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さようならの代わりに

ともだちへ

こんにちは。お元気ですか。
それなりに世の中が動いているようですが
こちらはなんとかやっています。

このような寒暖差の揺らぎがある初夏の日には
君のことを想い出します。
とても賢い人であったことを
ようやく実感している愚かな私です。
普段、口癖のように
「想像力の無い人間は阿呆だ」とか
「なんでなってみないとわからないのかな」だとか
人の脳の構造と自分はまるで違っているかのように
偉ぶっているところがありますが
少なくとも君について私は
なんの想像も出来ていなかったことを肌に感じます。

私があの時、求めていたものは、人生は、
君にとって過酷なものであったと
自分がなってみて初めて知ることとなるのです。
そのためにたくさんの時間を費やしてしまいました。
愚かなだけならず浪費をしてしまうところが
より一層悔やまれる点であります。

人はどうして学習しようとしてもしきれないところがあるのでしょうか。
何故現実を見られない時があるのでしょうか。
目の前で全て起きているというのに。
その時、人は何を見ているって言うんでしょうか?
甚だ不思議ですが私も君の前にいるだけで
紛れもなくそのひとりでした。

いいところ、私は旧式でこそないが
プロトタイプのまま
亜種に育ってしまったと
そういう風に自分を評価します。
君こそは本当の本当でしょう。
もしかしたらこんな下らない妄言自体、
君の目にはもう映りもせず
次の空を描いているのかもしれませんね。

ただ私が感じているのは
こんな晴れた空の日にも
一切合切を投げ捨てて消えたくなる気持ちがあること
君が“その時”に嘘をついていなかったこと
やっと気づいた自分についての罪滅ぼしだけです。

免罪を乞うことはしません。
きちんと自分なりに向き合っていくつもりで
もう安直に君の心に触れないよう努めます。

かしこ

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