『Egg〈神経症一族の物語〉』第3部 第六章
「んで、これがそのとき撮った写真なの?」
下北沢の居酒屋の一角で、写真を現像するともらえる紙製のアルバムを手に取りながら、岡田葵はギャラこと西島秀樹に尋ねた。
「だー! ダメダメ! 誰にも見せないって、高藤先輩と約束してんだからっ」
葵の手からアルバムをひったくると、ギャラは大事そうに胸に抱えた。
「ぶー! 見せろよお」
「やだ! 絶対見せない!」
後ろを向いてアルバムが絶対に葵に奪われないように必死な様子のギャラを見て、葵は大きくため息をついた。
「あんだよ