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まあお訳古今集 恋はいちごを添えて拾陸

暑さ、寒さも彼岸まで! なんだか涼しく過ごしやすくなってきましたね、いかがお過ごしですか、最近有名になってきた(盛りました^p^)自称作家の あまおう まあお です!

いやあ、日ごろの行いが悪くて罰が当たったんだかなんだか知りませんがToT パソコンがある日突然息をしなくなりましてね……その影響で、もろもろの更新やら稼働が滞っております!

公募の締め切り前にこれは地味に痛いねえ……!

というわけで慌ただしく、いつもの古今集、まとめていきますよー^ ^ノ

恋歌三 詠み人しらず
しのゝめのほがらほがらと明けゆけば 己が衣々(きぬぎぬ)なるぞかなしき

東の空が今日も朗らかに明けてゆきます。二人おのおの自分の服を着て一日が始まるのが私、かなしいんです。 #いちご訳

ほがらほがら! すごい言語感覚ですが、衣々を意識してのことでしょう。きぬぎぬは普通「後朝」と書きますね。ざっくり言うと朝チュンのことです! 朝チュンが分からないお友だちは、何も気にすることなくそのまま健やかに伸び伸び生活してください。
知らなくても、全く困ることではありません!

恋歌三 藤原国経
明けぬとて今はの心つくからに など言い知らぬ思ひそふらむ

夜が明けたね。さあこれで行かなければと思うよ。でもなぜかな、たちまち僕はなんとも言えない気持ちになってしまうんだ。 #いちご訳

これは現代人にも分かるやつじゃないでしょうかね!
でも行かないと遅刻しちゃうから。名残惜しいのは分かりますが、出勤しましょう!
国経(くにつね)さんは伊勢物語や今昔物語に出て来る方で、どうもかなり長生きされたようで、享年81とあるんですね……。
平安前期で81歳? マジか……。#ご長寿

恋歌三 藤原敏行
明けぬとてかへる道には こきたれて 雨も涙もふりそぼちつゝ

あなたと別れて朝帰り。ぼたぼた音を立てて落ちるんだよ。この雨も、この僕の涙も。 #いちご訳

常連さんらしい手慣れたお歌。
こきたれて、ですがこれ稲を「扱く」の「こく」らしいですよ。ばらばらと大粒に音を立てて落ちるイメージでよさそうですね。
しかし朝からそんなスコールみたいな雨、びっくりしたんでしょうね。ついでに恋歌作っちゃうあたりが敏行さんらしい! #隙あらば

恋歌三 寵
しののめの別れを惜しみ 我ぞまづ鳥よりさきになきはじめつる

東の空が白み別れがあまりに惜しいのです。それで朝いちばんのはずの鳥たちよりも先に、私が泣き始めてしまったのです。 #いちご訳

寵さん。チョウさんかウツクさんか意見が割れているそうです。この時代からしてもちょっと変わったお名前だったんでしょうね。
父は源精(くわし)さん祖父は定(さだむ)さんとのことで、代々一文字名なのかもしれません。古今集三首収録の歌人。
この歌はわかりやすい内容で、リズムがいいですね。

恋歌三 詠み人しらず
ほとゝぎす夢かうつゝか 朝露のおきてわかれし暁のこゑ

あの声は夢の中、それとも現実? 露も消えぬうちに起きた今朝あの人と別れて、耳をくすぐるあのホトトギスは。 #いちご訳

シンプルながら妙に詩的な一首。一句と最終句がしっかりつながっているという構造は見事の一言ですね。
「おきて」が掛詞で露を「置く」と朝「起く」。
私は構造も訳したかったんですが、「ホトトギスよ」と呼びかけにする方が多いようです。試験だったらそう書かないと減点されるかもしれませんね。

恋歌三 詠み人しらず
玉くしげあけば君が名たちぬべみ 夜深くこしを 人みけんかも

夜が明けてから帰ったらあなたに噂が立ってしまうから、暗いうちに帰ってきたけど……誰かに見られてしまったかもなあ #いちご訳

玉くしげ、は櫛箱(くしばこ)のことです。「あける」を言うために出てきただけで、掛詞より枕詞に近そう。
皆さん噂には注意されているご様子。お相手の方は高貴な方だったのか、それとも人妻か……。
でも証拠写真とかないんですから、堂々とシラ切り通せばいいだけな気がしますね。
#見間違いでは

