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まあお訳古今集 恋はいちごを添えて弐拾伍

 皆さん、夏バテしてますかー?! 私は、今年も(ヽ´ω`)ゲッソリしています、自称作家の あまおう まあお です!

 最近微妙にいいことが続いてまして、こりゃ近いうちにマジで慶事来るんじゃね? なんて思っていますが(刑事が来たりして……?)、そのうちのひとつがなんと! このシリーズを続けていたら、おひとりすっかり沼に首まで浸かってしまった方が出ました~!(パチパチパチパチ)

 元からご興味のある方なのかもしれませんが、素敵な恋の歌たちにすっかり魅了されたようです! 地道にシリーズ続けてきた甲斐があるなあと、こちらも感無量でございます。というわけで、今回も活きのいい失恋ソング、キてるぜー!

 はりきって(?!)いってみましょう、ソォイ!!

恋歌四 下野雄宗
くもり日の影としなれる我なれば めにこそ見えね 身をばはなれず

僕はもう曇天の影だよ。見えないと思うけど、いつもきみのそばに…… #いちご訳

こっっわ! なにこれ最悪にヤンデレなんですが? 曇りの日の影とかもはや生霊じゃん。
飛ばすなー! あっちいけーToT
女々しいとかいうレベルではない。もうこんな歌貰ったら秒でお焚き上げますからね? 歌うまいとかそういう問題ではない。怖い。これはマジで怖い! #平安にもヤンデレおった

恋歌四 紀貫之
色もなき心を人にそめしより うつろはむとは思ほえなくに

君に会うまで無色だったんだ。君色に染まって、まさかこの色が変わるなどとは考えられもしないなあ #いちご訳

なんか素直に読めないなあ?
「思ほえなくに」思えもしない、という意味なんですが。色もなき心が初恋で色づくととらえると「初恋の時はずうっと変わらないと思ってたんだよなあ」という懐古のような雰囲気を醸していませんかね?
あの時は若かった……そんな風に読んでしまうのは私だけでしょうか?

恋歌四 詠み人しらず
めづらしき人を見んとや しかもせぬ我が下紐のとけわたるらん

たまにしか来ないあなた。あたしの下紐がいつも勝手にほどけてしまうのだけど、これってそういう意味なのかしらね? #いちご訳

はい、エロいお誘いキター!!
下紐が解けるというのは「逢える」という意味です。割と直球で、私の下紐があなたを待っているんですけど? と言っているわけです。
ここまで言われちゃ行かないわけには……と思うと同時に、もうこの男乗り気じゃねえな、とも思います。これで続いてもなあ?#平安18禁

恋歌四 詠み人しらず
かげろふのそれかあらぬか 春雨のふるひとなれば袖ぞぬれぬる

おぼろげなあの影はあなただろうか、見間違いかな。古い人を思い出して、今日は春雨が僕の袖に降っているなあ。 #いちご訳

春雨の降る日と、春雨の古人。詩的で美しいとは思いますが、やはり思い出の恋人という感じで距離があるので、感傷的ですねという印象。
どうせこういうこと言うのは男性だろうと思ってそのように訳しました。女性はたぶん、とっとと次行ってますよ?
春雨にフラれたようで。#辛辣 #私すぐ忘れる派

恋歌四 詠み人しらず
堀江こぐ棚無し小舟 こぎかへり おなじ人にや恋わたりなん

堀江に小さな小さな舟が漕いでは帰ってくるよ。繰り返してはあの人のことを考えてしまう僕のようだね #いちご訳

これどこで見たんだっけ、と思ったら伊勢物語は「あしべこぐ棚無し小舟いくそたび行きかへるらむ知る人もなみ」で収録。
入江漕ぐ棚無し小舟こぎ返り同じ人のみ思ほゆるかな」(玉葉)もあるとのこと。
同じモチーフですが微妙に違う。私は恋わたりの古今が一番好きかなあ。趣味の問題ですね。

