見出し画像

第173回 都からの刺客 の巻

京都・長岡天神を参拝したときにあった、本殿の説明書きをネタに。

大宰府への道中、都からつけてきた殺し屋に道真が襲われそうになったところを白い牛が現れ殺し屋を倒して道真を助けた、そんな伝説です。

道真・天神と牛はニコイチ。では、実際の道真は牛を飼っていたのか? 調べてみたことがあります。

ふだんは馬に乗って通勤していたので馬は飼っていることは判明しています。 

では、牛に関する記述がないか・・・『菅家文草』を丹念に見ていくと「庭の花壇に牛の足跡が残っていた」という記述が!

道真が牛を飼っていた証拠を発見!と喜んだのですが、何度も読むとやっぱり違うような…。 詩的な表現で「牛の足跡」が使われているようなのです。 さらに調べてみると、道真の詩の源である唐の漢詩にもそういう比喩表現があるようで。

…つまり実際の道真は牛は飼っていたことを確実にいえる文書は今のところないのです。

ではなぜ道真と牛がニコイチかというと…

道真=天神=天満大自在天神 は、インド・ヒンズー教のシヴァ神、仏教でいう「大自在天」。 牛にのった姿で描かれていたことによります。

つまり、道真&牛コンビは道真が亡くなって何十年もたってからの怨霊伝説がスタートなんですね。

日本で「牛」というと、ホルスタインのあの白黒模様で「マォ~~~!」ってなく、あの牛をイメージします。かわいらしいイメージなのです(実際は平安時代の牛は茶色。白黒の牛が入ってきたのは明治以降)。

そんなこともあって天神さんと牛は現代でもよいイメージでとらえられているようです。

いかし・・・もし天神さんが毘沙門天みたいにムカデとコンビだったとしたら… 今ほど人気なかったかもしれないな (個人的には毘沙門天は大・大好きな仏サンですが)。

この記事が参加している募集

日本史がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?