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加油! ※オリンピックネタではありません。

仕事が終わり、「今日は混雑していなさそうなお店を探して、外食しよう」ということになった。前日の天気予報通り一日中天気は悪く、夜になっても冷たい雨が降り続いていたが、さすが三連休の最終日。コロナの影響は感じることもなく、交通、飲食店ともに混み合っていた。                       「どこか、空いてるとこないかな~。あっ、そういえば。このあいだ行った、中華料理店でも行こうか」                         私が薄笑いを含めてそういうと、主人も「あぁ。あそこか。……酢豚でも食べようかな」と運転しながら言った。                        その中華料理店○○。実は先日行って色々とあったお店だった。 今回は、色々とあった中の一つの話だ。(たいしたことないんだけど)


車をしばらく走らせ、ようゃく回転灯が眩しく光る、ど派手な中華料理店○○に到着。外観は豪華で、駐車場も15台以上は止められる店舗なのだが、あいかわらず閑古鳥が鳴いている。                私は以前から、ここの天津飯が好きだったので、多い時は月に一度のペースで来店し、天津飯ばかりを頼んでいた。                コロナ禍ということもあり、約三年も足が遠のいていたが、先日は久しぶりに来訪し、迷わず好物の天津飯をオーダーしたのである。

ここまではいい。ここまでは、別に問題はなかった。           しかし、楽しみに頼んだはずの天津飯の様子が、明らかに違っていたのだ。               「私の好きな天津飯は、これじゃない!」                 「薄餡の泉に光り輝く、黄菊の花の渦巻き! レンゲで掬えば柔らかい厚みがトロリと伝わってくる優しい感動。それが味わいたかったんだ!」       愛想もなく、適当に置かれていったお膳の上の天津飯。それは、ただの固くなった黄色い円盤、どっぷりと茶色の糊に浸かった沼の塊。           私は「なんじゃこりゃ!」と、心の声が出かかった。が、主人が気を悪くするのでやめておき、無理矢理流し込んで完食した。(食材に罪はない。 「出されたものは残さず食べる」がモットー)


今日、なぜ来訪しようと思ったのか。                  諦めが悪い私は、その天津飯を味わいたいが為に勝手な思い込みを起こし、期待を新たに再びチャレンジしようと思ったのだ。          「もしかして、いつも鍋を振ってるコックが、その日はたまたま休んでいたのかもしれない。もしくは、ちょっとした疲れで火と油を加え過ぎ、卵混ぜの手を抜いて、餡の味も濃くし過ぎたのかもしれない」と。

私の予想は的中だった。本日、中華料理店○○の天津飯は、いつもどおりの見目麗しい天津飯であった。


このあいだは、帰りの車内で天津飯の不出来に未練タラタラだった私。主人には仕舞いに、「お前はそもそも運が悪いんだ」とも嘲笑された。

「ねえ! 今日、あの天津飯に、戻ってる!」             私は大喜びで前に座る主人の顔を見た。主人はただ、「ん、よかったな」と言っただけだった。                             

あきらめが肝心ともいったりするが、今回は諦めなくてよかった。


 



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