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超短編小説|株式会社リストラ

 僕が働いているのは、株式会社リストラ。そこは会社をクビになった者が第二の人生を歩める場所。僕がそこに入社したのは、3ヶ月ほど前のことだ。

 前の会社にクビを宣告され、ネットの求人募集を見て応募した。初めは名前に違和感こそあったものの、採用が決まったら一人で大喜びした。

 会社では、みな生き生きと働いており、リストラされた社員の集まりとは思えない活気で溢れていた。社長も人望が厚く、世間では尊敬の眼差しが向けられている。

 しかし、最近になって異変を感じるようになった。表向きでは綺麗事を並べる社長だったが、裏では大きな企みがあることに気づいたのだ。

「小西、前の会社であったことを話せ」
「はい、えぇと.....」

 僕は前の会社で上司に酷い目に遭わされた話や秘密裏に進めていたプロジェクトの内容など、内部情報を全て話した。すると社長は、にやりと笑みを浮かべ「小西、よくやった」と言って、その場をあとにした。

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