勝つために必要なのは長所の向上か、それとも短所の改善か

このnoteは、東大野球部に学生スタッフ兼アナリストとして所属する私、齋藤周(Twitter→@Amapenpen)が、日々の練習内容や気づいたことをメモしておくためのものです。

オリンピック

昨日でオリンピックが終わりましたね。個人的にはなんといっても、野球とソフトボールでの二冠がとても嬉しかったです!

オリンピックを見て野球以外のスポーツでのデータ活用に興味を持ち、先日「サッカーデータ革命」という本を読みました。

この本では長年かけて集められた膨大なサッカーのデータをもとに、サッカーというスポーツを客観的に捉えようとしているのがおもしろいところです。

先日、サッカー関係のツイートをしたのもこの本の影響でした!

ぼくはそれほどサッカーについては詳しくありませんが、本の中には野球でも活かせそうな知見があったので、今回はそのあたりのことについて書いてみようと思います!

長所を伸ばすか、短所を改善するか

この本の中で個人的に1番おもしろいと思ったのが、「チームの長所を伸ばすよりも短所を改善する方が勝ち点に貢献しやすい」という話です。

スタメンで最も優秀な選手の能力を10%向上させたときに得られる勝ち点は5ポイントくらいなのに対し、最も劣る選手の能力を10%向上させたときに得られる勝ち点は9ポイントほどになる、と書いてありました。

よって、サッカーにおいてチームを効率よく強化するには、まず弱点を埋めることに目を向けた方がよい、というわけです。

もちろん様々な理由があると思いますが、ぼくは野球のボール回しと同じだなと感じました。

野球経験者の人はイメージがつきやすいかと思いますが、ボール回しのタイムを縮めていくためには、毎回必ず胸に投げられる人がいることよりも、暴投する人がいないことの方がはるかに重要です。

このようにサッカーやバスケ、そして野球のボール回しのようないわゆる「パス回し」においては、弱点補強の方が有効なわけですね。

しかし、野球という競技自体ではまた違うのではないかと思っています。

下位打線の.200の打者が.250になるより、エースの防御率が3.0から2.0になった方が勝利には近づきやすいでしょう。

さらに野球では、試合において「投手vs打者」という1つ1つの対決の積み重ねが占める割合が高く、その対決においては周囲のチームメイトの能力による影響をあまり受けないため、弱点の克服と長所の発展がもたらす勝利への影響力にはサッカーほど差がないのではないか、という気がしています。

監督としての成績と現役時代の成績

もう1つおもしろかったのが、「選手としての成績が優秀だった監督のほうが監督としても成果を残しやすい」という話です。

よく「名選手は名監督にあらず」なんて言葉がありますし、実際にMLBでは元選手ではないコーチなども出てきているので、この結果は少し意外に思いました。

「現役時代の成績はそれほどでもないけれど監督としてはすごく優秀だった」という人の方が、「選手としても監督としても優秀だった」という人よりも印象に残りやすい、という面もあるのかもしれません。

また、全体を統括するような仕事がメインの監督と、直接的な技術指導がメインのコーチでも、適性がすこしづつ変わってくるような気もします。

とはいえ「監督が勝敗に対して与える影響はあまり大きくない」という話も書いてありました。

これはよく言われていることでもあり、個人的にも監督の指示がどうこうというより、選手が試合の中で1つ1つの判断をどう下すかという方がはるかに重要だろうと考えています。

そのため東大では、紅白戦でノーサインにしてみたり、井手監督からのご提案でコーチャーをなしにしてみたり、ということにも取り組んでいます。

ベンチから試合中に出せる指示は限られていますから、いかに選手の一瞬一瞬の判断の精度を上げられるか、というところにもこだわりながら、秋のリーグに向けて実戦的な練習を重ねていこうと思います!


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