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スイングスピードを上げる方法を科学的に考える
このnoteは、東大野球部に学生スタッフ兼アナリストとして所属する私、齋藤周(Twitter→@Amapenpen)が、日々の練習内容や気づいたことをメモしておくためのものです。
打撃成績を向上させるために
緊急事態宣言で練習ができなくなってから、「どうしたらチームの打撃成績が向上するか」というところをずっと考えているわけですが、なんとなく考えがまとまってきた部分もあるので、それを書き留めておこうと思います。
打撃成績をよくするには、打球速度をあげることや打球角度をいい感じにすることが必要だとされています。このあたりはこちらの記事でまとめました。
打球角度を意識して調節するのはかなり難易度が高いわけですが、それに比べると打球速度はまあまあ再現性があり、練習によって向上させやすいので、打球速度をあげていくことがもっとも大切だと考えています。
さらにこれを深掘りすると、打球速度にもっとも強い影響を与えるのがインパクトの巧拙(=どのくらい芯で捉えているか)であり、その次に大切なのがスイングスピードだとわかっています。(ソースはこちら)
インパクトを上達させるのとスイングスピードをあげるのでは、スイングスピードをあげる方が取り組みやすいだろうということで、今のところ「打撃成績をあげていくために最も重要視すべきはスイングスピードだろう」と考えています。
そこで、スイングスピードをあげるためにはどんな能力が必要なのか?となるわけですが、これは筋パワーや下半身の筋力、握力などが強く関係しているのではないか、と言われています。(ソースはこちらとこちら)
したがって、これらの能力を重点的にアップさせる練習をしていきたいのですね。
パワーと力は別物である
では具体的にどんな練習をすべきなのか?となるわけですが、これをきちんと考えるには、力とパワーの違いを理解しなければいけません。
よく「力こそパワー」なんていう言葉が使われたりしますが、物理学の観点でいうと、力とパワーは完全に別物です。「力」は英語だと「フォース(Force)」でして、逆に「パワー(Power)」の正確な和訳は「仕事率」なのです。
これだけだとよくわからないかもしれませんが、筋トレに例えるなら「Maxの重さが何kgか?」というのが「力(筋力)」です。一方「パワー」は、この「力」に対して動かすスピードを掛けたものです。
なので、「力」にはスピードが関係ないのに対し、「パワー」というのはスピードも考慮されているのです。
結局スイングスピード向上に必要な練習は何か?
さて、力とパワーの違いを認識した上で、スイングスピード向上のために必要な練習は何か?というところに戻ります。
スイングスピードに強い影響を与えるのは、筋パワーや下半身の筋力あたりでした。
まず筋パワーについてですが、これはスピードとも関係してくるわけですから、それなりに重量のあるものを速く動かす、みたいな練習が有効だと考えられます。具体的には、メディシンボール投げ、垂直跳びや幅跳び、クリーンなどのメニューがあげられます。
特にメディシンボール投げとの相関はかなり強いことがわかっており、オリックスなどでトレーナーを務めていらっしゃる高島誠さんは、メディシンボール投げの球速を計測したりもするとおっしゃっていました。
次に下半身の筋力については、スクワットをはじめとする下半身のトレーニングが有効だと考えられます。実際スクワットの1RMとスイングスピードには有意な相関があるようです。
なので結論としては、メディシンボール投げやスクワットなどが特に重要ではないかな、と思っているところです。
単に「打率をあげよう」とか「速い打球を打とう」みたいに目標を設定するだけでなく、こんな感じで科学的な観点から具体的な練習内容にまで落とし込めるとよいかもしれませんね!
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