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沿岸バス 豊富幌延線~幌延留萌線に乗った話

私の中で道央⇔道北の移動手段と言えば、鉄路か航空機、あるいは夜行バスしかしか選択肢がなく、だったらのんびり酒が飲める宗谷本線で…という選択の仕方が常であった。

しかし沿岸バスという会社がオロロンライン沿いに路線バスを走らせており、しかも日中は対宗谷本線比でそこそこ便数があるという事を友人に教えてもらう。
冬の道北を走り、しかも路線バスで数時間の移動という興味深さもあり、せっかくの機会なので勢いで乗りに行ってみることに。ただの便乗です。笑


起点近くの豊富市街地

連休最終日ということもあり、羽幌あたりまではガラガラかなと思いきや、部分部分での地元民の乗車がそこそこいるように見受けられた。

これまで乗ってきた宗谷本線は、遠隔地間のマクロな移動が時間帯でどれほどあるのかこそわかるものの、各駅から降りた後はどのように人が動くのか~という所までは当然分かるべくもなく。
その意味では、近距離の都市間を結ぶ役割も担う長距離路線バスでしか見ることが出来ない、そこで暮らしていくことを選択した人が普段使うようなミクロな行動圏を垣間見れる機会でもあったのではないか。


雪原の中を進む

バスは雪道の中を順調に進む。
ラジオを流しながら営業運転する路線バスには初めてだったが、地元の方には当然のようで、当たり前のように静かな車内にパーソナリティの声が届き渡っていた。この路線でバス車内がワイワイガヤガヤすることはあるのだろうか…

天塩町のバス停。路線全体で建物のバラエティに富む


天塩町を出たのちは、しばしば日本海を横目に走る

バスからモノトーンな景色を眺めつつずっと思っていたのは、ここに住んでいる人達も、大多数はワクチンを複数回接種し、パンデミックの世をこの地で生き続けていくことを自らの意思で改めて決めたんだなということである。広大な車窓を見ていると全くパラレルの世界のように錯覚してしまうが、そのメンタリティはこの地でも大都市でも大して変わらないのだろう。

実際のところ、自分を含めそこまで考えて、あるいは選択肢が与えられて生きる人など極めて少数なのであろうが。

反対側には羽幌線の廃線跡も続く。想像以上に立派な印象
遠別営業所
羽幌営業所

この路線は計3名の運転手が交代で担当する。交代のタイミングで少々時間的猶予が設けられているのか、申告すればトイレ休憩として出発を待ってもらえるという独特なルールがあるようだ。
ただし、高速バスとは違ってあくまで申告制である。

この日見た限り、バスの運転手の年齢層はやはり高めである。
数年前の記事では、道内のバス運転手の平均年齢は50代後半との調査結果もあり、それは10年前から10歳以上も押し上げられた結果だ。おそらく2023現在はさらに高齢化が進行しているであろう。もはや補助金がどうだとか、賃金や職場環境で人材を定着させるとか、そういう次元の話ではないように感じられる。
呼び込んだ客を乗せるバスを増便させる余裕もなければ、ベースアップを求めてでも、その職場を選び続けるような次世代が存在しないのである。


除雪車とのすれ違い

この日は南下するにしたがって積雪量が増大し、終着の留萌付近は吹雪となっていた。路線の名称にもなった羽幌市街は除雪が少し追いついていないようだ。
町の活気という観点では想像より少々異なっていた。炭鉱時代のハコモノが聳えどんよりとした雰囲気なのかと思いきや、意外と真新しいチェーン店や人の往来があるようだ。さすがに沿岸バスの本社を構える土地なだけはあるが、町のどこに働き口があるのか全く想像がつかなかったのも偽らざる本音である。

羽幌以南は各バス停から留萌市外に向かう乗客がポツポツと乗車し、最後の方は立客が出るほどであった。留萌本線を乗るだけでは分からなかった留萌の拠点性を見れたのかもしれない。

留萌十字街で旭川行に乗り換えるために降車。
雪道でもほぼ時刻どおり着けたことの感動に浸る間もなく、すぐさま旭川行が到着。あまりのストレスフリーな乗り継ぎに、暫しあっけにとられてしまいました。

中々楽しい体験をすることが出来、コスパという観点からも移動の選択肢としてアリだなと感じた次第です。

バス旅でゆるっと過ごす事にハマりそうな2023年の初旅行でございました。


旭川駅の月見そば美味しかったです

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