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少女☆歌劇レヴュースタァライト第6話に見る関係性

※筆者は少女☆歌劇レヴュースタァライトを6話まで視聴した段階で本記事を書いています。以降の展開によって、文章の整合性や一貫性がとれなくなる可能性があります。


はじめに

カップリングとは「×」で左右が紡がれる以上、そこには攻めと受けの関係性が生じます。「A×B」というカップリングが在った時、それは暗黙に「Aが攻めでありBが受け」であることを意味しています。

少女☆歌劇レヴュースタァライトというアニメには6話時点においてもあらゆるカップリングが登場します。華恋とまひる、華恋とひかり、真矢とクロ、その中でも第6話「ふたりの花道」で取り上げられた「香子と双葉」のカップリングと、そして彼女らを語る天堂真矢による関係性は一際異彩を放っていました。



登場人物

花柳香子(はなやなぎかおるこ)

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日本舞踊の家元の孫娘。
卓越した歌謡と舞踊の才を持つ 和の舞台少女。
生粋のお嬢様で、 生活のほとんどは双葉に頼りっきり。
いつも笑顔を絶やさないが、 実は誰よりも計算高い。
はんなりとした京都弁が特徴。


石動双葉(いするぎふたば)

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香子の幼馴染みで、 彼女に付き添って
聖翔音楽学園に入学してきた 異端の舞台少女。
口は悪いが根は優しく、文句を言いつつ 香子の事が最優先。
小柄ながらも身体能力は高く、
実戦仕込み(?)の殺陣を 得意とする。
https://revuestarlight.bushimo.jp/ より



第6話「ふたりの花道」あらすじ

第6話では、1年に1回開かれる舞台「スタァライト」に、香子が選抜されなかったところから物語が動き出します。

ルームメイトである双葉の帰りが遅いことを不審に思った香子が双葉をつけると、そこにはクロと深夜の特訓に勤しむ双葉の姿がありました。香子はこれに怒りを露わにします。

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この出来事を機に香子と双葉の仲は悪化し、とうとう香子は「双葉に止めてほしい」という想いが先行し、学校を去る決断を下します。

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そして別れ際、香子はトップを突き進む天道真矢からこのような言葉を投げかけられました。

寂しくなります。同じものを感じていましたから、花柳さんには。
追ってくる者のため、応援してくれる者のため、最高の自分でい続けなければならない使命感。
どうか、京都に帰ってもお元気で。

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香子と双葉の関係は香子が日本舞踊の家元の跡継ぎ娘として育てられていた幼少期にまで遡ります。

厳しい稽古に嫌気がさした香子は「他の家の子になりますわ」と家出の決心をします。

「交通費、持ってんの?」
「え?ご、50円くらい」

「電車の乗り方、わかるか?」
「ば、バカにせんといて!」

「じゃ、大丈夫だな」

本気ではなかった香子にとって、双葉の冷めた反応は予想外で、動揺を隠せません。

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なので、双葉のこの発言に、飛びつかないはずがありませんでした。

「あーあ、わたし、香子の踊り好きだったんだけどなー」
「そっかー、もう帰ってこないのかー、残念ざんねん」

機嫌を取り戻した香子はいつもの調子で双葉に捲し立てます。

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「そ、そこまで言うならしゃーないわ、帰ったる」
「せやから、ウチのこと褒めて、応援して、お菓子買ってくれんとあかんよ」

「あんたはウチの、ファン第一号なんやし」

「その代わり、ウチが世界で一番煌めくとこ、一番初めに見せたるから」



香子と双葉、そして天堂真矢(共依存における関係性)

香子の内にある想いは今も昔もただ一つ、「双葉に追いかけてほしい」つまるところ、「双葉に自分のファンでいてほしい」それだけでした。

だからこそ、双葉がクロと特訓していることが許せなかった。双葉は、常に自分のファンでなければならない。双葉が自分のファンであるためには、「①香子は双葉の一歩先をいっていなければならない」、「➁双葉は香子のことを気にしていなければならない」この2つの要件が脅かされているのを感じたから。

真矢はそんな香子を自分と重ねます。「同じものを感じていましたから、花柳さんには。」。


真矢の言う「同じもの」とはなんでしょうか。真矢曰く、それは「追ってくる者のため、応援してくれる者のため、最高の自分でい続けなければならない使命感。」だそうです。

ここに、真矢と香子の共通点、そして違いを見ることができます。

真矢は、99期生のトップであり、アイカツの神崎美月がそうであるように、「追われるものの使命感」つまり「トップであることの責任感」と常に戦う義務があります。香子の実力は、お世辞にも真矢ほどあるとは言い難いものでした。ならばなぜ、真矢は香子に自分を見出したのか、それはまさしく「香子と双葉の関係の内」にこそあったのではないでしょうか。

99期生、30人中30位という順位で合格を果たし、深夜にまでわたって特訓を続ける双葉の姿は、真矢にとって「追う者」に映ったことでしょう。

実際、双葉も香子とのレビューの最中にこう述べています。

約束しただろ!お前が世界で一番煌めくところ、一番初めに見せてくれるって!
だからずっとお前を追いかけてきたんだ!

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しかし、これこそが真矢と、香子の決定的な違いでもあります。

天堂真矢を追う者は、間違いなく天堂に憧れ、天堂に魅せられ、天堂を「追う者」と成ったことでしょう。


しかし、香子は違います。
香子は「双葉を追わせた」のです。双葉は間違いなく香子を「追う者」であったと同時に、香子は天堂の言うところの「追われる者」であると同時に、双葉を「追わせる者」でもありました。

香子は、自分のために、双葉に自分を追うこということを強要してきました。それは、幼少期から現在まで変わらず、ずっと、香子と双葉の間に築かれていた関係です。

傍から見れば、香子と双葉の関係は「香子x双葉」であったり「双葉x香子」と表せれるかもしれません。
しかし、香子の視点に立った時、それは「『追われる主体』と『追わせる客体』」であり双葉の視点に立った時それは「『追われる客体』と『追う主体』」と表されます。

双葉は、香子を「追う者」であると同時に、香子によって「追わされる者」であり、
香子は、双葉に「追われる者」であると同時に、双葉を「追わせる者」であったのです。

この、双方向による関係性は、(すくなくとも6話時点では)天堂真矢にはないものです。なぜなら天堂真矢はいつでも「追われる主体」でしかなく、そこにある関係性の矢は、天堂真矢以外から天堂真矢に向けられた一本の矢でしかないからです。

しかし、香子と双葉における関係性の矢は、お互いがお互いに向けられています。追い、追われ・追わせ、追っているのです。「香子×双葉」や「双葉×香子」といった、テキスト上の表現は、あくまで彼女たちにおける「追う」「追われる」といった関係を明示的に表した、言ってしまえば「強調」した表現でしかありません。

この2人の関係性を「共依存」と説明することが許されるのならば、共依存における関係性とはAとB、それぞれの視点に立った、それぞれの解釈が存在しているのです。

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終わりに

しかし二人はレヴューを通して、この関係を超えた一歩先の関係へと足を踏み込みます。それはどのようにして行われるのか、それは自分の目で確かめてくれ!

俺はこれから第7話に入ります。第7話は「なな話」であると心得ています。不穏な次回予告と、TLの者がみな一様に大場ななに狂わされていた姿から、今から7話に踏み込むことを恐ろしく感じますが、せいぜいまたこうして筆をとるハメにならないように気を付けて見ます。

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(ていうか7話見たら7話による激情で6話の感想書けなくなりそうだなって思ったから今筆をとった。This is 救済.)

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