行きつけのカフェで、いつものラテを飲んだ日。
僕はアイスカフェラテが大好きだ。
この店では、夏でも冬でもアイスカフェラテを注文する。なぜかって!?
理由は、いたって単純だ。
僕は猫舌人間だからだ。だから、コーヒーチェーンにある、あの熱いコーヒーが大嫌いだ。紙のコップにプラスチックのリッド(ふた)の付いたあのコーヒーが。
それを飲むと、謎のジレンマにおちいるからだ。
「飲みたくても、飲みたくない」
コーヒー好きにとって、冷めないうちに飲み干したい。でも、熱いから飲みたくない。だからといって、フタを外しマドラーでかき混ぜると、温度は下がるがすぐに冷めてしまう。
こんなジレンマにおちいりながら、カフェでひとり格闘しなければならなくなる。だから、僕はいつしかホットを飲むのをやめてしまった。
このカフェではいつも同じラテを注文する。でも、今日はいつもと少し味が違う。いつもよりも、コーヒーが甘いのだ。
シロップは入っていないはずなので、ミルクの甘みだろうか。この店で今まで飲んだ、どんなアイスカフェラテよりも美味しかった。
店員さんに聞いてみてもいいかもしれない。「ミルク変えたのですか?」と。常連だし、聞こうと思えば気軽に聞けると思う。
しかし、事態はそう簡単なものではない。というのも、僕はこのカフェで大切にしているルールを破ることになるからだ。
むやみに話しかけてはいけない。
これが僕がこのカフェで課しているルールだった。これは、自分のキャラクターが影響している。
僕は、常連になると、なぜか気軽に話しかけられることが多い。
以前よく行っていた食堂でも、前によく通っていたカフェでも、昔よく行けつけだったコンビニでも。通っていると、かなりの頻度で知らない人と仲良くなる。
前にこんなことがあった。
昔、よく通っていたコンビニでは、おばちゃんと仲良くなりよくお喋りをしていた。そして、極めつけは買ってもいない商品をくれた。
レジ横にある、おそらく売れ残りになりそうな揚げ物をただでくれる。あと、新商品のサンプルを頂いたこともあった。
そんなわけで、なぜか仲良くなれるのだが、良いことばかりではない。見られているとなると、自由もなくなることだってある。
まわりを気にしてしまうし、それなりの態度で接する必要もあるからだ。コンビニに行くのも、ボサボサの髪で寝起きの顔で行くわけにはいかなくなる。
だからこそ、カフェでも同じことにならないように、素っ気なく接している。
カフェでは長居することが多いから、仲良くなると気を遣ってしまう。また、「いつも、パソコンで何を書いているのですか?」とnoteについて聞かれてもややこしそうだ。
だから、僕は、コーヒーが美味しいわけを聞くこともなく、おかわりを注文した。
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