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あっ、あぶない!(1)

最近運動不足の為、毎日最低でも3000歩から5000歩は歩くようにしています。一日一万歩を目標にしたいのですが、仕事がある日には、なかなか難しい。

とくに先日から作業量が増えてバタバタしているので、みなさんの記事を見にNOTEへ行けても、自分の記事を書くころには寝てしまっていました。


やっと、ひと段落ついて、休日前夜の月曜日。

まだ夜九時前なのに、まん延防止中の影響で駅前は人もまばらでした。     やっと仕事が終わったところでしたが、主人と二人、

「人も少ないし、食べる前に、少しだけ歩数稼ぎに歩こうか」ということになりました。(もちろんマスク着用、万が一の為、ミニアルコールスプレーボトル持参です)

とりあえず車にいったん荷物を置いてから歩こうとパーキングに向かって歩いていたのですが、

主人が急に前を向いたまま誰にも聞こえない位に小さな声で、隣りにいる私にこう言いました。

「……今の奴、怪しい」と。


私は「えっ」とそのまま振り返りはせず、「……今、駅のホームの方見てじっと立ってた人のこと……?」と同じ位小さな声で聞きました。

主人はまた訝しげに「ああ。あれはなんか怪しいな」と呟きます。

私は、「駅のホームから家族が帰って来るの待ってるんじゃない……? 確かになんか気持ち悪かったけどさ……」と言いました。

少し不安になりながらも、とくに気にすることもなく私は足を進めました。不衛生な見た目でもないし、スマホを触ったりしてずっと立っていただけなので、きっと誰が見ても特別怪しいなんて感じる風体ではなかったのです。

でも、主人は何を思ったか、車の鍵を開けて私を座らせたら、また男の方へと戻り、再び自然にすれ違うようにして歩いていって、こちらにゆっくりと戻ってきました。                               「なに……、どう? やっぱりなんかおかしいの?」


勘の鋭い主人が怪しむ場合。                         今まであまりいい話を聞いてこなかったので、本気で不安になり始めていました。私は緊張したまま、運転席に乗り込んできた険しい顔する主人の表情を覗き込みました。

「ちょっと、様子見るぞ」

「はい……」

主人は真剣な声でそう言うと、アイドリングをしたまま、斜め後方にいるその男を監視し続けました。



――そして、15分も経過したころです。

私は、駅に到着した満員電車を見て安心します。           「今着いた電車、乗ってる人も多いし、家族の人も到着したんじゃない?  この波過ぎたら歩こうか」と言いました。                                この駅で降りてくる人も多く、実際にその男も信号待ちで立ち止まっている乗降客の人ごみや、歩いていく人の姿を心配げに見ている様子でしたから。

「もう、大丈夫だよ。いこうよ? おなかもすいたし」と、主人を安心させるように私が言いかけた時です。

主人が、「あれだ。あれはやばいな」と前のめりになって言いました。

私は再び緊張が走りました。主人の目線を追っていくと、その男。

どうやら家族待ちではなさそうだったんです。

なぜかというと、

あきらかに反対側の歩道を歩いている20代前後の女性を見つけて歩き始めたにもかかわらず、手を上げたり、声を上げたりして呼ぼうとしないんです。それに、娘? 孫っぽくもない。

その男は、20台前後の女性の後ろ姿しか見ていません。       徐々に徐々に距離を縮めて行っていました。その間にスーツ姿の男性が三、四人いましたが、その男だけ、確実に歩き方に違和感があるのです。

30メートルもない近距離まできて、ぴったりその女性を尾行しているだろう男の後ろ姿を確認した主人は何も言わず、車をゆっくりと走らせ始めました。

「たぶん、窃盗というよりはわいせつ目的かな……。もしくは両方……」

私は女の子の特徴を見て、主人にぼそりと言いました。

「まだわからんが、何もしていない時点でこちらは何もできん」

「えっ、でも、確実になんかする気だよ? 女の子気づいていない! どうしよう」

「とりあえずつけるぞ。何かあってからでは遅いが、今は何もできん」

「そうか……。でも、細道入ったり、女の子が家に着いてからでは遅いよね。住んでる家確認されたり、もし人気のないところにいってしまったら……」

そう話している間にも、女の子はスマートホンにかじりついたまま、ゆっくりと細い中道へと入って行ってしまいました。



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