって…...とそんな経緯でした。

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▲もともとは仮想世界「ambr」の開発からスタートした

西村:
ただ、VRSNSの開発からメタバースクリエイティブスタジオ事業へ転換したことで、今は居場所より体験作りになっていると思いますが、そこについてはどうですか。

藤田:
VRにおける「体験の重要性」はもちろん重視しています。他のものでは見られない体験で、むしろ現実を超えるほどのインパクトすら持っていると思う。ゲームなどもこれまで没入感などはありましたが、VRの体験はレベルが一段階違います。そのため、体験づくりを考え、それを実現する独特の面白さは変わりません。いわば、「体験」はVRを考える上で常に横たわっているものだと思います。

一方で、「居場所」というワードも個人的には気に入っています。居場所を増やすことには人の人生を変えるような社会的な意義もありますし、VRっていうものが人の役に立つというのも魅力的です。その技術を使ってTGSVR2021を届けて、満足してもらえたとしたら、それは我々にしかできない仕事で、そこに携われているというのは純粋に誇りに思います。

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▲メタバースクリエイティブスタジオになっても「居場所」の重要性は変わらない

──ありがとうございます。最後にTGSVRのお話も出ましたが、こちらも非常にインパクトが大きかったと思います。元々VRSNS開発で名乗りを上げた弊社が、今はメタバースクリエイティブスタジオとしてメタバース構築プラットフォーム「xambr」の提供を開始しました。その第1弾がTGSVR2021だったわけですが、そもそも「xambr」というのはどういったものなのでしょうか?

VRSNS開発の経験がユーザーファストの体験設計に繋がった

西村:
まず、「xambr」についてですが、これはアバター機能や、コミュニケーション機能、マルチデバイス対応など、「マルチプレイ仮想空間アプリ」に必須な機能を高レベルで揃えている基盤システムです。かつ、カスタマイズ性・拡張性が高いという点が特徴で、TGSVR2021で実現したようなユーザー体験ファーストで実現したい機能を付け加えることができます。

例えば、通常プラットフォームを借りる場合だと、プラットフォーム都合のユーザー体験構築になってしまいますよね。ただ、基盤システムである「xambr」と組めば、ユーザー体験都合で仮想空間やプロダクトを構築するベストな選択になります。

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▲「xambr」参考資料

藤田:
このマルチデバイス対応という部分には、ambrのこれまでの積み重ねが深くかかわってくるんです。VRSNSとして創業した際に、最初ターゲットが一体型VRゴーグルの「OculusGo」で、モバイル向けでした。それで、処理性能が軽量なデバイス向けの開発をしてきました。

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▲OculusGo向けの開発経験が軽量化に活かされた

TGSVR2021もゲーマー向けとはいえ、VRユーザー以外の一般のお客さんも多い中で、幅広い層が体験できるものにしたかった。そのためには一般的なノートPCであっても動くようなアプリケーションにしなければなりませんでした。そういった軽量化のノウハウは結構活かせました。

また、「xambr」の特徴として基盤システムは共通のものを使うため、プロジェクトを回していくにつれて経験値を積むことができるというのも利点です。TGSVR2021の話でいうと、これ以前にも関連するプロジェクトとして、ロシアNIS貿易会(ROTOBO)主催のバーチャル合同展示会がありました。その延長線上としてノウハウが活かせたというのもあります。

──HIKKYとのコラボレーションで実現した「Beauty Fair Japan 2020 on the Web」のバーチャル会場ですね。

藤田:
そう。そこを挟んでいたのはよかったです。

──実際にTGSVRに反映された機能もあったのでしょうか?

藤田:
動画の再生や、異なる要件のブースを個々に設計するなどの部分は、前プロジェクトのノウハウを引き継ぐことでだいぶ楽にできました。

──逆に今回からの機能という点でいえば、以前カンナさんへのインタビュー記事でも言及されていた「Grab&Play」などですよね。そういった、プラスアルファの部分についてもぜひ詳しくお聞きしたいです。

藤田:
TGSVR2021の特徴として、VR参加者の比率が今までのプロダクトで一番高かった点が挙げられます。実は今回から、Oculus Questシリーズ単体でも利用できるようになりました。結果、Questで来てくれたユーザーも含めると60%以上がVR利用での参加だったというのは象徴的です。

VR利用向けの開発においても、基本的な機能は作ってきた資産を使いつつ、表現したいことに注力できたのは強みです。限られた開発期間の中で「Grab&Play」などの新機能も開発できました。

動画や企業提供のポスターなどの「視聴体験」というのは一番重要な点だと初期からフォーカスしていました。VRデバイスでの視聴体験は、動画をそのまま表示するだけだと視認性がよくないんですね。

PCでもVRでも見やすいような方法を考える中で、カンナさんのアイディアもあり引き寄せるスタイルに落ち着きました。これは企業が一番PRしたいコンテンツの視聴体験の向上に直結する部分で、UXとしても非常に重視したポイントです。

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▲「Grab&Play」では自分の元に画像や動画が引き寄せられる

