シニアの片づけ[モノは劣化する]
全てのものには終わりがあるというけれど、
「モノ」って劣化する。
空き家でなくても、住んでいる家でも詰め込んだモノは劣化する。
高齢になると、狭い範囲しか動かなくなるし、動けなくなる。
2階に上がれなくなるし、玄関が遠いと荷物を受け取るのも大変になる。
なので、できれば1部屋とか1LDKくらいで、トイレも玄関も近い方が暮らしやすい。
日々の暮らしで精一杯になると、家の隅々までは手が行き届かなくなる。
庭の手入れや物置のメンテナンス、家の周りの植栽の手入れや掃除も難しい。広い室内を全部屋掃除するのも難しくなると思う。
以前、90歳のご夫婦の片づけのご依頼を受けて、2DK程度の高齢者住宅を訪ねた事がある。
90歳のご夫婦が自立して生活しているのだから、それは素晴らしいのだが、普段の生活=[寝起き、3食食べる、病院へ行く、シンク周りや簡単な清掃、誰かと会う]ようなルーチンな日常の事はできるのだが、大掃除したり、衣替えをしたりする事が困難になっていた様子だった。
シンクの周りは綺麗なのだが、目線を上げると天袋や部屋の桟という桟に1㎝以上の埃が溜まり、奥の収納の衣類やクリーニングの袋は埃まみれになっていた。
物置化した各部屋のメンテナンスも出来ないままだと、劣化したプラスチックやダンボールは散り散りになり、カバンや革製品はベタついてしまう。
大事に仕舞い込んでいた贈答品なども、折り染みや焼け、黄ばみやカビなども出てしまい、そのままでは使えない状態になってしまう。
カビ臭かったり、トイレットペーパーが湿気を吸って、ずっしり重くなっていると寄付するなど出来ずにそのまま処分品となる。
新品だけど、経年劣化している品は、パラパラしたりカサカサになったりしている。
お客様から折り畳みの傘を頂いた事があるが、使用しようとしたら、傘の要の部分のプラスチックが劣化していたようで、綺麗な傘の花が咲く事は出来なかった。
あげていくとキリがないが、室内のモノの劣化、家の劣化、空き家が朽ちていく様子や、動物の棲家になってしまう事もあり、メンテナンスしない家は近隣住宅への影響も出る事だろう。
モノは使ってこそ生かされる。
もったいないと詰め込んでいても、どんどん劣化する。
そのほうがむしろ「もったいない」
必要な品を、必要なだけ、必要な分は与えられているんじゃないかな?