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小説『窓』no,4

マンション出入口の1階エントランスの大きなドアも上から下まで透明な強化硝子を使用した両開き扉で…内側から外部へは自動で開き…二人の警官(刑事)と私の三人は、野次馬達で混雑する表の通り(舗道)に出ると…(同時に…)

『警察です!』
二人の警官(刑事)が声を揃える様に大声で言い放つ…
すると、それまで事故現場の方向に向いて、互いの肩を押しつけ合っていた野次馬達が一斉(いっせい)に私達(三人)に注目し始めた。

『何だ、何だ…』
これじゃぁ、まるで犯人逮捕で連行されている見たいじゃないですか…
『そんな遣(や)り方やめてぇ~』って…私は心の中で叫んだ。

すると、次の瞬間…一斉(いっせい)に📱スマホを持って写真や動画を取り出す野次馬達の光景が私の目に飛び込んで来たのである。
『冗談じゃあないよ!』
私は二人の警官(刑事)を彼らの背後から睨みつける様に言うと…
警官(刑事)の若い方が…

『こちらは無理だから、左に進みましょう』と言った。

『こちら』とは、私が行くべき会社がある場所の方向である。
つまり、会社とは反対の方向に進むと言う事なのだ…

『まったく、しょうがないなぁ~』
もう一人の警官(刑事)言った。
そして、それは私の心の声でもあった…

私は もう彼らの背中に密着する様に顔を下に向けたまま 前に進むしかなかったのである。
『あ~あ~』
本当に…この事故が事件だったら…
『俺は、まるで犯人その者』
『参ったなぁ~』
そんな気持ちのままで二人の警官(刑事)の後を更に進んでいると…
『警察です!前を空けて下さい!』と…
またまた、若い方の警官(刑事)が大声を出したのだ!
『なんてこった!』
もう、とにかく早く この場から出たいと思いながら前に進んでいると…
今度は、いつの間に回(まわ)り込んで来たのか…報道カメラマンが我々の前方で撮影しだしたのである。

『おぃ、おぃ、おぃ…』
愈々(いよいよ)…『俺様、犯人状態じゃないかぁ!』
『オー マイ ゴッド…(本当に)参った!』と、妹尾錠治の心の声が震えた。
すると…突然、二人の警官(刑事)が離れ出し その瞬間、私の目前に洞穴の様に見える車の後部座席に、私を導く様に、警官(刑事)一人が後部ドアを開けて、もう一人が私の体が(車の)後部座席に素直に収まる様に導と 近くに居(い)た カメラマンを振り払う様に、いきなり車の後部座席に入って来たので 私は更(さら)に車の奥へ押し込まれる様になり、入って来た後部座席とは反対側の窓に自分の頭をぶつけると…
『大丈夫ですか…』
若い方の警官(刑事)が私の横で言ってきたので…
『大丈夫じゃあ、ないですよ!』
少し怒り口調で言って遣った。

すると、(今度は)渋滞を嫌うように…
サイレン🚨がなった。

『なに、何…、この車、パトカー かょ!』
『おぃ、おい、おい…』
『やめてくれ~!』
若い方の警官(刑事)側の後部ドア越しに シャッター音が聞こえて来るかのように フラッシュの光が目に飛び込んで来たのです。

『笑い事じゃあないょ!』
『野次馬達、完璧に俺の事を犯人だと勘違いしているじゃあないですか…』
『テレビ(放送)なんかで、この状況は 流されたりしませんよねぇ!』
かなり心配そうに私(妹尾錠治)が車中で、怒りを二人の警官(刑事)ぶつける様に言うと…
運転中の制服警官の隣に座ってた、もう一人の年輩警官(刑事)が…
『大丈夫、ちょっと堺署に寄ってから…』と話し出すので…
『なに、何、何…』
『これって、何なのよ~』
『やめて、本当に会社へ直ぐに行かないと本当にマズイいんだから…本当、御願いしますょ!』
『本当、悪い冗談は止めて下さいよ!』
怒りに震える 妹尾錠治は、結局その後 堺署で事情聴取される羽目になったのである。

堺署の取調室の中は…狭く、それを更に狭く感じさせる様に真ん中にスチール製の机が置いてあり、あらため自己紹介する様に 二人の警官(刑事)は自分達の名前を妹尾錠治に伝えた。
若い方の警官(刑事)は…
『天野天眞(あまのてんしん)です』
と…
何だよ、まるで有名な武道家の様な名前じゃないか!

そして、もう一人の少し彼より年輩風の警官(刑事)が…
『山川啓治( やまかわ けいじ )です』と…
なに、何…刑事が啓治、啓治が刑事…だって…
『まったく、何で俺が堺署の…こんな狭い息苦しい様な部屋で、この二人の警官(刑事)から あらためて自己紹介を受けているだょ!』と…
妹尾錠治は不安を隠しきれない面持ちで、心臓をドキドキさせながら怒りに狂いそうな、心中で必死に藻掻(もが)いていると…

取調室のドアが静かに開いて…
『ちょっといいですか…』と 天野天眞の方に向かって 声を掛けた、黒いスーツ姿の美人女性が 私(妹尾錠治)の前に女神の様に現れたのだ…
訳(わけ)も分からず、困惑しながら、ここに居(い)る 私の様子を彼女(女神)は、チラ見すると 微かに優しい笑みを浮かべた瞬間でもあった…
私(妹尾錠治)は それまでの怒りに震える自分の心の声が、一瞬にして消えて平常心を取り戻したかと勘違いする様な超美人である。

『何で、女神の様な美を奏でる女性が…この様な異様な人が集まる場所で働いているのか…』と…
その事の方が気に成りだしてしまって、しかたない妹尾錠治であった。

彼女に呼ばれた、天野天眞が取調室から出て行くと、代わりに山川啓治が机 越しに 私の前に座った。
『妹尾さん、申し訳ないが…(実は)貴方に聞きたい事が いろいろあって来て貰ったんですよ…』と、それまで口数の少なそうな感じで私の側(そば)に居(い)た、山川啓治が話し始めてきたのである。

『実は目撃情報がありましてねぇ…、貴方を見たと…』

……………………………つづく……………

以前の話しの内容は ⤵️⤵️⤵️



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