裏テーマは「TOKYO GAME SHOWがゲームになる」試行錯誤を重ねたアジャイル開発体制

──UXの部分でもう少し詳しくお聞きしたいです。例えば、ブースやワールド全体の設計はどういった経緯があったのでしょうか。

藤田:
会場設計の初期段階では、もちろん幕張メッセをそのまま再現して落とし込むような案も出てきました。しかし、VR体験や画面越しに見る体験としては最適じゃないよねと。

一方で、ブースが点在してしまってクオリティは高いのに、1つ1つ見られはしないというのは避けたかったんです。目当てのところに行くとしても色々なブースに触れられ、かつテンポを阻害しないような空間設計を突き詰めていきました。その中で、オープンスペース型の案に行き着いたのです。

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▲ブース型とスペース型の違い

西村:
今回はステークホルダーが多くて。電通もいれば、出展企業も、主催者のCESAもいる。その反対側にはエンドユーザーもいる。さらに、お金を頂いてるのはスポンサーだったりするという複雑な構図です。

結局は誰に向けて作るのか。その部分は、最初から一貫してエンドユーザーにフォーカスしたユーザーファーストの体験設計しました。開発体制もそれに向けています。その背景にはコンシューマー向けにVRSNSを作ってきたという経験があります。エンドユーザーに満足してもらうためには、どういう開発をしなきゃいけないか、VRだったらより快適に遊んでもらえるというようなノウハウや、そこに対して考える会社のカルチャーが弊社にはあります。一言でいえばアジャイル開発ですが、ギリギリまでユーザー体験をあげる開発体制が整っていました。

クリエイティブスタジオは法人向けの事業なので、つい法人に向いてしまいがちな分野なんです。ただ、ambrの方向性としてはそういう事業をしつつエンドユーザー重視にしていきたい。そこにはこだわっていきたいと考えています。

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▲ユーザー体験ファーストについて熱く語る西村さん

──今のお話しに関連して、TGSVR2021の中でエンドユーザーに楽しんでもらう具体的な取り組みはどのようなものがありましたか。

藤田:
具体的な部分でいうと「つながりのカケラ」ですね。ブース出展だけだと、企業が出したい情報とお客さんがしたい体験との結びつきが弱いという話があったんです。ユーザーにとってのゲーム要素、その世界でやってもらうことを用意したい。

そこで、企業が出したテキストや画像素材を収集していくというテーマから、発展したのが「つながりのカケラ」集めでした。

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▲集めた「つながりのカケラ」はアバターTシャツに反映できる

西村:
ここでも大前提としているのは、エンドユーザーファーストの思想です。単に、企業ブースを見てもらいたいというだけではなく、TGSを愛している人に向けて作りたい。ゲーマーが楽しめる、ゲーム愛に溢れるような施策をしたい。それなら、ゲームを集めたり好きなゲームを自己表現で使えたらいいんじゃないかという想いから生まれました。

TGSVRを乗り越えたことで、ambrは挑戦しながら楽しんでいく会社だということを再確認できた

──結果としては誇張なしに大成功だったと思います。ユーザーやメディアからも反響が大きかったですよね。

藤田:
好意的な意見が非常に多くてありがたかったです。社内的には想定以上の反響をいただいたという印象でした。バーチャル系のイベントって国内でも出てきている時期ですが、その中でも客観的に見てもこれまでのイベントへの反響とは一味違う声をいただけました。バーチャルイベントはまだ過渡期です。そうした現状で、VRに対するみんなの期待やイメージ像を一段上げれたのではないかと思っています。

──ユーザーにとっても期待以上だったということですね。

藤田:
TGSって楽しいイベントなんです。各社工夫を凝らしたブースがあって、回ってるだけで楽しい。だからこそハードルが高い。元の楽しい体験と比較されますし、これまで築き上げたブランディングイメージもあります。ゲームという点もあって、期待感が非常に高いのが特徴です。そうした中でこれだけの反響があったのは素直に自信に繋がりました。

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▲想定以上の反響となった「TGSVR2021」

西村:
僕らとしては、VRの可能性を感じたイベントでした。正直な話をすると、時間も限られていましたし、もっとやりたいことがあった中で今回実現できたことはほんの一部でした。開発リソースを割ければもっともっとすごい体験が作れる。ただ、今回高い評価をいただき、多くの人に楽しんでいただけた。次回はもっとプラスアルファの部分に挑戦して、さらに多くの人により深く楽しんでいただけるようなモノが作れると確信しています。そういう意味で、VRの可能性を改めて感じたイベントでした。

──具体的に今回、達成できたことや学んだことなどあれば伺いたいです。なにか目標などはあったんでしょうか。

藤田:
ある種、究極的な目標は、TGSVR2022をやりたいということです。

西村:
少なくとも僕が思っていた一番の目標はそれですね。

藤田:
これには色んな要素が必要で、ある特定の誰かを満足させればいいという話ではありません。先ほども述べた出展企業やスポンサー、エンドユーザーなど様々なステークホルダー皆を満足させないと、次もやってくださいという話にはならないので…...今回そういう意味では、どちらに対しても手ごたえがありました。