恋歌四 伊勢
わたつみとあれにし床を 今さらに払はば袖やあわとうきなん

あなたが来ないことなど分かっている。寝苦しさのあまり海原のように荒れた私の寝床。今更整えたところで布や涙を払う袖だって泡のように浮くだけ。 #いちご訳

女の失恋って感じ、しますねえ!
荒れにし床は失恋で泣いて海のようだと解釈するようですが、私は泣き伏してのたうって床がぐちゃぐちゃ、と読みました。
……いやそんな経験、ありませんけど。ありませんからね!ToT
こんな風に、名歌は苦しみの中から生まれるんですねえ……(吐血)。

恋歌四 紀貫之
いにしへになほ立ちかへる心かな 恋しきことにものわすれせで

何度でもあの日の心に立ち返ってしまう……もう元になんて戻れないのに恋しさに物忘れはないんだ…… #いちご訳

つらたんーToT 貫之さんほんと失恋の歌ばっか詠むイメージですよね。
この恋心、忘れる薬をください……ってか!
水割りをくださーい♪ 平安に水割りはまずないと思いますが、どぶろくでも飲んであいつなんか飲み干してくださいネ!
失恋にはヤケ酒をおススメいたします! #メモリーグラス

恋歌四 大友黒主
思ひいでて恋しきときは 初雁のなきてわたると 人知るらめや

思い出すたび胸が苦しくて、こうしてあなたの家の近くまで来てしまったんだ。あの初雁の声が聞こえますか。あれは私の代わりに泣き続けているのですよ…… #いちご訳

なぜその訳になるかと言うと、詞書にそう書いてあるからです。現代だとストーカー呼ばわりされそうですが、平安はこんな人ばっかりですね。
意外にも黒主さんの歌は古今に三首しか収録されていません。
ちなみに一位は貫之さん百二首、選者以外だと素性法師三六首、我らが業平様は三十首入選です!

恋歌四 藤原因香
たのめこし言の葉今は返してむ 我が身ふるればおき所なし

あなたにいただいた大切な言の葉。心の支えにしていたけれど、お返しするわ。過去の女となった私が持っているべきでないと思うから。 #いちご訳

よるか、さんですって。素敵なお名前ですね!
ほら、やっぱり女の人はさっぱりしているじゃないですか。現代も別れた男のメールなんか読み返したりしないでしょうよ。
で、メールと違って手紙だから送り返してしまうというあたりが、強いというかなんというか。
#私のは焼いてください #焼き芋とか

恋歌四 近院右大臣
今はとて返す言の葉ひろひおきて 己が物からかたみとや見ん

さよならの代わりに返されてしまった言の葉。僕が書いたものだけれど、一枚一枚拾い上げて、二人の形見と読み返すことにするよ…… #いちご訳

昨日の返歌ですね。お相手は源能有さんで父は文徳天皇。
このやりとりからすると、力関係は女の人の方が上だったのでは? 気が強そうだし、未練よりこの歌でなんとかなだめて誤魔化そうというように読めました。
この二首では、因香さんの方が巧いかなと思います。葉と拾ふの技巧以外見どころなし。

恋歌四 藤原因香
玉桙の道はつねにもまどはなん 人をとふとも我かとおもはむ

道ならいつも迷い道。別の誰を訪ねてきたのか知りませんけど、今夜はあたしのところへ来たと思っていたいわ。 #いちご訳

よるかさん、好きかも!
玉桙はただの枕詞です。たぶん浮気されてんでしょうが、それでこの歌を贈るというのは、そうとうの手練れでしょう。
嫌味っちゃ嫌味ですが、かわいげの演出があるから、会ってみようかなって気になりますよねえ。歌もだけど恋も上級者ですよ、この方! #で美人なんですか

 とまあ、今回はこれくらいにしときましょうかね! 恋歌もこのへんまで来るとね、もうフラれたり別れたり未練たらったらなのばっかりToT どうしてこうなってしまうの、と思わなくもないですが、しょうがないですね。それが恋というもの。

 それでも千年前からみんな同じ経験共有しているんですから、それもまたヨシとしましょう。

 夏の恋は長続きしないとか言いますが、恋歌シリーズはまだまだ続きますので、気に入ったら是非チェックしてくださいね☆ いつでも全力フォロワー募集あまおう まあお でした^ ^ノ

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