白と黒(鬼と蛇 細川忠興とガラシャ夫人の物語 13)
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目次 鬼と蛇 細川忠興とガラシャ夫人の物語
前回のお話 第十二話 「長篠のイフィゲネイア」
白と黒
岐阜城が大戦の前に騒然となっている中、熊千代は津田坊の甲冑姿がこちらへ来るのを見て自分から駆け寄った。
「ついに、初陣でございますな!」
幕の影にいて、こちらを振り向いたのは信長で、熊千代はあっと膝をついて頭を下げた。からかうような声が降ってきた。
「どうだ、あれから会えたのか?」
明智の珠子のこ