合同展示会の中でも大規模なイベントでしたが、イベントのフォーマットのなかでも、エンタメという枠でも、ユーザーさんがイベントに来て「よかった」と思ってもらえて、満足していただけたというのは達成できたことの1つです。

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▲「TGSVR2021」で達成できたことを振り返る藤田さん

西村:
あと達成できたこととしては、まとまった体験・プロダクトを提供できた点ですね。事故も、目立った不具合もひとつもなく、スムーズにできた。これは「xambr」の第1弾としても最高の結果でした。

藤田:
そこは非常によかった点ですね。今までで一番上手くいったと思います。

──プロジェクトを通して学んだことなどで具体的なエピソードがあればお聞かせいただきたいです。

西村:
学んだことはありすぎて(笑)

藤田:
個人的に面白かったのは、世界観の導入の体験はユーザーへのインパクトがかなり強いという発見です。これはおそらくVRイベントならではの性質で、世界観が必要、舞台づくりは切り離せない。ユーザーもやはりそこを見ているし、全体の体験にも関わってきます。そこは、個人的な発見でした。

西村:
一番思ったのは、VRのものづくりは楽しいということですね。大変だけど、それを含めてVRのものづくりは楽しい。言われたものや過去のもの、ありきたりなものを作るのではなく、新しい体験を生み出していくんです。その楽しさは唯一無二です。ambrは挑戦しながら楽しんでいく会社だということを再確認できました。

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▲「ambr」メンバーの集合写真・新しいことに楽しみながら挑戦できる環境がある

世界に通用するVR企業を目指す 成長したambr、未来への展望

──TGSVR2021という大規模なプロジェクトを乗り越えたことで、組織として・チームとしてどのような点で成長できましたか

藤田:
今までで一番分業体制をしいて進めていけたかなと思います。開発面では、関わった人数が一番多かった。これまでの2倍以上です。そうした開発環境の中でも、省略してしまいそうなブラッシュアップ案を拾ってくれる人や、新しいアイディアを提案する人もでてきたり…...その文化は大切にしていきたいなと思います。

西村:
VRでTGSを作るという経験をできたのは大きいです。ワークフローなどを一通り体験・理解できました。この規模でプロジェクトを回したことは唯一無二で、他に経験したことがある人は業界にもほとんどいません。法人向けのVR空間づくり、VRクリエイティブスタジオとして、一連再現性をもって取り組める能力は身に着けた。そのために必要なメンバーもいるというのは心強いです。

一方で、VRの中でもさらに新しい分野に挑戦していかなければいけない。僕らは進化の途上にあります。ただ学んだことを再現性を持ってやっていくだけではなく、まだまだ新しい体験設計や学びに挑戦していくことを意識していかなければなりません。

藤田:
そういう意味では、幅広い領域で一連経験できたので、次の案件をやるときは、その辺を省エネでできる知見が増えましたね。新しいことにチャレンジできる余力は次回になるともっと持てそうだなと思いました。
あるあるな話では、丸ごと外注してしまったとかいう事例もあります。そこは、助っ人はいつつも社内できちんとやっているので、社内にノウハウが蓄積するようにしていました。100%自社開発というのは強みです。

体験設計

▲企画・体験設計・開発まで一貫して自社で行うのはambrの強み

──TGSVR2021を通して、より多くのユーザーや企業にambrの名前を知っていただいたと思います。さまざまな案件の問い合わせなども来る中で、今後はどのような共創プロジェクトを行なっていきたいでしょうか。

藤田:
我々が作っていくものは最終的に遊んでもらう対象はエンドユーザー、会社がターゲットにしているお客さんです。バーチャルならではの体験を見込めて面白そうなものをやっていきたい。提案型の開発は刺さるのではないかと思います。

西村:
僕らの事業は課題解決よりかはエンタメだと思っているので、新しい体験や表現に挑戦できるようなプロジェクトをやりたいと考えています

TGSVR2021も僕らだけでは作れなかったです。コンテンツやファンを持っている会社さんと一緒にそのIPとユーザー・コミュニティに向けていいものを作っていくことがやりたいと思ってます。

もう1つは、日本を代表するような、世界に通用するグローバルなVR企業にしていきたいですね。そのためにも、グローバルなプロジェクトにもとりくんでいきたいです。

──ここまでTGSVR2021を中心に、ambrの歩みを振り返ってきました。最後に、ambrの魅力や展望についてお2人からお話しいただき、インタビューを終わりたいと思います。

藤田:
当初から一貫しているのがエンドユーザーを考えてやるということです。「これ面白いんじゃない」というエッセンスの取り入れ方は、独自性につながりやすいし、ファンを広げる力になるし、エンタメ領域のイベントには相性の良い考え方です。そこを実際に、試行錯誤しながら考えて落とし込み、その力を高めていく。そこがambrの魅力ですね。

西村:
展望というと、日本を代表するグローバルなVR企業を実現するというのが目標です。マルチプレイ、エンタメ、メタバースというような領域ですね。日本のメタバース企業として、日本からメタバースを実現していく。共創にももちろん取り組んでいきますが、自社VRSNSにも再び取り組んでいく予定です。

西村さん、藤田さんありがとうございました!

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