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わたしの半径5m

新しくお店のドアの鍵を新調した。
アプリで開け閉めできるので、わざわざ鍵を出さずに済むのでとっても便利だ。鍵の解錠は半径5m以内。その範囲であれば、アプリから開け閉めできる。半径5mというとお店と同じくらい。広いようで狭い。でもなんだか目が行き届く安心する範囲だなぁという感覚がある。
お店ができた当時は、自分のもの感がまるで無くて、心細かった。それに比べるとわたしの居場所と思える場所はどんどん広がりつつある。

わたしはたぶん地元愛(他の言い方ない?)がないと思っている。出身地の新潟にUターンしてお店まで作った人が言うことではないかもしれないけど。
わたしは高校生まで新潟で過ごしていた。
進学は絶対に県外の大学に行きたい、そしてみんな関東の大学に行くので、その人たちとは違うところに行きたいとまで思っていた。
とは言えいじめられていたわけでもない。多くはないけど友達もいて、学校もちゃんと?通っていた。
それなのになぜ、そんなふうに思っていたのだろう...。
今考えるとそれはきっと、自分を許せなかったのかもしれない。みんなと同じが嫌で、そうじゃない方を選ぶとなんだか孤立してしまって寂しい(やっかいな性格)。違ってもいいと自分のことを自分で認めてあげられなかった。

実家を出てからは、帰省すらほぼしていなかった。そんなわたしが大学生、社会人を経て12年ぶりに新潟に戻ってきた。家族の事情...。でも帰ることは自分で決めたこと。最初は気持ちの折り合いがつかなくて、長い帰省のような気持ちだった。落ち着いたらわたしは帰る。"帰る"という言葉通り、新潟はわたしの帰る場所だと思っていなかった。そんな風に漠然と思っていた。

そんなわたしが、新潟で色んな人に出会って過ごしていくうちに新潟市の花町にお店を作った。ずっとお店を作りたかった訳ではない。でも作る以外の道がその時は浮かばなかった。
知らない土地。高校時代だってそんなに新潟市に遊びにきてたことはないし、帰省もほぼしていないので、馴染みなど一切ない。

でも、気持ちのよい場所を見つけてもらって今はわたしの無くてはならない場所になっている。なるべく長く続くように力を尽くすつもりだ。その気持ちは、お店から溢れ出てお店のある花町にも流れ出していることに最近気づいた。花町が楽しくなるといいなぁ。

そんなふうに地域愛とは無縁のわたしは今ここをとてもとても大切に思っていて、その為なら結構なんでもできそうな気持ちがあって、みんなにも知って欲しい。そうなったらどんなに楽しいだろう。そんなふうに思っている。

「ここにいてもいいんだよ」と言われたことはない。でも、わたしが「ここにいたい」と思える場所。いまのわたしの感覚は"花町"が"わたし"とイコールになっている。そうやって自分ごとの範囲がわたし→お店→💭と広がって、大切なものが増えていくのだなぁと思う。半径5mのみなさんを大切に。その範囲をじわじわ広げて。

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