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小説 『窓』 no,41

  ポートアイランドの「グラビトン ホテル」30階からの夜景をボート( 黒板 又は ホワイトボート)代わりにして妹尾錠治は考え込んでいた。

堺署の刑事(達)が「久保製作所 株式会社」の調査をする切っ掛けは、恐らく紡車紫織が 三輪龍二から(家宅捜索を偽って)手に入れた「ブラック•ステック」と「その設計図と思われる資料」を 倉崎聖士に手渡す前に携帯電話で写し撮っておいた記録の一部を(退職前に府警に)提出した為だろう(との事は)…その後の紡車紫織から聞き出した内容から容易に(妹尾錠治には)推測出来ていた。

そして、今回(こんかい)久保製作所の久保社長(久保克也)と会ったことで、久保製作所が「ブラック•ステック」を 完成させる事が出来る環境に有った事(つまり、完成させると同時に、ブラック•ステックを小型した製品を作る為に必要な「原材料の入手」と「製造する技術」を持っている事)が分かった。

そして、その事は…
久保製作所(株式会社)で(ゴト具を)作っていた事を 既に 堺署の刑事にも、(今回の)妹尾錠治にも 久保社長(久保克也)自身が(隠す様子も無く)認めている事実(だが…、証拠となる品物も設計図を含む資料全部が、既に久保製作所には何も残っていなかった…)を、元(もと)に考察すれば…

「ブラック•ステック」の情報(製造に関する情報の流れ)は…、
倉崎聖士 から三輪龍二に…
そして、三輪龍二から久保製作所の(社長である)久保克也に 流れ着き、恐らく(以前、佐倉井から聞いてた…)試作品の3機を含む「ブラック•ステック」の製造が行われていたに違いがない!(と、妹尾錠治は考えていた…)

ただ、三輪龍二と久保製作所の久保社長(久保克也)の間(かん)には、行方不明(ゆくえふめい)中(ちゅう)の「久保伸治」が関与(かんよ)している事は、紡車紫織と(紡車紫織の兄である)紡車耕司からの 久保伸治に関する(状況)説明で…
妹尾錠治は、確信している…
いや、確信と言うには 未だ早いかも知れない…、
なぜなら 紡車紫織は、三輪龍二が「転落死」した後(あと)で…
紡車紫織と一緒に隣接する(事件現場となった)マンションビルの非常階段を降りてきた時の、その「相手の名前」を 妹尾錠治には(妹尾錠治が紡車紫織に質問しても…)答えなかった!
からだ…、
ただ 久保伸治からの情報提供(三輪龍二の居場所に関するなどの情報提供)のお陰(かげ)で (紡車紫織は…)三輪龍二から、「ブラック•ステック」と「製作図面と思われる資料」を奪う事(作戦)に…紡車紫織が成功している。(この事は、紡車紫織が大阪府警に「辞職届」を出した後での妹尾錠治との二人で居た時に認めている。)

つまり、「久保伸治」が「3重スパイ」の様に見える (妹尾錠治には、そう見える)3つのポイント(切っ掛け)の…重要な点でもあった。

※ 重要なポイント3点(とは…)

その1: 喧嘩別(けんかわか)れを演出して(たかも知れない)久保伸治と倉崎聖士との関係が…、

彼(久保伸治)が赤井と一緒に(倉崎の会社から)独立した後も…、

(倉崎聖士との関係が )継続していた(と思われる)点。

そして、2つ目のポイントは…

紡車紫織との関係においてである…

倉崎聖士を通じて(久保伸治と)知り合った結果なのであろ…が、

彼(久保伸治)の 警察(紡車紫織)への情報(三輪龍二に関する情報)提供者しての(立ち位置での)関係が 認められている点。

そして、最後の3つ目は…

「転落死」した 「三輪龍二」との接点についてである…

それは…「三輪龍二の舎弟(しゃてい)の様な存在だと…、(おそらく、久保伸治の事を) 紡車紫織が(妹尾錠治に)話していた点にある…」

しかし、それは…

もしかしたら、彼(久保伸治)が、倉崎聖士に 「三輪龍二」 を 紹介した可能性も充分に考えられる点。

この3点は、妹尾錠治が 紡車紫織から聞いた内容と三輪龍二が「転落死」した後の出来事から…
彼(妹尾錠治)が 思いついてる(気付いている) ポイントで(も)あった。

紡車紫織が 三輪龍二から「ブラック•ステック」と「その製造に関する資料」を手に入れる際にも…
(久保伸治が影で紡車紫織の行動をサポートしているように感じられる)
久保伸治は「三輪龍二 に 関する 必要な情報」を紡車紫織に流していたのだと…思って間違いない!

