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3歳でNTRに目覚め、4歳でエロ漫画を描いたクソガキの冒険記



私は幼少期、エロに対する興味が一般的な少年よりもはるかに強かった。

最近『四歳の頃にピカチュウとプリンのエロ漫画を描いていた』という神童エピソードを親に蒸し返され、幼少期〜小学生の、大海原へエロを求めて漕ぎ出すあの高揚感を思い返していた。
そこで、ひとりのクソガキのエロへの冒険記をここに綴ろうと思う。


目覚め


私の母は当時、ビッグコミックオリジナルという漫画雑誌を購読していた。
台所などに普通に置いてあったため、幼児の私がページを捲る機会は自然と訪れてしまった。

齢三歳。
これまでアンパンマンかノンタンくらいしか知らなかった私は、ついにエデンの禁断の果実を齧ってしまうのだ。

そこには男女が濃密に絡み合う、新たな世界が広がっていた。
今考えればあれは『黄昏流星群』という、不倫やNTRを題材にしている漫画である。
『黄昏流星群』は母が漫画を買わなくなる小学三年生頃までお世話になるのだが、悲しいかなここで決定的に性癖が歪んだように思う。
今でも純愛モノにはまったく食指が動かない。

専業主婦であった母の目を盗んで漫画を読むことは至難の業で、私はヤキモキした日々を過ごしていた。

そこで私は画期的な方法を生み出す。

自分で描けばいいのだ。


齢四歳。
最年少エロ漫画家の爆誕である。
当時の私は絵を描くことが好きで、簡単な漢字も書くことができた。
好きだったアニメ『ポケットモンスター』のピカチュウとプリンのエロ漫画を描いていたのだが、親に見つかりちょっとした家族会議になった。

この時点で性行為の概念はまだなく、「たくさん盛っておけばお得やろなぁ…」という理由で、何から何まで生やしていた。
幼児が本能的にふたなりを生み出したという事実は、今後何かしらの論文に役立つと思っている。


三次元との出会い


時は流れ、私は見た目だけはピカピカの一年生になっていた。
のどかな田舎の、男女の垣根を越え皆で遊んでいるような小学校だった。そんな時、同じ通学班の男子がこんな噂を持ってくる。

「エロ本公園という公園がある」

それは住宅街の奥地にある、猫の額ほどの小さな公園だった。
男子達はさっそくエロ本を探しに行く計画を立て始め、もちろん私も参加した。
大航海時代の幕開けである。

結果として、ひとつなぎの大秘宝…エロ本は夕方頃、帰り道で見つかった。
私以外の男子は、エロ本=なんかよく分からんお宝くらいに思っていたのだろう。発見の感動よりも空腹が勝ったのか、微妙な空気のままお開きとなった。

しかし私にとっては初めての三次元のエロとの出会いであった。
三次元のエロ本は、エロは現実に存在するしているものなのだと私に知らしめる上で、非常に大きな役割を担ったのだ。

それからはもう、生活に潜むあらゆるエロを探し続けた。


スポーツ新聞の中記事の、プレイボーイの広告。
スカパーのガイド誌の後ろについているアダルト番組の紹介記事。
新聞の深夜のテレビ欄の、怪しげな番組の紹介文。


こう書くと、山崎まさよしのOne more time one more chanceの歌詞のようで味がある。

母は漫画を多く持っていたため、何でもいいのでとにかくエロを探すことが、母の留守時のルーティンとなっていた。
『火の鳥』で発見したときはとても嬉しかったのを覚えている。


また、この頃は少女漫画も好むようになっていたので、私の画力はメキメキと上達し、エロ漫画執筆に磨きがかかっていた。


転機

そんなある時、転機が訪れる。
小学五年生の夏のことだった。

その日は、私を含めた幼なじみ三人組でお泊り会をしていた。何を隠そう、この二人も私に匹敵するエロ猿であった。

当時、私以外の二人は既に携帯電話を持っており、二人は『モバゲー』というサイトにハマっていると言った。
さすがに今は違うと思うが、当時のモバゲーはまぁまぁの無法地帯であった。
サークルはエロ関連のものが乱立しており、お泊りテンションの私達はきゃあきゃあ言いながらそれを眺めていた。 

そんな中、友人がひとつのスレッドを見付ける。


『イメプスレ』

いわゆる文字だけで性行為を行うという、地獄のようなスレッドだった。
我々は交代で携帯を回しながらイメプを行うこととなり、適当な男を見繕ってそれは始まった。
相手もまさか小学生とプレイするとは思わなかっただろう。

しかし問題が発生した。
エロ猿3匹は、具体的な性行為を知らないのである。

『ペロペロペロペロ』
『レロレロレロレロ』
『ベロベロベロベロ』

3人で淡々と携帯を回していった。
イジリー岡田botでも構わないのか、相手はまぁまぁの下ネタをぶつけてくる。

私はそのとき無慈悲にも、あぁコイツ気持ち悪いなと感じてしまったのだ。

思えばこれまで、能動的にエロを探して回るばかりで、自分に対して他人から性欲を向けられるという経験は一切なかった。
あれだけオカズ探しに明け暮れておきながら、自分自身が性欲を持つことも、不思議と一度もなかったのである。

涼しい顔をした大人達が隠していることを全て暴いてやろうという、孤独な研究者の気持ちが近いのかもしれない。

それがどうだ、研究対象のロボットが意思を持ち、こちらに話し掛けてくるのだ。違うそうじゃない、研究は失敗だった。

こうして私の大航海時代は悲しくも終わりを告げた。
小学生エロ漫画家は筆を折ったのである。



降船

それから私は中学生になった。
ギャルやヤンキー寄りの友人もできたため、早熟な彼らの実体験も耳に入ってくるようになった。
AVを持ってくる奴もいて、初めて動くAVを観た。
しかし、あの頃のような輝きはまったくなかった。  

今でも酒の場で友人らと下ネタで盛り上がるのは嫌いではないのだが、それは単なる大人の猥談に過ぎず、まだ見ぬ大秘宝を追い求めていたあの感覚とは異なるものなのだ。

私は仕事で書くシナリオや、趣味で作る動画にも、コロコロコミックレベルの下ネタを用いることがよくある。
もう船を降りてしまった身だが、せめてフィクションの中では、エロ本を探して夕方まで駆け回った小学生時代に思いを馳せたいのかもしれない。


そして、もし将来、自分の子供がすみっコぐらしのふたなりエロ漫画を描き始めようとも、温かく見守れる覚悟はできているのだ。

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