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「盗塁=キャッチャーの責任」はもうやめよう
このnoteは、東大野球部に学生スタッフ兼アナリストとして所属する私、齋藤周が、日々の練習内容や気づいたことをメモしておくためのものです。
盗塁は誰の責任?
盗塁の阻止という話題になると、たいていキャッチャーの肩の強さが取り上げられるのですが、これはピッチャーとキャッチャーとタッチする内野手の共同作業ではないかと思っています。
かつてロッテで活躍された里崎さんは、「責任比率で言うと、投手6に対し、捕手4ぐらい」ではないかとおっしゃっています。
大学野球の平均的なタイムでいうと、ピッチャーがだいたい1.2秒くらい、キャッチャーがだいたい2.0秒くらいなので、僕はピッチャーとキャッチャーの責任比率は2:3くらいかなと思っているのですが、とにかく盗塁はキャッチャーだけの責任ではないよ、ということなんです。
これはMLBのキャッチャーのデータで、CSという欄が盗塁を阻止した時の平均タイム、SBという欄が盗塁を許した時の平均タイムです。正直あまり変わらない(むしろ阻止した時の平均の方が遅い場合すらある)ことがおわかりいただけるでしょう。
なので、例えばブルペンでクイックの練習を入れるとか、牽制の練習に取り組むとか、そういうピッチャー側の工夫もしていく必要があるのかなと思っています。あとは送球の位置と、タッチの技術ですね。次はタッチを取り上げます。
タッチプレー革命
最近ではメジャーリーグをはじめ、タッチプレーが大きく変わりつつあります。従来は「ベースをまたいで足が最初に到達するベースの辺にタッチする」のが主流でしたが、「ベースの前に出てグローブだけ走路の状態でボールを受け、体でもどこでもいいので触れるところにタッチする」が正解になりつつあります。
これは、リプレイ検証によりタッチプレーが正確に判定できるようになったためです。
クロスプレーを正確に判定できるほど人間の目は優れていないので、審判の目で判定している時は「アウトに見えるかどうか」が最優先事項でした。しかし、ビデオ判定の導入により「足がベースに到達するより前に体に触れたかどうか」を厳密に判定できるようになったのです。
新時代のタッチプレー、リプレイ検証により「カスったら勝ち」って、マジでこんなんでもアウトになる(判定覆って全部アウト)
— rani (@n_cing10) May 31, 2020
倒れ込んででも取り敢えずグローブ振っときゃどこかカスるかもしれん
逆に3塁側に逸れるのがどれだけ勿体ないか pic.twitter.com/EMkkLHWL01
なので、キャッチャーとしては三塁側にそれないように意識しなければいけませんし、受け手側も自由度の高い選択肢の中からもっともアウトになりやすいプレーを選択できるようになる必要があります。
ただ、六大学などアマチュア野球にはリプレー検証はありませんし、当分導入されることもないでしょうから、ここは柔軟に対応しなければなりません。実際新しいタイプのタッチプレーはセーフと判定されやすいような印象があります。
とはいえ、今後は日本でも「足にタッチしていなくても意外とアウトになる」という価値観が浸透していくことは間違いないですから、そのようなパラダイムシフトにより審判の判定も少しずつ変わってくるのではないか、と個人的には思っています。
キャッチャーのスローイングを細分化する
キャッチャーの話でいうと、タイムを縮めるために重要なポイントが2つあると言われています。右足がついてから左足がつくまでの時間と、送球の球速です。
キャッチャーのセカンド送球についての研究です
— issei_kamada_orix_buffaloes (@ikbuffaloes) November 23, 2020
セカンド送球のタイムを縮めるにはキャッチャーが捕球してから踏み込み足の接地までの時間を短くする事が重要だとしています. そして捕球から送球まで短い時間の中で、セカンド送球の球速が速い事も重要とされています
是非参考にしてみて下さい! pic.twitter.com/TqrMpaWU1Y
逆に、捕ってから右足が着くまでの時間や、左足がついてからリリースするまでの時間は、スローイングのタイムにあまり関係ないみたいです。もちろんここまで細分化したタイムを正確に測るのは難しいのですが、普段の練習の中でどのタイムを縮めるのかがはっきりしていた方が良さそうですよね。
また、キャッチャーの球速はこれまであまり注目されてきませんでしたが、めちゃくちゃ重要です。例えば今年のMLBの盗塁阻止率ランキング1位であるリアルミュート選手の平均球速は88.2マイル、すなわち約142kmです。速すぎです。
なので、ピッチャーだけでなくキャッチャーの球速も測るといいと思います。東大でも時々キャッチャーが球速を測っています。スピードガンさえあればできることなので、ぜひやってみてください。
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