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外国人の在留資格「特定技能」をめぐる見直し論議

前稿からの流れで、「特定技能」をめぐって見直し論議が起きているという話です。

この制度、至らぬ点が多いというのは事実です。

外国人労働者を増やしたいという立場と、増えるのを抑えたいという立場に配慮したためか、結果として働く人に配慮した部分が少なくなっているということが言われているわけです。

例えば、「特定技能1号」の段階では、家族は日本に滞在できないのですが、これは家族がある人にはきついのではないですか、などということが言われているのです。
(「居ついてもらっては困る。人材はほしいが、人間はいらない」というのが透けて見えるなどと言われているわけです。)

さて、2019年に始まった在留資格「特定技能」ですが、当初、上限約34万5千(1年でおよそ7万人ずつ入る)とされていました。

実際には、
「特定技能外国人5年で34.5万人」はどう算出されているか 加藤 真2021/06/09(https://www.murc.jp/report/rc/column/search_now/sn210609/) 
によると、5年間の上限に対して、2021年3月時点での充足率は4.5%となっています。(2年経った時点ですから、最大値で40%ぐらいに到達するはずでした。)

もちろん、新型コロナウイルス騒動があったので、当初の見込みから大きく外れたということもあるでしょう。しかし、コロナ禍以前の2019年においても、勢いがなかったという印象があります。

もともと、始まってみなければわからない部分が制度を作った側にもあったので、最初から2年程度で見直し(修正等)をするということになっていたこともあり、最近、また、いろいろな意見が出ているのです。

2021年の11月の段階では、下記のように「 (出入国管理庁が)2022年度にも事実上、在留期限をなくす方向で調整している」という記事が出ています。
(これはどんな反応があるかをみるための観測気球記事、いわゆるリークに基づく記事だと思いますが・・・)

「外国人就労「無期限」に 熟練者対象、農業など全分野」 日本経済新聞 2021年11月17日 (https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE019ZY0R00C21A9000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1637139615)

古川禎久法相は2022年1月14日の閣議のあと、記者会見で「技能実習」と「特定技能」の制度の見直しのため、その検討をする勉強会を設置したと述べていました。(それが書いてあるのが下の記事。)

「技能実習など見直し検討へ勉強会、有識者らから聞き取り」伊藤和也 朝日新聞デジタル 2022年1月14日 (https://www.asahi.com/articles/ASQ1G5J3XQ1GUTIL01G.html )

当初の予定よりも時間がかかっているという印象です。

経団連は、2022年2月15日に「Innovating Migration Policies ―2030年に向けた外国人政策のあり方― 」を出しています。(https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/016_gaiyo.pdf)

また、日弁連(日本弁護士連合会)は2022年4月15日に「技能実習制度の廃止と特定技能制度の改革に関する意見書」を出しています。(https://www.nichibenren.or.jp/document/opinion/year/2022/220415.html)

これまで日本という社会にいた人にも、これからその社会に入ってくる人にもメリットがあるような制度設計ができればいいのですが・・・

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