その後、…

この3点の先に…起きた(発生した)…(ところの…)

先般の神戸(三ノ宮)エリアで複数のパチンコ店で発生した「非接触ゴト」による被害が結びついている(と考える事が 最も自然な状況…)

妹尾錠治が、この事を更につい詰めて考えてみると…

もし、三輪龍二 が (大規模な)大阪に拠点を持つ「ゴト集団」と繋がっていたとしたら…

それは…

以前、紡車紫織が…倉崎聖士から伝え聞いたと話してくれた…

ところの…

大規模な「ゴト集団」の拠点(アジト)が 大阪に有るとの…話しとが結びつく。

大阪府警での 彼女(紡車紫織)の出世に 影響したとされる…あの一件での内容が…
日本最大の「ゴト集団」の拠点が大阪に有るとの情報で 内偵捜査が行なった… との事(紡車紫織の話)だった。

しかし、その後に ついては…

(妹尾錠治は、詳しくは 誰からの情報も 無いまま 遣(や)り過ごしたままだったのである。)

妹尾錠治は、今回の「ブラック•ステック」が 作り出す…「非接触ゴト」で…

不気味な広がりを予想させる「ゴト行為」が…、
この大規模な「ゴト集団」が 今も存在していて…
(彼らが)繋(つな)がっているとしたら…と 考えたら…

妹尾(心と頭の中で):「これは、とんでもない更なる事態を引き起こす(ぞ)!」

妹尾錠治は、自分の心と頭の中で叫んだのでした。

当時の倉崎聖士が 紡車紫織に 流したとされる情報の出所が…
三輪龍二 なのか…?
久保伸治 なのか…?
それとも…、
倉崎聖士 自身なのか?

妹尾錠治には 未だ ハッキリ(明確に…)とは見えていなかったが…、

「転落死」して、もう この世には居(い)ない三輪龍二と、消息不明の久保伸治が…、
何らかの切っ掛けで (日本一)大規模な「ゴト集団」と関係性を持っていたと考えるのが…、(倉崎聖士が堺署に勾留中であることから…)
妹尾錠治には、(それが)順当だと思っていた(考えていた)のてあった。

多分、警察(堺署を含む大阪府警)の担当刑事達も、きっと同様(妹尾錠治 同様)の考察しているに違いないと(妹尾錠治は)思った。

そして、ふと(妹尾錠治が)思ったのは…
倉崎聖士が三輪龍二を殺していないことは、警察でも明確に成っている筈(はず)なのに…未(いま)だに保釈を含めて解放されないのは…

「ブラック•ステック」の全容について 何も(警察で)話さないで「黙秘(ちんもく)」を(倉崎聖士が)続けているからだと思った。

そして、彼(倉崎聖士)が「黙秘」を通すには…
必ず、それなりの理由が存在しているのだとも…(妹尾錠治は)思っていたのある。

妹尾錠治の携帯電話の呼び出し音が鳴る…

妹尾:『おぉ、佐倉井かぁ!』

佐倉井:『はい、妹尾さん 修理が終わりました!』

妹尾:『そっか!(よくやった!)ありがとう…』

妹尾:『今、どこらへんに居(い)るんだ…?』

佐倉井:『もう直ぐ、グラビトン ホテルに着きますよ!』

妹尾:『そっか!、じゃぁ、車を(ホテルの駐車場に)止めたら、展望レストランまで上がって来いよ!』

妹尾:『旨い、ビーフシチューを奢(おご)るから…』

佐倉井:『それ、いいですねぇ!』

妹尾:『じゃぁ、なぁ!』

妹尾錠治が、佐倉井に…そう告げると携帯電話を切った…

そして、再び 展望レストランの中に入り 神戸の夜景が最も良く見る『窓』の傍(そば)の席についた。

しばらくすると…
佐倉井が戻って来た…

妹尾錠治が 展望レストラン の入り口に 来ていた 佐倉井の姿に 手を振る…

それに気付いた 佐倉井が 自分も手を上げて 妹尾錠治に合図を送った。

佐倉井:『やっぱり、ずうっと、ここに居たんですねぇ!』

妹尾:『あぁ、けっこう、久保社長との話が長く続いたんでねぇ… 夕食も久保社長と一緒に 食べたんだよ!ここで…』

佐倉井:『そうだったんですか…』

佐倉井:『僕は、妹尾さんが…もしも移動するんだったら、必ず私の携帯電話に連絡が入る筈(はず)だと思ってましたから…、(パチンコ店での機械の)復旧作業が終わったら直ぐに車に乗って(グラビトンホテルに)向かってましたよ!』

多分、佐倉井も…このグラビトンホテルの展望レストランで夜景を見ながら食事がしたかったんだろうなぁ…と(妹尾錠治は)感じとっていたので…

二人は、笑みで会話を続けていたのでした…

(展望レストランの)店員がオーダーを取りに、妹尾錠治と佐倉井勲が座っている席に来ると…

妹尾:『ビーフシチューセットを1つと、単品でビーフシチューを1つ…』と(妹尾錠治が)話すと…

佐倉井:『妹尾さん、また(又)、食べるんですかぁ…』
佐倉井が 笑いながら言った…

妹尾:『もちろん、食べるよ!』

妹尾:『ここのビーフシチューは、神戸牛肉の角煮が入って…本当に旨いんだ!』

妹尾:『それに、佐倉井の一人で食事しているのを見ながら過ごす時間は(僕には)耐えられない!』

そぉ、妹尾錠治が話すと…

佐倉井が 可笑しくて たまらない とばかりに 笑い出す…
それに つられて妹尾錠治も笑う…

神戸の夜は、男二人の食事で(あって)も 充分に 楽しませて くれたのでした 。

…………………つづく………………………
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