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銀杏

私が小学校低学年の時に奇跡的にも私の事を好きでいてくれる少年がいた。彼の名前はゆういち君。ちょっといやかなり巨漢の男の子だ。好意はうれしいのだが少し困ってしまった。なぜなら彼はちょっと銀杏の香りがして、他のクラスメイトからは軽いいじめを受けていた。しかも彼は鼻くそを食べる。好意を持ってくれるのは大変ありがたいが、鼻くそを食べる人種とは距離を置いたほうがいいと八方美人の私も考えた。しかし彼と私を急速に近づけたある事件が起きた。当時ターザンロープという遊具が学校では流行っていた。その遊具はロープにつかまりただ高いところから低いところに落ちていくという遊びだった。この遊具は二人いないと成立しない。ロープを投げる人とそれを受け止めてロープにつかまり落ちて遊ぶ人だ。思い思いに声を「ああ、あ~~」と言って遊ぶ子もいれば、どこまで低く落ちれるかという耐久レースをするつわものもいる。一方投げる人は割と高い位置にロープを投げなければならないので力いっぱい真剣になげるという労働をしなければならないのだ。やっと私が落ちて遊ぶ番になり、その時のロープを投げる係がゆういち君だった。ゆういち君は巨漢をフルに使いロープを投げてくれるがいっこうに届かない、周りがしらけてきてしまう前に何とかゆういち君のロープをつかまなければ、そしてやっとロープに触ったというところに来たのだがその瞬間その高いところから落ちて動けなくなってしまった。ただ銀杏の匂いがするだけで意識も失ってしまった。救急車に運ばれ、私は一命を取り留めた、落ちた衝撃で内臓の動きがストップしてしまったようだ。その後遺症で私は今も屁が止まらない難病を抱えている。半分嘘で半分本当だ。そして退院したのちクラスに行ったらみんなすごく心配してくれた。そんな中もじもじ話しかけれないゆういち君がいた。その日彼とは一言も話さなかったが。私の引き出しに「ごめんね。」と書かれた手紙が入っていた。なんかちょっときゅんとした。

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