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学生コーチ目線からみた選手の成長曲線

このnoteは、東大野球部に学生スタッフ兼アナリストとして所属する私、齋藤周(Twitter→@Amapenpen)が、日々の練習内容や気づいたことをメモしておくためのものです。

齢21にして初めてマックを食べました

先日、21年の人生で初めてマックを食べる機会がありました。

どうしてこれまでマックを食べたことがなかったのかというと、実家では外食の文化があまりなかったことや、小さい頃に体操を習っていたためジャンキーな食べ物や甘い食べ物を避けていたためかな、と思います。

そのため、友達とマックに行ったりした時は、プレミアムローストコーヒーだけ頼んで耐え忍ぶ、というライフスタイルを送っていました。

しかし、チームメイトに一度は食べてみるべきだと言われたので、もう選手としてやっているわけでもないし、食べてみることにしたのです。

21年間我慢していたこともあり、初めてのマックはびっくりするくらいおいしくて、普通に感動しました。

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リニア思考

特にスポーツの世界なんかだと、「今日より明日、明日より明後日」と常に前進することを目指して練習すると思います。

もちろんそれは望ましいことなのですが、現実問題としては伸び悩んだり、時には後退してしまうこともあります。このように伸び悩んだり後退してしまったりする時間は、プレーヤーにとって非常に苦しいものですし、できれば避けたいものだと思います。

しかし、学生コーチとして選手の姿を日々観察し、またコーチングや心理学など色々と勉強していく中で、伸び悩みに対する考え方も少しずつ変わってきました。

読書好きで知られるビル・ゲイツさんは毎年オススメの本を紹介しており、その中に「データを正しく見るための数学的思考」という本があるのですが、この中に「リニア思考」という話があります。

これは「人間は物事を線形な関係で捉えたがる」という話で、「野球の能力は日々向上する」と考えるのもリニア思考のひとつの例です。

イメージとしてはこんな感じですね。

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しかし、学生コーチとして日々選手を見ている経験から言うと、実際の選手の成長というのはこんな感じかなという気がしています。

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日々前進と後退を繰り返しながらも、全体としては少しずつ前に進んでいるよね、というイメージです。

トータルでプラスにすること

選手としては1日1日が勝負なわけですから、「昨日と比べて上達したか」というところをシビアに追求しなければいけません。

しかし一方で、こうしたミクロな視点に一喜一憂することなく、マクロな視点で成長を捉えて自分にとって必要な努力を根気強く継続することもまた重要なのかなと思います。

なぜなら、上のグラフのように選手の成長曲線は単純な線形ではないからです。

例えば、ケガをしてしまったときに無理して早めにプレーを再開し、結果として治るまでの時間が長くなってしまった、ということがよくあります。これはミクロな前進に囚われすぎて、トータルで大きなマイナスになってしまう典型例です。

こういう失敗は学生コーチとしてはできる限り防いであげたいなと思う反面、意欲的であるがゆえに発生してしまうことなので、どうしたら防げるのかわからなかったのも事実でした。

0でも100でもない最適解

そしてこれが、冒頭のマックの話とつながってくるのです。

僕自身もこれまで、0か100かで物事をみることが多かったように思います。「マックは食べない」とか「毎日納得いくまで練習する」みたいな感じです。

しかし、こうした考え方はミクロな観点で最適化されているように見えつつ、実はマクロで見るとベストではないかも、と初めてのマックを食べながら思ったのですね。

例えば僕の場合、マックを食べたあとに「食べた分運動するぞ」とか「次のご飯は控えめにしよう」という気持ちになりました。なので、もしかするとトータルではマックがプラスに働いた可能性もあります。

これは野球においても同じで、「無理して練習するより休んで疲れをとったほうがトータルでプラスに働く場面もあるのではないか」とか、「一時的に後退したとしても練習の方向性を変えない方がうまくいく場合もありそうだな」とか、選手をやめて学生コーチとなった今では思うのです。

もちろん1日1日に全力を注いでいる選手がこういう考え方を持つのは難しいと思いますし、ミクロな成長にこだわるのも非常に大切なことです。

しかし選択肢は0と100だけではないし、その中間が最適解になることだってあるはずなので、こうした柔軟な考え方を持っておくことが「トータルでのプラス」を実現するために必要なのかもしれません!

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