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まあお訳古今集 恋はいちごを添えて弐拾捌

皆さん、こんにちは! 自称作家の あまおう まあお です^ ^ノ
なんか秋になりましたね。朝晩は涼しく……っていうか時々寒くて、びっくりしますが。

秋と言えば菊の季節だよね、というわけで今回の扉はです!

まあそれ、数年前の品評会のやつなんですけどね。今年の品評会がいつからなのかは、ちょっとまだ調べていません> <

細かいことは気にせず、今回も恋歌ガンガン、いってみよー!!


恋歌五 詠み人しらず
山城の淀のわかごも かりにだにこぬ人たのむ我ぞはかなき

山城の淀川に生い茂る草を刈っている。かりと言えば、ほら。あの人は仮にもうちに来ないのに、あたしいつまで信じているのかしら。疲れた……#いちご訳

わかごも、というのがマコモという草だそうです。イネ科だそうでギリ食えるらしい。
まこもかる淀のさは水雨ふればつねよりことにまさるわが恋(貫之)
マコモつながりで並べてみました。同じ文字数のはずですが差が歴然ですね……。
今回の歌は恨み節というより諦めが強そう。他にいい人探そう!

恋歌五 詠み人しらず
あひ見ねば恋こそまされ みなせ川なにに深めて思ひそめけむ

あの人は水のない川のよう……愛しても愛しても水は吸われて流れやしない。会ってもくれないのに深まる恋……あたし、なんでこんな人好きになっちゃったんだろう。#いちご訳

水無瀬川は、要するに地下水脈のことなんですね。淀川系にその名もずばり水無瀬川というのがありますが、この歌では普通名詞でしょう。
恋にもぞ人は死にする水無瀬川下ゆ我れ痩す月に日に異に(万葉集)
と同じく愛しても甲斐のないものの比喩に使われています。忍ぶ恋のたとえとは真逆の発想だね!

恋歌五 詠み人しらず
暁のしぎのはねがきもゝはがき 君がこぬ夜は我ぞかずかく

明け方はシギの羽ばたきが百回は聞こえる。あなたがこない夜には、私がそれにもまして布団の上で羽ばたいているわ……#いちご訳

なんか妖艶な歌ですね!
ももはがき、は百羽掻きということで別に百回と決まったわけではないですが、敢えて訳出してみました。
「かずかく」は諸説あるそうで私は寝返りでバタつくのがシギの羽ばたきのようだという説を採用。
次点で、羽ばたきを数える、かなと。
リズム感があっていい歌ですね!

恋歌五 詠み人しらず
たまかづら今はたゆとや 吹く風の音にも人のきこえざるらん

蔓草なんかもうどこも生えないのかしら。噂の風にさえあなたの名前が聞こえなくなったようだけれど。#いちご訳

遠回しなんですがこれ、もしかしたら「お前まだ生きてんの?」という嫌味なんだろうか。
噂の性質にもよるんですが「私と別れてから落ちぶれたんですか?」と読めました。特に女性がモテたり身分が高いならなおさら。
昔の恋人の消息なんかどうでもいいですが、余計なことを思い出してしまいました#

恋歌五 詠み人しらず
わが袖にまだき時雨のふりぬるは 君が心にあきやきぬらむ

今年はこんなにも早く私の袖が時雨で濡れます。秋が来たのでしょうか。いいえあなたが私に飽きが来たのでしょう……#いちご訳

せっかく再開したのに、景気悪いのきましたね!
秋と飽きの歌は正直もう見「あき」ました。ただこの歌の場合シンプルで分かりやすい中に「ふりぬる」「きぬらむ」と音やリズムが整っているので選出されたのでしょう。
どうもこういう嫌味っぽい歌は私は好きになれませんね。#アキラメロ~ン

恋歌五 詠み人しらず
山の井のあさき心も思はぬを かげばかりのみ人の見ゆらん

安積山の浅き心なんて言うけれど。私はこんなに深く思っているのに、なぜかしら。影ばかり見えてあなたがいらっしゃらないのですが。#いちご訳

これは教養で黙らせる系ですね! 元の歌は万葉集「安積山かげさへ見ゆる山の井の浅くは人を思ふものかは」だそうです。
同じ恨み言でも、ちょっとひねって見せるだけでだいぶ印象が違いますね。ただ相手の男性にこれ以上の教養がなければ、(男が)早晩フラれるとは思いますが……#結局アキラメロン

恋歌五 詠み人しらず
忘れ草たねとらましを あふことのいとかく難きものと知りせば

あの時の忘れ草の種をとっておけばよかったなあ。こんなにも逢えずに苦しむなんて知らずにどこかへやってしまった……#いちご訳

まあそこまで言ってないんですが「とるに足らないものだと思って粗末にしていたあの種が今あればなあ」という解釈で。
なお忘れ草はカンゾウ(萱草)の仲間で、生薬やおひたしになるそうです。リコリスもカンゾウ(甘草)なんですが、漢字が違うので甘くはなさそう。
#苦くて忘れちゃうのかな

恋歌五 詠み人しらず
恋ふれどもあふ夜のなきは 忘れ草夢路にさへやおひしげるらむ

恋しくて恋しくて。せめて夢の中でならとお待ちするけど、夢路にさえも忘れ草が生い茂っているのかしらね。#いちご訳

諦めの境地……(南無)
前の歌で出てきた種が生い茂っているというつながりも見事ですね。
まあでもみゆき姐さんの「傾斜」にあるように、としをとるのは素敵なことですよ。忘却ってかなり高度な脳機能です。
#忘れるよりほかないじゃありませんか #お昼ごはんさっき食べたでしょ #まだ食べてない

恋歌五 詠み人しらず
夢にだにあふことかたくなり行くは 我やいをねぬ 人や忘るゝ

夢ですらあなたに会えなくなってゆく。私が寝ていないからかしら。それともあの人が私を忘れてしまったからかしら。#いちご訳

シンプルでうまし!! こういう奇をてらわない歌ってほんとうまいなあって感じしますね。
「いをねぬ」が分かりづらいとこですが漢字だと「寝を寝ぬ」ということで「横になって寝る」という意味だそうです。寝(い)が眠る、寝(ぬ)が横になる動作、らしいのですがなんか寝ばっかで #ゲシュタルト崩壊

恋歌五 兼芸法師
もろこしも夢に見しかば近かりき 思はぬなかぞはるけかりける

中国だって夢で見れば近所じゃないか。夢でも逢えないふたりの距離は、ああ、遠いものだよなあ#いちご訳

兼芸法師、古今集四首採録の歌人。この時代では中国行くにも遣唐使とか出してた感じでしょうかね。
中国より遠い、というのがなんとも具体的で面白い歌だと思います!
なお遣唐使は838年の次が894年で廃止するしないで揉めに揉めた回。揉めてる間に唐が滅びてその後は民間主導の日宋貿易へとのこと。

さてと。今回はこんなところにしておきますか。恋歌も五ともなれば、しめっぽいのが増えてきますね……。生物学的に言っても、ずっとラブラブ(死語か?)でいるのもおかしいそうで、生存戦略として恋人には飽きが来るもんなんですよ! 今や季節は秋。行楽シーズンですね。風流に、紅葉狩りとしゃれこみたいもんですが……はてさて。

では、また次回もお目にかかれますように。以上、自称作家の あまおう まあお でした。フォロワー様も相変わらず大募集中。フォローしてくださった方は、ほとんどフォローバックしておりますよ~^ -☆

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