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まあお訳古今集 恋はいちごを添えて弐拾弐

皆さま、こんにちは! 自称作家の……あ、そういえばこないだなんかに掲載していただきました。これからは堂々と自称していけますね、自称作家の あまおう まあお です!(大声)
寒かった冬が終わり、あたたかい春……いや待てもうなんかすでに暑い? そこらへんに植えた覚えのない草がはびこり、太陽が燦燦といやSUNSUNと……;^ ^

なんだか今年も耐えがたき暑さに見舞われそうな予感がしてきちゃいましたが、ぜひとも生き延びてゆきたい所存です!!
という季節の挨拶とはまったく関連もなく、とっとと、いつものやつやりまーす!

恋歌四 清原深養父
恋しとはたが名づけけん言ならん 死ぬとぞ たゞにいふべかりける

「恋しい」なんて言葉誰が名付けたものなんだろう。「僕はもう死ぬ」それで十分だったはずじゃないか。#いちご訳

久しぶりにこのシリーズ戻ってきました^ ^ノ
内容的にも心情も実にストレートな一首。っていうかなんかこれ、和歌というよりつぶやきみたいですね。
案外、和歌ってツイート感覚なのかもしれませんね!
字数制限は140字でなく31字ですが……。
#平安のツイート #今年もやります

恋歌四 詠み人しらず
み吉野の大川のべのふぢなみの なみに思はばわが恋ひめやは

吉野の大川のほとりの藤波の。ねえ、この思いも人並みならば、こんなに苦しむものなのでしょうか。#いちご訳

あら素敵^ ^
吉野の藤波のあたりは、まあほっときまして。並に思はばわが恋ひめやは。
恋ひ(未然形)め(推量助動詞已然形)や(反語係助詞)は(詠嘆終助詞)の辺りが難しいですね。恋ひめやも、の方がよく見かける分ピンとくるんですが。「やは」の方が「やも」よりナウいそうです!#どちらも古語

恋歌四 詠み人しらず
かく恋ひんものとは我も思ひにき 心の占ぞまさしかりける

本気になって苦しむことなど知っていたさ。あの日の直感がまさしく現実になっただけだから。#いちご訳

なぜか漂うイケメン感。
心の占(うら)は「占い」ということなんですが、源氏に「さかしき人のこころのうらどもにも」という用例が出ていて、予想程度の使い方らしいです。
これは和歌なので「心の裏」が感じられるような気がしますが。その場合、表が理性で裏が恋心なんでしょうね。なんか雅!

恋歌四 詠み人しらず
天の原ふみとゞろかしなる神も 思ふなかをばさくるものかは

いかに雷様が大空踏み鳴らして切り裂くとても、恋する二人はまさか裂けまい #いちご訳

ユーモア系でちょっと調子に乗ってる感じですがww
この歌、だいぶ面白みというか軽さがあって、なんかもっとずうっと後の時代の歌みたいですよね? 江戸とか?
この斬新さ、当時はどのように受け止められたのか、気になります!
それはそうと、この有頂天。そんなに調子に乗ってて大丈夫ですかあ?

恋歌四 詠み人しらず
梓弓ひき野のつゞら すゑつひにわが思ふ人に言のしげけん

弓と言えば引く、引くといえばひき野のつる草のその末のように、行く末は。愛するあなたにあれこれと人の言葉が生い茂るでしょうね。#いちご訳

状況が分かりづらいのですが、ちゃんと注がついていました。
このうたは、ある人、天の帝の近江のうね女にたまひけるとなむ申す
どうも天皇づきの女官に宛てた歌なんだそうで。昔から人の噂には悩まされた様子。つづらは蔓草だそうです。茂っている様子がいかにも煩わしく、心情がよく出ています!

