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最近読んだ漫画5タイトルまとめ『猫神やおよろず』『モコと歪んだ殺人鬼ども』『BLACK★ROCKSHOOTER THE GAME』『イビルば〜じん』『るきさん』

記事にしなかった漫画を含む5タイトル分まとめます。基本的にネタバレ無し。


①猫神やおよろず

美少女だらけのご町内神さまコメディ(原文ママ)

  • 作者:FLIPFLOPs

  • 巻数:全6巻

  • 個人的な点数:70点

若くして古美術店を営む少女・柚子の下に居候する猫神・繭の日常を描いたほのぼのコメディ漫画かと思ったら全然少年バトル漫画だった。

表紙や裏表紙の説明から日常系美少女4コマの波動を感じるが全6巻の3巻目から最終決戦に向けて動き出すのでゴリゴリ少年バトル漫画の道を進む。

主人公の繭は八百万のうちの神でありながら地上に落とされ力を封印されている。そんな繭が力を取り戻すまでの葛藤、家主・柚子との絆、2人を取り巻く他の神々との交流、ラスボスとの決戦が描かれる。全然少年漫画じゃん。

『猫神やおよろず』6巻

見てわかるようにしっかりバトルしている。

基本穀潰しの繭だが、繭が両親亡き柚子の精神的支柱になっている関係や、繭のことが好きで下界に降りてきた女の子の神2人のライバル関係と百合関係が良い。敵も絶対悪ではなく、悪事を働く動機も境遇等情状酌量の余地があるタイプで奥深い。しっかりと親友の柚子が繭さんのことを忘れて別世界に囚われる展開もあるし、少年漫画だこれ。

『猫神やおよろず』6巻

本筋だけではなく、両親の後を継いで古美術商となった柚子の商人としての成長もサイドストーリーで描かれておりこちらも上手い。ほとんど身寄りのない柚子を普段は無能な神々が協力して支えてるさまは嬉しくなる。

繭さんはゲームが好きで、日常パートではよくファミコンで遊んでいる。実在するゲームをプレイしており、作者のレトロゲーム愛がうかがえる。

『猫神やおよろず』4巻

一点、難点をあげるとすると、実際の八百万の神をモチーフにしているので、記紀についての基礎知識がないと神たちの親子関係やそもそも世界観の把握が難しいかもしれない。一応誰と誰が親子で兄弟みたいな説明はセリフでなされるが、例えばそもそも高天原がなんなんのかわからないとか天照大御神がどんくらい格があるかわからないレベルだとキツいかもしれない。記紀入門読んどいてよかったー。


②モコと歪んだ殺人鬼ども

ロリと青年コンビの異常犯罪ミステリー漫画。

  • 作者:反転邪郎

  • 巻数:全5巻

  • 個人的な点数:63点

妹を殺害された過去から警視庁に入庁した刑事・灰島と見た目も言動も小学生にしか見えない女の子・モコのバディが異常犯罪に挑むミステリーもの。

容姿も言動も小学生そのものだが実年齢は22歳のモコは様々な才能に恵まれたギフテッドであり、その力を活かして常識的な捜査では解決が難しい異常犯罪の捜査を任されている。灰島は彼女のお守り役として捜査第一課からモコたった一人で構成される特異犯罪捜査支援室へと飛ばされた。当初は不満だった灰島が捜査の中でモコとの友情を育んでいき、そしてほとんど全ての事件を操っている黒幕逮捕を目指すのがメインストーリー。

才能というと超常的な力をイメージするが、モコに備わっている才能とは記憶力がめちゃくちゃ良かったり読唇術が使えたりそういう鋭敏な感覚を言う。

『モコと歪んだ殺人鬼ども』1巻

なので絵面的に華がなく、能力も当然備わっているものとして捜査が進んでいくので地味。

異常犯罪とは即ち「常識的には考えられない動機で犯罪を犯す者」を指しており、こちらも超常的な力が働いているわけではなく、あくまでトリックは常識の範疇に収まっている。
例えば1巻ラストの事件はまるで子供番組を模した視聴者一体型の殺人ショーが配信されるといった内容。

『モコと歪んだ殺人鬼ども』1巻

モコの洞察力は凄まじく、だいたいは数時間のうちに犯人に目星をつけてしまう。しかも子供的言動故に勿体ぶらないので、犯人特定まで非常にハイテンポで辿り着く。

『モコと歪んだ殺人鬼ども』1巻

普通のミステリーものでは探偵が少しずつ証拠を積み重ねていよいよとクライマックスで犯人を炙り出すのが常套だが、モコの才覚故のハイテンポは本作ならではの魅力だ。

本筋となる黒幕だが当然モコと並ではない関係のある人物であり早々に正体が明かされる。また悪の親玉らしく人目を隠れているわけでもなく、結構出入りするしなんなら警視庁に乗り込んでくるのでアクティブすぎる。
黒幕が全く黒の幕に隠れておらず、行動も大胆に関わらず戦闘力で上回れない故に逮捕できていないので無能警察感が拭えない。ここら辺は読んでいてもどかしかった。

