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量と質どちらが大事か

『量と質どちらが大事か。』

最高の質で最大の量をこなすということが、理論上(私が実現できているかは別として)最適なのには揺るがない自信があった。

しかし、他人に教えるという意味では話が違うのかもしれないと最近気づいた。



家庭教師のアルバイトをしているのだが、例えば、短い期間でその生徒様にとって膨大な量を教えなければならないというケースである。

私が受験生だった頃は、『量も質も時間を捻出して一人でこなす』ことを絶対としていた。

『一人でこなす』のであるから、人の助けを求めるのは授業前後の先生の空き時間など必要最小限にし、その後は時間をみっちりかけて自力で解決していた。

しかし、家庭教師を始めて、このアルバイトの特異性に気がついた。

家庭教師をするというのは、生活の空間に入らさせていただくということである。

そうなると、『教える』ことも大事だが、頻繁に『生徒様が解く傍らにいてあげる』ことも大事な仕事になる。

よって、生徒様によって異なる『理解するまでの時間』に合わせて指導していくことになる。

理解に時間がかかる生徒様も、『じっくり時間をかけて考える力』があるならばそれは素晴らしいことであり、是非とも生徒様のペースで併走させていただきたいと思っている。

しかしながら、命じられている指導範囲を終えることは厳守しなければならない。

本部の目も、親御様の期待もあるからだ。

ここで、冒頭の『量か質か』問題に立ち戻る訳である。

家庭教師の性質上、守られた範囲を厳守するならば『量』を、生徒様の理解度を優先するならば『質』を優先することになる。

生徒様に教えられる時間は指導時間のみと限られているのだから、猛スピードで量をこなした方が形としては与えられた仕事をした感じがするだろう。

しかし、本人の今後の学習のために、範囲は終わらなくても、じっくり教えて、質を確保したいのが本音である。というより、質が無ければ家庭教師は存在意義をなさないと思う。

つい先日までの私は、このようなことで、『量か質か』問題に直面するとは思わなかった。

私が量も質も確保したスパルタ指導をしてしまうと生徒様のモチベーション低下に繋がる。

本部とも相談はしているのだが、家庭教師として納得のいく答えを出すのはまだ当分先になるだろう。

各方面にどのような顔をされるかは分からないが、ここでひとまず私が出した結論は、『量よりも質』である。

質があるから苦手意識を解消でき、量をこなすモチベーションに繋がる。

生徒様は質を確保した指導で得たヒントを、次に活かせる。

網羅できなかった量の部分は、今後負債という形にはなるがその生徒様に必要な問題だけをピックアップしてじっくり解消していけば良いのではないか。

これまでも、遅れをとっている生徒様をもつことになったときはそうしてきた。

しかし、悲しいことだが、『仕事=評価を求める行為』なのだと考える。

お金を頂いてやっている仕事なのだから、評価するのは親御様と本部である。

その評価が良ければ、しっかり仕事をしたことになり、生徒様の本音は加味されないことが多いのではないかと最近感じる。

ここで私は、今後は家庭教師としての矜持で、生徒様の本音(つまり、指導内容の理解度)という『見えない評価』を得ることに注力していきたいと思う。

親御様に大きなお金を頂いてやっているのだから、コミュニケーションはしっかりして、私がやっていることを理解していただいる状態にしておくことは大前提とする。

親御様や本部からの『目に見える評価』は、後に蓄積された生徒様の学力がスコアとして現れてきたときに期待する。



ご家庭の立場から見たら生徒様の学力アップが第一なのは自覚しているが、一教師として、今大きな学びを得ている実感がある。

私自身が今後どう成長していくか、そして今後人を教育する立場になったときにどう指導していくかという問題に直面した際、量と質問題の答えをどんどんブラッシュアップしてより良いものにしていきたい。

そして、答えが出ないときこそ、『周囲とのコミュニケーション力』が問われていると認識して働いていこうと思う。

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