恋歌四 詠み人しらず
夏びきのてびきの糸を くりかへし言しげくとも絶えむと思ふな

手引きで紡ぐ夏の糸のように。繰り返し人がどんなに悪く言っても二人の糸を切ろうと思わないでね……#いちご訳

昨日の近江のうね女さんからの返歌だそうです。
糸を繰り返しの序詞に使い、すかさず「絶え」につなげる美しい一首。
いや、技はいいんだけど、内容的にほら。先日の雷の歌からどう見ても雲行きおかしくなってきてるよね、これ!
#いわんこっちゃない #先が思いやられる

恋歌四 詠み人しらず
さと人の言は夏野のしげくとも かれゆく君にあはざらめやは

世の人がうるさく噂を言い立てている。噂の草は枯れないのに君の心は離(か)れていくんだ。だからこそ僕はあなたに会わないではいられないんだ! #いちご訳

この短い中でアクロバティックな心理展開!
「かれ」の掛詞「枯れ」「離れ」はよくあると思うんですが、離れてゆくひとに→会いたい、という流れは驚きました。
いや、いい歌ですね、これ。実際この歌で繋ぎとめられるかどうかは怪しいですが、私はいい歌だなあと思いましたよ! #全力フォロー

恋歌四 在原業平
かずかずに思ひ思はず問ひがたみ 身を知る雨はふりぞまされる

本当に私を真剣に思っているのかしらと、まさか直接に訊くわけにもいかない私に教えるように、あなたの足が遠のく雨がどんどん強く降るようですわ……#いちご訳

こちらは詳細は伊勢の一〇七段をご覧ください!
業平様が女の子に代わって藤原敏行に歌を詠んでとっちめたお話ですね。まさか業平様作とも思わず、大雨の中慌ててきました。
業平様が無双していて愉快なお話です。在原家と藤原家で勝負して勝てるのは、和歌くらいしかないとも読めますが……。

恋歌四 詠み人しらず
大幣の ひく手あまたになりぬれば 思へどえこそ頼まざりけれ

あなたは大幣のように人気者でいらっしゃるから、好きになったところで望みはなさそうですよね #いちご訳

大幣(おおぬさ)というのは儀式に使う祓串のことらしいです。神社で使う白いひらひらのついたあれ。
これを人々が取り合う様子を、モテ男に見立てて嫌味を言っているわけです。まあその男、業平様なんですけど。
業平様が一体なんと返すか、明日が楽しみですね!
これも伊勢物語四七段に収録。

恋歌四 在原業平
大幣と名にこそ立てれ 流れてもつひに寄る瀬はありてふものを

僕は大幣なんて言われているんですか。どんなに流されたところで、最後はどこかに落ち着くものだと思いますけどねえ。#いちご訳

昨日の女の人は、フラれたんだと思いますね、これは。
昨日も出てきた大幣は、みんなで取り合ってお祓いした後川に流したそうです。業平様はそれを言っています。
解説には「君のところに帰り着くよ」と書いてあるんですが、私にはそうは読めません。「ありてふものを」に全く情熱が感じられません!

恋歌四 詠み人しらず
須磨のあまの塩やく煙 風をいたみ 思はぬ方にたなびきにけり

須磨の海人が塩を焼いています。風が強いので煙が思わぬ方向へたなびいてしまったのです。#いちご訳

これは面白い一首ですね。伊勢物語(百十二段)では女に裏切られた男が詠みました、と書いてあります。
女心は煙ですか。そりゃ、風が吹いたらあっちへ行ってしまいますよね!
塩を焼くのは、昔ながらの製塩方法で特に瀬戸内でさかん、ということですから、須磨の地名にもぴったり合っています!

とまあ、こんなもんですかね。今回は伊勢物語と同時収録の歌が多かったですね! 伊勢物語はあくまで「物語」なので、たまに強引に話を作ったりしているようですが、和歌の勉強にはもってこいなんじゃないかと私は思っております^ -☆

ひとつひとつのお話も文章も比較的短いので、中学生にも読めるはずですし、実際たぶん教科書に載っていたと思うんですよ。芥川の「あなや!」とか習った気がするんですが、あれ……もしかして最近の若い子はやってなかったりするのかな;^ ^
なんだか最近、寄る年波を感じてしまう、あまおう まあお がお送りしました。ま、平安人から見たら昭和も令和も大差ねーし……! また次回もお会いしましょう☆ よかったらフォローとかしてね!

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