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【日常エッセイ】オバチャンになったな


今年、47歳。
高齢出産で子どもはまだ小学校低学年だけど、
私は十分おばさんだ。

年齢だけでそう感じてるわけじゃない。

10代や20代のころなんてもってのほか、
30代のときですらできなかったことが
できるようになったから、
自分のオバチャン化を実感してる。


何ができるようになったのか、というと。


\知らない人に声をかけるようになった/

と言っても、
何かの勧誘ができるようになったって
いうことじゃない。
もちろん、ナンパするわけでもない。


前を歩いていている人が物を落としたら、
大きな声で
「落としましたよー」

トイレで順番待ちして
自分の番が来たから進んだら、
並んでた列から見えてない個室が
空いてることに気づいて、後ろに並んでる人に
「ここ、空いてます!」

そんなふうに声をかけることが
できるようになったんだ。


年齢に関係なくできる人はできることだと思う。
でも私は若いころ恥ずかしくてできなかった。


映画館のロビーで、トイレに行こうと歩いていたら、
トイレの入り口のすぐそばに
女子高生が立っていた。
スカートがめくれて下着が見えていたから、
背後から近寄っていって肩をたたいて、小声で
「スカートめくれてる」
そう呟いて、トイレに向かったこともあった。


これも若いころなら
見てみぬふりをしてた気がする。
知らない人に声をかけて、
変な人と思われるのがイヤだった。

親切なことなんだから、
たぶん変な人扱いされることはないだろう。
自分が声をかけてもらう立場なら
お礼の気持ちしか出てこない。
そうわかっていても、
若いころは声をかけるのにはとても勇気がいった。


20代のころ、電車に乗ろうとしたら
後ろをついてきたオバチャンに
声をかけられたことがある。
50代後半くらいの人だったように思う
ねえ、と言われて振り返ったら
「パンストに穴が開いてる」
オバチャンが指さす先を見たら、
ふくらはぎのところに穴が開いていた。
電車に乗り込みながら、
「あー」という私に話しかけてきた。
「大丈夫よ、あんまり目立たないから。
 替えは持ってる?」
私がうなずくと
「電車を降りてから履き替えたらいいよ」
そう言って、混み気味の電車の中で、
私とは離れたところに立った。

ええオバチャンやな。
20代の私はそう思った。

47歳になった今の私は
平気で人に声をかけていける。
考えるよりも先に声が出る。
私が若いころ出会ったオバチャンと同じ行動だ。

うん、
ああいうふうに自然に声をかけていける
おばさんになろう、

そう思っていたオバチャンに私はなっている。

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