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あっ、あぶない! (2)

主人は「まずいな」といい、ハンドルを切って一つ手前の路を曲がって車を進ませました。              

「なんかあってからじゃ遅いから、二人で男を捕まえよう」という私。  

見失わないように、急いで確認できる十字路までいくと、女の子はきっと家に帰るまでの近道を使い、暗い細道をゆっくり歩いていました。もちろん、まだ後ろにいる男の存在も知らずにです。

女の子と男の距離がいよいよ近くなっている状況を見て、危険を察知した主人は一気にアクセルを踏み、細道を通って女の子のいるところまでまっしぐらに向かいました。

男の横を通り過ぎ、クラクションを鳴らして主人は女の子の方に声をかけました。(女の子と男の距離は、もう10メートルもないくらいでした)

「いきなりごめんな。怪しい者じゃないから安心して。今、君ね。後ろから男につけられてるよ」

女の子は「ひ、ぇっ!?」と小さくとがった悲鳴を上げ、

主人が「ほら、一回後ろ見て見て」と言うと、すぐに振り返っていました。「きゃっ、えっ!? 本当だ! 今隠れた!」とひどく驚いていました。

私も女の子に「ずっと駅からつけられてたの! 気になったから、車で追いかけてきたの!」と言いました。

男の姿はもうありませんでした。

でも、主人も女の子も逃げた男の姿を確認したようでした。

「何も無くてよかった。な、君な、歩きながらスマホを見たらあかんとは言わんけど、絶対な、歩いている時は後ろや周りにきをつけるんやで」とやんわりと、そして力強く伝えている主人。

女の子は、何度もお礼を言い、頭を下げていました。

「家までつけられて取り返しつかんこともある。気を付けて帰んねんで!ほら、はよ帰り!」という主人は安心させるように女の子に伝えていました。

最後に「ありがとうございます! 気を付けて帰ります!」といった女の子は、両手に持つ荷物を揺らして足早に帰って行きました。



本当に、未然に防げてよかった……!




今回、出版した作品の内容と重なったこともあり、本当に考えさせられます。

もし、無関心、ただなんとなく見て、通り過ごしてしまっていたとしたら、と思うと、背筋が凍ります。 人は人、他人ごと、知らぬふり、関わりたくない、面倒くさい、自己責任……という感覚が多い昨今。

 女の子の人生が、そこで変わってしまったのかもしれないと思うと、この判断は間違っていなかったと思いたいです。(主人の行動力に感謝。その後、ちゃんと警察に通報しました)



(細道を照らす明かりは少なく、女の子は手に持っているスマートホンの画面だけを見ているようでした。露出した、白くて細い足は離れて見ていても目立ち、ショッピング袋と大きなバッグを両手にさげている華奢な姿は狙われるかっこうの的(まと)です。本当に気を付けてください。)


     どうぞ、警戒することを忘れないでください。

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