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防御率は、たった2つの数字で説明できる

このnoteは、東大野球部に学生スタッフ兼アナリストとして所属する私、齋藤周が、日々の練習内容や気づいたことをメモしておくためのものです。

守備効率からみた東大

首都圏への緊急事態宣言の発出に伴い、東大野球部も活動停止となってしまいました。予定通り1ヶ月で収束することを祈りつつ、今できることに取り組むのみだなと思っています。

さて今回は、東大の守備面について、DER(守備効率)という数字を使って見ていきます。

守備効率とは、「打球が飛んだ時(ホームランを除く)にアウトにできる確率」のことです。なんとなく「守備がうまいと上がりそう」とか「速い打球をたくさん打たれると下がりそう」とかは想像がつきますね。

実際に2020年の秋季リーグ戦における、六大学それぞれの守備効率を計算してみると次のようになりました。

1位 早稲田 137/193 = 0.71 7勝0敗3分
2位 慶応  176/241 = 0.73 6勝2敗2分
3位 明治  161/223 = 0.72 6勝2敗2分
4位 立教  160/249 = 0.64 3勝5敗2分
5位 法政  159/242 = 0.66 2勝6敗2分
6位 東京  191/282 = 0.68 0勝9敗1分

2020秋季のリーグ戦では、上位3チームと下位3チームの間に明らかに差があり、それが勝敗に現れていることがうかがえます。また一方で、最高値と最低値の差が1割もないことから、守備効率を大幅に変化させるのは難しいことも予想されます。

東大に着目すると、全体では4番目と順位に対しては高い値になっています。しかし、東大の失点数は60、自責点は54と圧倒的にリーグワーストでした。打球が飛べば3球に2球はアウトになっているし、もっとも数字の高かった慶応ともたった5%しか差がない(20回に1回の差しかない)のに、です。なぜでしょうか。

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その原因は、やはり四死球の多さが1番でしょう。優勝した早稲田が22個であるのに対し、東大は64個です。1試合あたり6.4個です。

意外かもしれませんが、先述したようにバッターが打ってくれればどこの大学が守っていようとアウトになる確率にはほとんど差がありません。どうしても厳しく厳しくという意識でフォアボールが出てしまいがちなのですが、とりあえずバッターに打たせれば、3分の2くらいの確率でアウトを取れるのです。

昨シーズンは厳しいところにそれなりに投げられていたために、被安打や被長打を減らせていた部分もありますが、四死球数を減らすことは大きなテーマかなと思っています。

もう一つは、三振数が少ないことです。「打球が飛べば3分の2くらいの確率でアウトになる」という話がありましたが、逆にいうと「打球が飛ぶと3分の1くらいはヒットになる」ということでもあります。

しかし三振は100%の確率でアウトになりますから、ここを増やしていくことも求められます。そのためには、空振りを取れるボールを習得していくことが必要かなと思います。

要はめちゃくちゃ簡単な話

野球というゲームにおける結果のほとんどは、100%アウトになる三振と、100%アウトにならない四死球と、チームに関わらずほぼ一定の確率でアウトになるインプレー、の3種類があります。

インプレー、すなわち打球が出た時にアウトになるかどうかは、ほぼ運ゲーです。なので、100%アウトにできる三振を増やし、100%アウトにできない四死球を減らしていくことが、ピッチャーに求められる役割です。

実際にもう一度投手成績をみてみると、防御率がほぼこの法則に従っていることがわかります。逆にいうと、ここさえ改善できれば防御率も向上するだろう、と思っています!

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