あなたと私

おくるみに
包んであるのは
真っ白な死
本当なら黒だけど
あなたのは白いよ
ここで大事に
抱いててあげるから
さあ幸せに
おなりなさい

花嫁ドレスを
わざと踏んで
指輪を
わざと無くして
そんなことできませんから

私の抱くこれの代わりに
あなたは赤い命を抱いて
誰も見たことない
柔らかな笑顔を
してみせて
ただ呪いのために
その手に抱いてはいけない
あなたとあなたの人だけ
そのために抱きなさい

あなたの声は
本当にあなたか?
籠った声に耳を傾けるな
鮮明な声にだけ
あなたは頼れば良い

心地良くとも
籠った声を
聞かないで
目を閉じないで

さあさ私がいるぞ
暗い瞳で
あなたは見るのだ
いつもは光が集まるその瞳が
私を見る時は暗くなる
私は光の一粒にさえなり得ない
ただひとたびの宵の海
沈む海
連れてゆく海

その瞳は
無なのか
恐れなのか
反射しないなら
何も見えない

私は海よりも黒くて
どんな光も飲み込むのかもしれない
あなたにさえ反射しないなら
きっとそうかもしれない

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