加えて最後の方はかなり駆け足で、主要人物がバンバン死んでいくので突き抜け感がある。モコのキャラクターや1つ1つの事件はそれなりに良いが、メインストーリーはなんともいえない。もっと敵サイドに悲しい過去的な情状酌量の余地が欲しかった。


③ BLACK★ROCKSHOOTER THE GAME

PSPのBRSのゲームのコミカライズ。ゲームクリア済み。

  • 作者:TNSK

  • 巻数:全2巻

  • 個人的な点数:65点

シナリオの展開が結構ゲームと違う。
ロスコルがなんか急に撃たれて死んだりナナと出会ったりWRSと戦ったりと要所要所は抑えているがザハ戦がなかったりシズが徹頭徹尾仲間だったりと相違点も多い。

シング・ラブの回想シーンに分量が多く割かれているため原作よりはシナリオがわかりやすいがそれにしてもわかりにくい。ゲーム同様「結局なんだったの?」と最後に疑問が残る。

しかしキャラクターの描き方は魅力的でその点は原作を圧倒的に上回っている。作者の独自解釈と辻褄合わせの努力を感じる。

『BLACK★ROCKSHOOTER THE GAME』1巻

ややカクカクとした特徴的な絵柄だが画力は高く、huke絵とはまた違った魅力がある。戦闘シーンは迫力があり、また回数も多いので満足感がある。

あどけなさが残るcv坂本真綾のBRSはゲームと比べて人間味があり可愛い。

『BLACK★ROCKSHOOTER THE GAME』1巻

もれはロリコンなのでやっぱりサイケロリのナフェちゃんが好き。BRSと友達になれた可能性に思いを馳せながら逝くナフェたん萌え。

『BLACK★ROCKSHOOTER THE GAME』2巻

全体的に絵は綺麗でキャラクターの魅せ方は上手くファン並感でそれなりに満足感があるが、シナリオのわかりにくさや短さといった原作由来の欠点は乗り越えきられておらずどうしても話に没入はできない。BRSのファンなら持っていてもいいといったところ。


④イビルば〜じん

倫理観が全て性欲に置き換えられた漫画。

  • 作者:あわ箱

  • 巻数:全2巻

  • 個人的な点数:65点

倫理観を全て性欲に変換したような男・伊達が働くヌルヌル製薬に営業として雇われたサキュバスのまどかちゃんの生き様を描くコメディー漫画。っぽい触れ込みだが実際は伊達の奇行を描くジェネリックDMCみたいな漫画。

まずまどかちゃんがめちゃくちゃ可愛い。サキュバスなのにセクハラが嫌いで処女で語尾が「っス」で可愛くないわけないだろ。全てのボブカットの女と語尾が「っス」の女は可愛いのにそれらが合わさり「サキュバス」という属性で接合されてしまったらあかんやろ。そんなに可愛かったらあかんやろ。

『イビルば〜じん』1巻

ていうか舞台普通に現代日本でサキュバスとか想像上の生物と思われているはずなのに副題が「サキュバス現る」じゃなくて「処女現る」なのおもろ。希少性で優っちゃってるじゃん。処女が、サキュバスに。

ただシナリオはまどかちゃんの奮闘というよりは伊達のおよそ社会人とは思えない奇行に周囲が振り回される日常が多い。というか全部それ。

『イビルば〜じん』2巻

凄まじい自慰により秒間32連射の連打を獲得した伊達だが手首を酷使しすぎたために対戦格闘ゲーム中に腕が使えなくなる。その時伊達は尻でレバーを握り勃起したナニでボタンを叩く。
ギャグエロ漫画でしかないしどこにまどかちゃんの健気な生き様を描く(原文ママ)要素あるんだよこれ。

全体的にノリとホモセオチで進行するので正直そこまでおもしろくはないがまどかちゃんがめちゃくちゃ可愛くジェネリックDMC的な魅力はあるので目で読める。

『イビルば〜じん』1巻

DMCをDeepL翻訳にかけたみたいなコマがある。

『デトロイト・メタル・シティ』


⑤るきさん

バブル時代の独身女の日常を描いた4コマ漫画。

  • 作者:高野文子

  • 巻数:全1巻

  • 個人的な点数:55点

バブル華やかなりし頃の三十半ば独身女性アパート暮らしのるきさんの日常を描いた4コマ漫画。

それなりにガサツでこだわりなく実用的に生きているるきさんと流行りに敏感で世間体を気にしそれでもるきさん同様金はない友達のえっちゃんの2人が全編を通して登場する。金はない、ただし人並みに時間はある当時のOLたちの共感とささやかな理想を集めたであろう漫画。1988年からの掲載と今となっては価値観が変わってしまいギャグとして成立していないものも少なからずあるが当然今でもしっかり成立しているギャグもある。

『るきさん』

ちくま文庫なので文字が小さく読みにくいが地味にフルカラーで配色も凝っている。当時を生きた人たちしか楽しめないタイプの漫画ではあるけどステレオタイプを壊していく女性に惹かれるのはいつの時代も変わらないんだなぁと思った。


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