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ドキュメンタリー映画『食べることは生きること』

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2023年秋に来日したアリス・ウォータースの来日ツアーと、ツアーの様子を映画化した『食べることは生きること~アリス・ウォータースのおいしい革命~』の情報をまとめています。
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2023年10月の記事一覧

<アリス・ウォータース来日ツアー その1 海士町>

『スローフード宣言』の1周年を記念してアリスが来日しています! めくるめくツアーの毎日でなかなか報告の隙間がありませんが、最初の訪問地は、島根県隠岐諸島の海士町でした。 スーパーもコンビニもない人口2300人の島で、お米は100%自給。農家さんの組合が元気で、耕作放棄された水田はほとんどありません。海も豊かで、人と人、人と自然の距離が近く、神楽やしめ縄作りなど、町の皆で集まる行事も盛ん。町で唯一の信号機は、「いつか子どもたちが島を出るときに戸惑わないように」小学校のそばに

<アリス来日ツアー その2 他郷阿部家>

海士町の次に訪れたのは、同じ島根県にある石見銀山です。 この町は、2007年、「石見銀山遺跡とその文化的景観」として、鉱山遺跡としてはアジアでは初めて世界遺産に登録されたそう。江戸時代にタイムスリップしたかのような町並みを歩き、たどり着いたのは「暮らす宿他郷阿部家」でした。 1789年に建てられたという家屋は、オーナーの松場登美さんが購入した当時は見る影もなく朽ち果てていました。それを21年間かけて少しずつ、地元の職人たちの手で改修したお宿は「日本のスローフードを追求する

<アリス来日ツアー その3 京都大原>

アリスの来日企画を考えるにあたり、「日本の美しさを見てほしい」「子どもと食をつなぐ実践者に会ってほしい」という気持ちの他に、もうひとつ、「日本のビジネスリーダーの背中を押してほしい」という願いがありました。 便利さやスピード、大量生産やコスパを重視しすぎたあまり、作り手も消費者も疲弊している… そんな現代社会のバランスを少しだけ、スローな方向にシフトすることはできないか。そう考えているビジネスリーダーたちが、五感で気づきを得るような場を作ろうと、スローイノベーション Tak

<アリス来日ツアー その4 ビジネスリーダーへのメッセージ@京都GOOD NATURE HOTEL>

さあ、京都市内に戻ります。 お昼は、大原で収穫した野菜を使って、生江さんと中東さんにお料理していただくのを目の前で見せていただきながら、アリスの話を聞くという、なんとも贅沢な時間です。 アリスは、大小様々な日本のビジネスに携わる人々に話をする機会ということで、何をメインメッセージにすべきか、考えているようでした。 話してくれた骨子は、こんな内容でした。 「日本のビジネスリーダーの皆さん、こんにちは! 私は皆さんに、ある大切な提案をお伝えしたくて、今日、ここに立っています。

<アリス来日ツアーその5 立命館大学>

ツアー5日目は、立命館大学食マネジメント学部へ。 別名「スローフード大学」とも言われるこちらの学部は、経済学、経営学を基盤として「食」のあらゆる側面を総合的に学ぶことを目的に、2018年に開設されました。日本の大学で初めてガストロノミーを学問として学べる場所であり、数年後には海外からの学生も受け入れ、バイリンガル学部にすることを視野に入れているそうです。 この学部で教鞭をとる Masayoshi Ishida 先生は、長年イタリアに暮らし、スローフードインターナショナルの

<アリス来日ツアーその6 オーガニックヴィレッジ宣言をした亀岡市訪問>

京都の嵐山から電車で8分の場所、今年「オーガニックタウン宣言」をした亀岡市を訪れました。 亀岡では10年前から「環境先進都市」を目指していて、観光資源である保津川下りの船頭さんがゴミ拾いを始めた流れが大きくなり「2030年までに市内のプラごみをゼロにしよう」と決めました。国内でもいち早く「使い捨てビニール袋は提供禁止」の条例を作った町です。 そんな流れが進み、有機農業を市として進めようということになりました。亀岡は、昔から京都の都に食材を提供してきた土地柄。「オーガニック