小説 『窓』 no,11
妹尾錠治が研究室に入って約2時間が過ぎていた。
私(妹尾錠治)は、久しぶりに研究室で気を紛らわす様に 様々な電磁波を確認する装置を使って、研究室内の金属破片や金属線(棒)に特殊な「光源(こうげん)」を当てて…そこから放たれる「カラー(色)」を見て寛(くつろ)いでいた…
倉崎聖士の会社の研究室には、日本国内の遊戯施設(主にパチンコ店)から、不正な方法で遊戯台(機)を操作して、遊戯を行っていたと思われる様々な道具(ゴト具)の一部と思われる金属の欠片(かけら)等が送られて来ていたのである。
その一つ、一つ を丁寧に調べる事で… 不正行為の実態を突き止め、その道具による被害が、それ以上 広がらない様に 早く対策を考え事で…
同様の手口でのゴト行為する者達に 対抗するべき装置を開発・製造し、外注先で(量産的に)製品化したものを国内約50社ほどの販売代理店と(遊戯台などの)取付&配線工事を請け負う工事店を通じて日本全域の遊戯施設(主にパチンコ店)に販売して利益を上げている会社なのである。
『あれ、何だ!』
(妹尾錠治は)不思議な配列間隔を持つ「分光カラー」を見て…思わず小声を叫んで飲み込んだのでした。
私(妹尾錠治)は、かつて…「カメラ」メーカーとして 日本を代表する一流企業が作る、内視鏡カメラの開発を手伝っていたことがある…
そして、私が担当を任せられたのが 先端小型レンズを作る際に必要になる特殊金属で作る金型(かながた)と、成形されたレンズを取り出した直後の金型(かながた)凹面部分の洗浄方法であった…
品質の良いレンズを作ろうとすればするぼと、この二つの(金属と洗浄)問題が、高い壁の様に 私(妹尾錠治)の前に現れたのだった。
私は仲間にも恵まれて(ラッキーな事に)約三年半で無事に、この任務を果たしたのだが…
母体の会社自体が「デジタル カメラ」から始まる「カメラ付き携帯電話」の普及(ふきゅう)と共に次第に衰退しだしたので…
結果的には「M & A」による買収によって、私が携わった事業自体も、別の大手(日本)企業に 移ったのである。
そんな経緯の中で 私(妹尾錠治)は、金属と化学物質に関する多くの知識を身に付けていたのである。
だから…
倉崎聖士の会社の研究室で見つけた 金属片(きんぞくへん)の放つ異常な分光の配列間隔とカラー(ライン)を見ては、当然(とうぜん)驚かずには いられなかったのだ。
そして、妹尾錠治は…
更に何かに気づいた…
それは研究室の幾つもの実験器材が置かれた棚と棚の隙間の奥からから…立てに細く張り付いている様に見える「ピアノ線」かと思い…
手を伸ばして見るが…
何も指先に「ピアノ線」だとかんじる感覚が伝わって来なかったのだ。
そして、その正体が細いラインの様に微かに、古くなった壁板と壁板の繋ぎ目に出来たミクロ級の微かな亀裂の様な隙間から漏れ出している「光」だった。
( 実は…それがゴト具の代表格であるピアノ線では無くて、光線であると気づくまでに…それほど時間は掛かってはいなかったが、光線であるとの確信までには 至っていなかったからなのである。)
私(妹尾錠治)は、直ぐに研究室の全ての照明を消し、その細く漏れ出している光の正体を突き止めるべき行動を起こしたのである。
周囲を暗くしたことで…今度は、はっきりと奥に 別の部屋が存在する事が分かりました。
しかし、そこへは 重く頑丈な二つの棚が邪魔をしていて、とても躰を近づけて 入れない事も…又、私(妹尾錠治)は 分かっていました。
「別に中に入る通路か(何か)入り口に代わる様な秘密の隠し扉あるのでは…」
と 感じた、 私は 研究室の中を元の明るい室内に戻して、外にいる職員達にも 気付かれない様に 壁の隅から隅まで調べる事にしました(が)…
結局は研究室からは、全く中に入れる様な仕掛けも場所もありませんでしたし…、そもそも 壁が板(ボート)だと思っていたら…、実はコンクリートとモルタル塗りで 出来ていた壁が 長年の埃(ほこり)と 室内換気の悪さから来る湿気と埃(ほこり)で 濃淡風のベージュ色に染まっていてのであった。
(私は)一旦(いったん)、研究室を出てトイレ行き、直ぐに事務所に戻り 小林紀子に『食事(遅めの昼食)して来る』とだけ告げて事務所を出たのでした。
倉崎聖士の会社が借り切っているフロアは…(全部で3フロアで…)
「6階」は、先程まで居た事務所と研究室で…
「5階」は、製品(商品)の在庫を置く部屋と出荷の為の荷造りして…
毎日、定時の夕方6時に…
(会社の)取引先から注文があった分の品々(製品)が入っている、大・中・小の専用袋 や 段ボール箱を(引き取りに来た//回収に来た)宅配便の方(人)に受け渡す為のスペースがある場所で…
「4階」は 商品開発の上での試作品の装着テスト用に、在庫している「本物の遊戯台(機)」が 何台も置かれてい部屋が、メーカー機種(タイプ)毎(ごと)に 区別して整理整頓されて仕切られているフロアである。
だから、これらのフロアでの調査は働いている職員達が居(い)るので調査出来ない!
それで…7階と3階の通路や空き部屋から研究室の奥にある「スペースの位置」が 特定出来ないかを調べて見るが…
その結果は…、見る角度の悪さから全く想像もつかない事を確認したに過ぎなかった。
ならば、外に出てと…
ビルの外観から想像がつかないかと思い ビルの周囲を見て回るが…
肝心なビルの側面壁は 別のビル(建物)の壁が邪魔をしていて 全く分からないのでした 。
残りの壁面は、隣接する スパー マーケットの建物が (会社が入ってる)ビルの出入口 以外の側面を 囲む様に 存在しているために…、どこからも壁に近寄る事すら出来ないのである 。
そして、私(妹尾錠治)は いろいろ考えて末(すえ)…
「7階のビル管理会社が入る部屋から、一旦(いったん) 外に出て、スタントマンの様に上からロープを使って目的の壁に 近づくしか 無いのである」と気付くのであった。
私(妹尾錠治)は、その事が分かると…
急に 自分が空腹だった事に 気付くのであった …
堺は仁徳陵(にんとくりょう)で有名な古墳が多い事で有名な場所でもある…
その仁徳陵(日本最大規模の前方後円墳)を海側から見ていた他国の人々は、その規模の大きさに驚かずにはいられなかったと…、史実を持って 語られて来ている「仁徳天皇の墓」である為に 一般人が墓の中に入る事も出来ないばかりか、大規模な発掘調査する事も許されていない 日本にある唯一の「未開の地」でもある 。
そして、私(妹尾錠治)が 勤める会社のある(ビルの)場所や 私の住むマンションのある場所は……
その時代では 海岸線沿いに 位置する場所になる。
その海岸線沿いは、北北西に向かうと、徒歩で10分もすれば 南海線の堺東駅前に出るので…
私(妹尾錠治)が 頭で(何が食べたいか…) 考えるよりも 先に食べたい食事に出会える街である(ので…)
私(妹尾錠治)は、堺東駅に向かって続く舗道を歩く事にしたのでした。
……………………つづく………………
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