白い獣(ホラー短編)
雨の夜道を車で走るのはどこか薄気味悪く、自分の居場所を正確に把握できなくなる。こことは違う別世界に向かう道のりのようだった。
俺は眠かったけどどうしても眠れずに、助手席でほとんどうずくまるようにして前を見ていた。
そのうち、運転をしている友人がちらちらサイドミラーを見るのに気がついた。
気にしないようにして目をつぶろうとしたが、かえって目は冴えてくる。
俺は体を起こしてちらっと助手席側のサイドミラーを覗いてみたが、後続車は一台もいない。
神経過敏で細心なやつだから確認するのが