恋歌三 大江千里
けさはしもおきけん方も知らざりつ 思ひいづるぞ消えて悲しき

どうやって目覚めたのかも思い出せない。気がついたらあなたは朝の太陽に溶かされた霜のように、もう消えてしまって。 #いちご訳

ごくり! この技巧、読めましたか?
しも-おき-ひいづる、の三語が隠されているんですね。
思ひいづるのが昨夜の別れ、とすると、どうもこれ何かあったようですね。喧嘩なのか別れ話なのか。どちらにせよ、こんな歌送って来られたら、とりあえず返事はしてしまうでしょうね! #歌うまお #お見事

恋歌三 在原業平
ねぬる夜の夢をはかなみまどろめば いやはかなにもなりまさるかな

昨日の夢のような一夜を思いあぐねて、もう一度夢の中へ。ああ、なんだかますます虚しくなってしまった。 #いちご訳

業平様らしからぬ内容と「はかな」の繰り返し。しかも割と直球に「寝ぬる夜」とかはじめているわけですね。
伊勢の百三段にて「さる歌のきたなげさよ」と言われております。私が言ったんじゃないですよ! 伊勢物語の作者(不詳)が言ってたんです!!
#業平様不発 #どうした #お見苦しい

恋歌三 詠み人しらず
君やこし我やゆきけん おもほえず 夢かうつゝか ねてかさめてか

あなたが来たのかそれとも私が行ったのか。あれは夢か現か寝てか覚めてか、ああ私、思い出せないわ。 #いちご訳

伊勢物語六十九段ですよー!
この歌、とても禁断の香りがするんですよね! それで組み立てたお話があの有名な伊勢物語。こちらもまた、なんとも想像力をくすぐる内容になっています。
この時代女性が出かけてゆく可能性はほぼないので、本当に「斎宮なりける人」くらいしか考えられない。明日は返歌!

恋歌三 在原業平
かきくらす心のやみにまどひにき ゆめうつゝとは世人さだめよ

ああ俺はもうだめだ。何も見えないこの心では、分別などあるはずがない。夢か現か、そんなこと世間が決めればいいことだ! #いちご訳

業平様ー! 見てくださいこの緊迫感。圧巻ですね! 天才的ですね!
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あ、ちなみにこの歌の最後、伊勢物語では「こよひさだめよ」となっています。音の感じは「今宵」がいいですが、「世人」の投げやり感もセクシーで捨てがたい。あなたはどっち派? #もちろん業平様派

恋歌三 詠み人しらず
むばたまの闇のうつゝは さだかなる夢に幾らもまさらざりけり

真っ暗な闇の中で逢った。これじゃ明瞭な夢にも及ばない。あなたが、足りない。 #いちご訳

この時代の暗闇は本当に何も見えなかったんでしょうね。停電の夜に……と考えると、なんだかロマンチックな気がしてきました。
おそらくですが、男性の歌でしょうね。
あんまりよく見えてしまうのも困りものです。闇のうつゝ、くらいがちょうどいいのかもしれませんよ? #私の視力は0 .1です

恋歌三 詠み人しらず
さ夜ふけて天の門わたる月かげに あかずも君をあひ見つるかな

夜が更けて。おそらの海を月のおふねが渡ります。あなたと二人、飽きることなくいつまでも……。 #いちご訳

これも解釈割れ。「あかずも君を」なんですが……「飽きもせず」なのか「満ち足りないほどに」なのか。歌の意味が真逆になってしまうんですが、割れてます\(^o^)/
収録順から言うと不満の方なのかもしれませんが「天の門渡る」のキラキラした感じから、肯定的な方にしてみました。#どのみちリア充

さて。お気に召す歌はありましたか? 私はやはり伊勢物語収録のあの歌なんか、好きですねえ。業平様ってやっぱりちょっと飛び抜けておられる気がするんですよ。普通の素人の現代人から見て飛び抜けて見えるということは、当時の歌界ではそりゃあもう

日本レコード大賞

みたいなもんだったでしょうね!(違?) きっと今で言うロック歌手くらいはモテていたことと存じます。

パソが急に他界してもなんとか死守したデータで更新したのがこの記事……きっとまた人気は出ないと思いますが;^ ^ 全部消えてしまわなくてよかったなあと胸をなでおろしています。

皆さん! とりあえず大事なデータも微妙なデータも、バックアップはしっかり取っておきましょう。ズボラ系自称作家から言えることは、もうそれだけです。あと、できたら完全に壊れる前にパソコンは買い替えようToT

ではまた次回にでも、お会いしましょう^ ^ノ
以上、あまおう まあおでした☆

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