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渡部昇一流『四書五経』の解釈

59、ジタバタしない
🐢 丘(きゅう)の禱(いの)ること久し 🐢(『論語』述而第七)

孔子が病気のときに、子路がお祈りしようと言うと、
孔子は「自分は前から祈ること久しい」と答えた。
つまり、「今更ジタバタすることはないよ」と言ったわけである。

孔子は大体七十三ぐらいで死んだと言われている。
これは今の年齢に換算すると百歳を超えるほどの長命である。

私の観察では、八十歳ぐらいではまだ病気で苦しんで死ぬ人が多いけれど、
九十歳を超えると、ほとんど病気で苦しむことはないようである。
あるいは、九十ぐらいだとまだ生に未練がある人がいるけれども、
九十五歳ぐらいになればそれもなくなるようである。

今なら百歳を超えるような年齢に相当するまで生きたから、
孔子ももう生に未練があるわけではなかったのであろう。それで、
わざわざ長命のお祈りや病気が治るお祈りをする必要はないよ、
と言ったのではないかと思うのである。

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