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まあお訳古今集 恋はいちごを添えて弐拾陸

皆さま、こんにちは! 自称作家の あまおう まあお です^ ^ノ
暑い暑いと文句を言っていたら、今度は梅雨前線リターンズ?! ということで、とんでもないことになってしまいましたね。

日本じゅう水浸しで、なんだか心配です……。
こんな時、人間にできることなど限られていますから、とりあえず天気図を睨みながら備えだけはしておく、といったことになりそうです。

現在、私の町は大きな異変はなく 川が増水 している程度なので、とりあえず古今集でも読んで気を落ち着かせることにいたしましょう!

恋歌四 詠み人しらず
待てといはばねてもゆかなん しひてゆく駒のあし折れ前の棚橋

待ってって言ったら泊まってってほしいの。それでも帰ると言うならそこの棚橋にけつまずいて馬脚を折ってしまいなさい! #いちご訳

上と下の落差がすごすぎるお歌。でも素直な感じもするので、この女の人は怖くはないですね。
激情家ではありそうですが、粘着感がないので、付き合いやすいのではないかと思います。
なんとなく歌の感じも面白いしね。現代で言ったら家庭に帰る既婚者と独身女性と言ったところ? #まあがんばれ

恋歌四 閑院
逢坂の木綿つけ鳥にあらばこそ 君がゆききをなくなくも見め

もしも私がゆふつけ鳥であったなら。あなたが行く姿を鳴き鳴き見送るところです…… #いちご訳

あらばこそ~め、で仮定条件からの反語と読むやつですね。
逢坂のゆふつけ鳥はたびたび出て来ていますが、今回は関を越える恋人に泣く、ということのようです。
ただ歌の並びからすると、関を越えている理由が浮気なんじゃないの? という感じは、します。伊勢物語の筒井筒の後半を思い出しました!

恋歌四 伊勢
ふるさとにあらぬものから 我がために人の心の荒れて見ゆらむ

過疎地の限界集落なんかじゃあるまいに、なぜかしら。私にはあなたの心が荒れ果ててゆくように見えるわ…… #いちご訳

この「ふるさと」はうさぎ追いしイメージじゃないですね。伊勢さんはバリバリの貴族ですから都大好きなシティガールなんでしょう。
人がいなくなって廃れるド田舎と終わりゆく恋のイメージを重ね合わせています。
恋破れ、あなたの心はザ・過疎地! みたいな意味なんでしょう。#和歌はMIYABI #過疎

恋歌四 寵
山がつのかきほにはへるあをつゞら 人はくれども言づてもなし

貧しい山の民の家垣にアオツヅラが繰る。あの人もうちに来るけれども私にもう用はないんだそうだ…… #いちご訳

くる、の掛詞で繰る(這うように生える)と来るだそうです。アオツヅラ調べたんですけど、まあ地味めの蔓草ですね。
あ~あ、って感じですが、この詠み手は男性なので「人」は女の人が直接来たのではなくていわゆる「使いの人」でしょうね。いつもお手紙持ってきてくれてた人が、別件で来たんでしょう。

恋歌四 酒井人真
大空は恋しき人のかたみかは 物思ふごとにながめらるらむ

愛しいあの子の形見でもあるまいに、なぜ僕はこんな気持ちの時にいつも大空を眺めてしまうのだろうなあ #いちご訳

酒井人真(ひとざね)さん、この一首のみ収録。
ひねりはないですが、素直な「あるある」で現代人にもすんなりと受け入れられそう。
最後の「らる」が自発の助動詞というやつです。自然にそうしちゃうなあ、という気持ちを表す表現で、現代語にも同じ用法がありますね。
あの人が思い出さ「れる」。

恋歌四 詠み人しらず
あふまでのかたみも我はなにせんに 見ても心のなぐさまなくに

これを見て思い出してねと次に会う時までの形見なんてもらったけれど、心ひとつ落ち着かないのだから何の意味もないのです。早くあなたに会わなければ。 #いちご訳

一体なにを貰ったんでしょうかね? 今の時代ならZoomとかありますけど、この時代は電話すらないですから、何かと不自由だったのでしょう。
でもこの時代の結婚の形態はなかなか面白いなあと見ています。妻問婚と言って基本的には女系社会に分類されるらしい。
それが今では非婚社会ですよ。やれやれ

恋歌四 藤原興風
あふまでの形見とてこそとゞめけめ 涙にうかぶもくづなりけり

また逢う時にとこんなものを残して行ったというのかい。涙の海に浮かぶ藻屑のようだよ…… #いちご訳

これは何貰ったのか書いてありました「裳」(腰紐みたいなやつ)なので「もくづ」と詠んだようですが、ええと現代で言うとベルトとかそういう意味合いのものでは?
ロマンチックっていうより若干の変態成分を感じましたが、女の子がそれを置いてった理由は「親に呼ばれたから」と書いてあります。

恋歌四 詠み人しらず
形見こそ今はあたなれ これなくは 忘るゝ時もあらましものを

あなたの形見が今は仇のようです。これさえなければ、あなたを忘れて心安らかな時もあったでしょうに。 #いちご訳

伊勢の最後の方、百十九段に今は「あだなれ」で収録されています。
濁音は区別がつかない時があるので、どちらが正しいとも言えないんですよね。あたなれだと「仇」あだなれだと「無駄なもの」
歌としては「あた」の方がよく詠めているでしょうね。

辛気臭い恋歌四はこれで終了! 明日から新章突入

 やっと失恋続きの恋歌四が終わりましたね;^ ^ なんか暗い歌が多かったけど、五はどうなるんでしょうか。若干不安です……。

 こちらも失恋ならぬ落選続きで大変な感じですが、懲りもせずまた今年も秋の公募の仕上げに入ります! というわけで、このシリーズもツイッター毎日更新していきますので、よろしければ是非フォローとかしちゃってくださいね^ -☆

 まあでも今年は、色んな災害が同時多発しちゃってますから、落選だろうがなんだろうが、書いてるだけの余裕があるだけでよかったと思うことにします。今できることを、確実にあまおう あまお がお送りしました~^ ^ノシ

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